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【女子枠⑤】賛成派「多様性の実現」vs.反対派「多様性の価値」

ほんごう小学校5ねん3くみのみんなと、女子枠について楽しく勉強しよう。
あれあれ、ゆうくんとかなちゃんが喧嘩しているみたいだ。どうしたのかな。

ゆうくん「憲法学者から法の下の平等に反する疑いが指摘されても、『絶対に女子枠を導入するんや!人生は冒険や!!』とか、文部科学省はいつからフェミニズム革命家になっちまったんだ!!」

かなちゃん「はぁー。あんた差別主義者なの?多様性の実現には、ポジティブアクションも必要なの!ていうか、女子枠以外にも、医学部の地域枠とか、帰国子女枠とか、あるでしょ。なんで女子枠だけ叩くわけ?女性差別?」

ゆうくん「それは……とにかく、俺は、女子枠と環境活動家が許せないんだ!!」

かなちゃんの鋭い指摘に、ゆうくんは逆ギレしてしまったね。確かに、女子枠には反対しても、医学部の地域枠や帰国子女枠に反対する人は少ない。女子枠だけを叩いては、女性蔑視だ。ゆうくん、ピーンチ。

女子枠賛成論者の根拠としては、実質的機会の平等と多様性がある。実質的機会の平等については、ずっと見てきたから、今回は多様性を考えてみよう。
話を分かりやすくするために、同じく別枠の入試である医学部の地域枠や帰国子女枠とも比較しながら、授業を進めるね!

医学部の地域枠、帰国子女枠は正当である


制度を考えるときは、目的から。医学部の地域枠の目的って、なんだろう?

ゆうくん「医学部の地域枠は、地域医療人材の確保が目的です。そのため、地域枠には、勤務地拘束や義務年数が課せられます。卒業後9年間ですよ!在学期間と合計すれば15年間を、その地域で過ごすことになるわけです。これくらいの奉公が義務付けられているのなら、多少の優遇も納得です」

そうだね。高校生に15年間僻地医療に携わる選択をさせるとか、現代の奴隷制だから廃止するべきだと、先生は思うけどね。グロくないか。普通にさ。じゃあ、帰国子女枠の目的は何かな?

ゆうくん「帰国子女枠では、適切に能力を測定することが目的になります。諸外国と日本では教育カリキュラムが異なります。そのため、面接や作文などの個別性の高い試験を設けなければ適切に能力を測定することは難しく、帰国子女枠は合理的でしょう」

そうだね。アメリカで育った人と、日本で育った人で、カリキュラムが違うんだから同じ試験では比べられないよね。つまりね、必ずしも、別枠を設けることは問題じゃないんだ
実際、みんなの気持ちとしても地域枠や帰国子女枠には納得しやすいでしょう。

多様性は何のため?

じゅあ、次の質問。女子枠の目的って、なんだろう。お、かなちゃん。早いかった。

かなちゃん「女子枠の目的は、実質的な機会の平等と多様性です」

ゆうくん「ちょっと待てよ。実質的な機会の平等を促進することで、多様性が実現するという、手段と結果の関係だよね。目的は多様性なんじゃないのか

小学生とは思えない、鋭いツッコミだ。多くの議論では、実質的な機会平等と多様性の2つが理由として並べられている。だけど、実質的な機会平等って、なんのためなんだろうね。

かなちゃん「女性は、これまで不利な境遇に置かれてきたんです。実質的な機会の平等!それ自体が価値を持つんです!!」

ゆうくん「じゃあ、東京科学大学のHPを見てみようよ。多様な人々の集まりがイノベーションを促進すると書かれているね。つまり、女子枠→多様性→イノベーションという順番であって、イノベーションが一番の目的になるはずだよ。女性研究者を増やすことを目的って言ってるけど、それも科学技術の発展のためだからね。やっぱり、実質的機会平等自体が価値を持ってのは、言い過ぎだよ」

この多様な人々の集まりがイノベーションを創出することは、本学の使命である科学技術の発展および人類・社会への貢献につながると考えます。今回の入試制度「女子枠」の導入は、理工系分野における女性研究者・技術者を増やすことを目指したものであり、日本の将来の科学技術の発展に女性の活躍が必須と考えたためのものです。

東京科学大学HP

そうだね。実質的な機会の平等の先に何があるのかが問題だよね。って、ちょっと待ってね。先生、科学大のホームページ読んでてビックリしちゃった。

女子を入れたら、多様性が促進される!イノベーションが促される!多様性とかイノベーションって、そんな簡単なものだったんだ。知らなかったなぁ。へぇ~。

集合知って、本当かな?

かなちゃん「先生は、ご存じないようですが、集合知という概念があります。多くの人を集めることで、より優れた知性が発生することです。
例えば、男子だけのクラスで何か遊びを決めることを考えてみましょう。男子生徒からは、ドッチボール、ケイドロ、缶蹴りなどアクティブな遊びが中心に提案されるでしょう。ここで一人、女子生徒を追加したらどうでしょう。お人形遊び、お医者さんごっこ、お絵描き会みたいな、ユメカワな遊びが提案されるはずです。

新しく学生を迎え入れる場合でも同じことが言えます。東工大のような男子比率が異様に高い理系大学において、もし少し男性より能力が劣っていたとしても、女性を迎え入れた方が「研究室としての生産性」を促進すると言えるでしょう」

実際、集合知が生産性に寄与することは、論文でも証明されているみたいだね。一応、筋は通っているみたいだ。ゆうくん、何か反論は思いつかないかな。

ゆうくん「僕は、集合知は否定しません。ですが、集合知の増加量は、怪しむべきと主張します。例えば、最初に女子生徒が0人→1人に増加したときには、遊び方のアイデアは飛躍的に増加するでしょう。しかし、1人→2人→3人、、、となるにしたがって、アイデアの増加量は減少するはずです。
今の東京科学大学に一人も女子がいないならば分かりますが、割合が少ないだけで存在はしています。多様性によるイノベーション(笑)がどれほどなのか、疑われて然るべきでしょう。

それにですね、(これは決めつけですが)東京科学大学に受かるような女子生徒の多くは、東京の中高一貫校出身のエエとこのお嬢さんだと思うんですよ。あんま多様性なくないですか。多様性と言うならば、離島限定枠にするとか、ひとり親家庭限定枠にするとか、もっといろいろな多様性があるはずです」

かなちゃん「ぐぬぬ……」

しばらくの沈黙のあと「私のせいで、女性の権利を守れなかった」と、かなちゃんは泣き出してしまいました。女子生徒たちは、慌てて、駆け寄り、かなちゃんを慰めます。そして、口々にゆうくんを罵ります
「ちょっと、かな泣いてるじゃん」
「サイテー」
「謝りなよー」

やっぱりジェンダー論争の対立を埋めるのは難しいなぁ。先生は、教師としての未熟さを感じたよ。


さて、議論の内容には、決着がついたので、今日のまとめをしよう。

医学部の地域枠とか、帰国子女枠とか、必ずしも別枠が悪いわけではないだね。きちんとした目的があれば認められるんだ。実際、憲法14条の「法の下の平等」は「非合理的な差別」は是正しますが、「合理的な区別」は認めるって、我が国の憲法学では解釈されているからね。

だけど、「多様性」「イノベーション」みたいなフワっとした言葉を使って、なーんとなく女子枠を作っちゃうのは、先生は良くないと思うな。説明責任って、とーっても大切だからね。

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