コラム:渡来人が紡いだ日本文明 今、日本に必要なのは、、、
今、日本の政治や社会の一部では移民や外国籍の人々を排斥しようとする空気が漂っている。
日本固有の伝統や文化が壊されるという危惧がその理由とされるが、歴史のページを紐解けば、その主張がいかに的外れであるかが分かる。
日本文明の夜明けを支えたのは他ならぬ渡来人による新しい血と知恵であった。
応神天皇の時代、百済から王仁(わに)が論語や漢字のお手本である千字文をもたらした。これが日本における漢字の始まりである。
その後も多くの渡来人が朝廷に重用され、彼らがもたらした最先端の知識、土木技術、機織り、製鉄が、未熟だったこの列島を国家へと押し上げた。
しかし日本人の真に卓越した点は、それらを単に輸入して終わらせなかったことにある。
先人たちは、渡来人がもたらした複雑な漢字を自らの血肉とし、そこから日本独自の平仮名や片仮名を発明した。
外来の文化を拒絶するのではなく優しく包み込み、磨き上げ、世界に類を見ない日本固有の文化文明へと昇華させたのだ。
この柔軟な創造性こそが私たちが誇るべき日本精神の本質である。
私たちは自らの国を大和(やまと)と呼ぶ。
文字通り大きく和す。
これこそがこの国の国号に込められた究極の理想である。
聖徳太子の側近として活躍した高僧慧慈(えじ)や財政や軍事顧問だった秦(はた)氏、仏像制作を担った止利(とり)仏師、又の名を鞍作鳥(くらつくりのとり)と称した百済人、高句麗人、新羅人、或いは大陸系の渡来人が多数、ここ、日本で暮らし、この国の発展に貢献してきた。
信長は明から来た瓦工の一観(いっかん)がもたらした技術で安土城の瓦を焼かせ、ポルトガルやイタリアから来た宣教師たちを保護して火縄銃や機械時計、或いは地球儀を見て地球が丸いことを即座に理解したとも伝えられている。
日本は古来、異能を持つ人々を「神」として奉り共生することで発展を遂げてきた国柄なのだ。
今日、若者らは異次元の圧倒的才能を有する者を「神」と呼ぶように、当時の渡来人も圧倒的な知識と技術を有する神だったのだ。
斯様に、いつの時代も異質なものとの出逢いこそが日本に、新たな命を吹き込んできたのである。
今の日本に必要なのは、門を閉ざして過去の遺産を食いつぶすことではない。
「大和」の精神に立ち返り多様な才能を「大きく和して」新たな価値を創ることだ。
政治が”人手不足だから仕方なく受け入れる”といった消極的な、或いは安い労働力みたいな論理で移民を語るのは大間違いだ。
かつての朝廷が王仁や秦氏を重用したように、この国を愛し、共に未来を創ろうとする人々を温かく迎え入れ、その知恵と日本の技術を掛け合わせる。それによって私たちは再び世界を驚かせるシン日本文明を築けるはずだ。
漢字から仮名を生み出したあの力強いダイナミズムを、もう一度取り戻そう。
排斥ではなく共生こそが日本を無敵にする。
資源なきこの国を救うのは
海を越えて集う「人」という財産
そしてそれらを大きく和す私たちの寛容な魂なのだ。
#コラム #大きく和す国 #共生 #移民 #渡来人 #王仁 #論語 #千字文 #慧慈 #鞍作鳥 #止利 #秦氏 #聖徳太子 #明 #百済 #高句麗 #
