🎹【本選編・幕開け】ベートーヴェン ハ短調の戦慄:1ページに凝縮された「刃」と「塊」の罠
予選を一勝一敗で駆け抜け、ついに手にした「本選への挑戦権」。
今年は去年と違います。
先月のピティナステップで本選曲もすでに暗譜で弾いている貯金がある!
「あぁ、なんて心にゆとりがあるのかしら。母、余裕でチョコの香りを嗅いでいられるわ(※まだ食べてはいません)」
暫く放置してた本選曲の練習動画を神セブン先生へ送信。
ところが、そんな親子の「ゆとり」は、神セブン先生からの1通の返信動画で一瞬にして粉砕されました。画面に映る先生の顔が、予選の時よりさらに険しい……。
「予選より、さらにマズい状況です。このままでは本選、戦えませんよ」
えっ、先生? 今、なんと……?
🔥1ページしかない「激痛」のベートーヴェン
今回の本選、クラシック課題曲は、ベートーヴェンの『11のバガテル 第5番』。
正直に告白します。この曲を選んだ理由、それは……。
「チョコバーと同じく、1ページしかなかったから」
「短いから楽勝でしょ!」という、不純すぎる動機でした。しかし、神セブン先生の熱弁が始まります。
「この曲はハ短調(C moll)……ベートーヴェンが『運命』や『悲愴』で己の激烈な感情をぶつけた、戦いの色なんです!」
先生がその場で弾いてくださる『悲愴』の調べ。
重厚で美しい。うっとり。
「娘ちゃん、スキップしてランラン♪みたいに弾いてますけど、全然違います。ここはもっと重く、鋭く、魂を削る音でなければ!」
🔥神セブン先生の「武闘派」レッスン
画面越しの先生から放たれるのは、もはやピアノのレッスンというより、格闘技の極意のような言葉たちでした。
「左手は、音の塊を打ち付けるエネルギー!」: 左手は単なる伴奏じゃない。怒りや決意を込めた**「重い塊」**を鍵盤に叩きつけて。左手が魅力的に弾けないなら、この曲を弾く意味はありません!
「前打音は、苛烈に、鋭く!」: 甘く弾くなんて言語道断。古典派の鋭さをもって、耳を刺すような勢いで切り込んで!
「左手の16分音符は、刃(やいば)を薙ぐ激しさ!」: ここ、一番の衝撃。刃を薙ぐ!? 娘の指先、今から日本刀にならなきゃいけないんですか!?
「休符も音符! 沈黙で語って」: 音が鳴っていない時間にこそ、ベートーヴェンの息遣いを詰め込んで。休符が甘いと、すべてが台無しです。
さらに、コーダで3回続くスフォルツァンド(sf)。
「これは単なる強弱じゃない。休符を挟んで『これだ!』と三度言い切る、ベートーヴェンの頑固なまでの意志の表れです!」

💦母娘、おろおろの再始動
画面越しに放たれる先生の「ベートーヴェン愛」が凄まじすぎて、母娘はスマホの前でただただ「はい……すみません……」とおろおろするばかり。
1ページしかないから楽だと思った私、今すぐ過去に戻って自分を説教したい。
短いからこそ、一音の重みが100倍。
「短いけれど、激烈」という楽聖の罠に、私たちは完全にはまりました。
「お母さん、ベートーヴェンって、チョコバーより全然固いんだけど……」
「そうね。パキッと折るどころか、『刃を薙げ』って言われてるわね……。12歳、剣客への道ね……」
本選まで、あと1ヶ月半。
母のスイーツ断ちとともに、娘の「ハ短調・武闘派メンタル改造計画」が始まります!

