🎹【本選編・第5話】ハイジを知らない令和の娘と、不登校(?)な牧童の謎
ベートーヴェンの「ハ短調修行」を通して、身も心もすっかり「武士」になっていた娘。
そんな彼女に突きつけられた次なるミッション、ブルグミュラー 《家路につく牧童》。
「よし! 次は牧童(ぼくどう)くんよ!」と意気込む私に、娘が放った一言。
娘: 「ねえ、そもそも『ボクドウ』って何? どこの国の誰?」
私: 「えっ、そこから!? 牧童よ! 羊を飼ってる子ども!」
■ アルプス不在の令和。ペーターってYouTuber?
私は必死に、あの国民的アニメで説明を試みました。
私: 「ほら、アルプスの少女ハイジのペーターよ! 山で羊を追いかけて、夕方になったら『おーい!』って言いながら帰るあの子よ!」
娘: 「……ハイジ? ペーター? 知らん。誰それ。YouTuber?」
私: 「YouTuberじゃないわよ! 雲に乗ったりブランコが長すぎたりする名作よ!」
令和っ子の娘にとって、アルプスは「天然水の産地」であって、ペーターの仕事場ではなかったようです。

■ 「この子、学校行かないの?」という鋭すぎるツッコミ
ようやく「羊飼いの少年」であることを理解した娘。しかし、ここで令和の教育を受けている彼女から、驚愕の疑問が飛び出します。
娘: 「……待って。この子、子どもだよね? なんで平日の昼間から山にいるの? 学校は? 不登校なの?」
私: 「不登校じゃないわよ! この時代、この子たちにとっては『羊を飼うこと』が大事な仕事であり、学びだったのよ!」
娘: 「えぇ〜。算数とか漢字とかしなくていいの? 羊追ってるだけでいいなら、私も牧童になりたい……」
私: 「甘いわね! 羊一匹でも迷子にしたら死活問題なんだから! 算数よりプレッシャーすごいのよ!」
そんな「義務教育」と「羊飼い」の壁を乗り越え、ようやく娘の脳内で、学校に行かずに羊と対話する「令和版・牧童くん」が動き出しました。

■ 練習開始! 「足取り」と「口笛」の同時多発テロ
いよいよピアノに向かいますが、ここからが本当の戦いでした。
私: 「ほら、左手の伴奏! それじゃあ牧童くん、サボって足取りが重くなってるわよ。もっと軽やかに! これが牧童の軽快な足取り!」
娘: 「こう? タン、タタ、タン、タタ……。あ、右手が釣られる!」
私: 「右手は口笛よ! スラーをよく見て、キャベツの千切りにしないで一息で歌って! 学校に行かない解放感を音に乗せるのよ!」
娘: 「左手は正確な時計、右手は自由な詩人……。私の脳みそ、多重人格になりそう!」
■ 11歳、ついに「羊の気配」を感じる?
何度も繰り返すうちに、少しずつ音が変わってきました。
私: 「あ、今の転調したところ! ちょっと夕空を見上げて『今日も学校行かなかったけど、いい一日だったな』ってエモい気持ちになった感じが出たわよ!」
娘: 「……(ふっと息を吸う)……こんな感じ?」
私: 「それよ! 侍の日本刀を置いて、ようやく羊飼いの杖を持ったわね!」
娘: 「お母さん、今のところ、ちょっとだけ羊のメーメーって声が聞こえた気がする……」

■ 結末:侍、まな板を飛び越えてアルプスへ
ようやく「キャベツの千切り」を卒業し、不登校……もとい、プロの牧童としての第一歩を踏み出した娘。
しかし、神セブン先生の求める「羽のようなタッチ」と「エモいため息」への道は、まだ始まったばかり。
私: 「よし、その調子。羊を一匹も迷子にさせずに家まで帰すわよ!」
娘: 「了解! でも、その前に私がお腹空いた。おやつ食べたい。」
母のスイーツ断ちは継続中。
娘の奏でる軽やかなリズムを聴きながら、私は脳内でエア・ケーキを頬張るのでした。
本選まで、カウントダウンは止まりません。

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