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​🎹【小6発表会編第7話】「おしゃれ番長」のプライド、ドビュッシーに散る?

こんにちは。うるるんです。

ベートーヴェンの「運命」と「死神」に向き合う日々。

しかし、娘の前にはもう一つの、あまりに高くて「オシャレ」な壁が立ちはだかっていました。

​クロード・ドビュッシー。

曲は『グラドゥス・アド・パルナッスム博士』。

エルサ先生から突きつけられた、あの一言が、今も娘の耳の奥でリフレインしています。

​「ただね。ちょっと……ダサいのよ。

​🎹 K-POP愛 vs 印象派の美学

​実は、娘にとって「しょぼい」と言われるより、この「ダサい」の方が100倍深く刺さっていました。

何しろ彼女は、保育園時代からTWICE、BLACKPINK、そしてNewJeansと、名だたる韓国ガールズグループを推し続けてきた自称「おしゃれ番長」。

手持ちの服を駆使して「いかにK-POPアイドルっぽく着こなすか」を日夜研究し、トレンドの最先端を生きている(つもり)の12歳です。

「全部手持ち。でも本人は最先端のつもりです。」

​「私の辞書に『ダサい』なんて言葉はないの!」

​その日から、ドビュッシーへの猛烈なリベンジが始まりました。

ただ、エルサ先生から手ほどきを受けた「フランス音楽の感性」……それは、あまりに繊細な世界でした。

​🩷「オシャレ」の迷宮に迷い込む

​エルサ先生の教えを思い出しながら、娘は鍵盤の上で「オシャレ」を探し求めます。

  • 音をぶつけない。空気中に「置く」: ドビュッシーは、音と音が混ざり合ってできる「響きの色」を楽しむ音楽。NewJeansのダンスのように、キレがありつつも、力みを感じさせない「エフォートレス(肩の力が抜けた)」な感覚が必要です。

  • 耳を120%開く: 「自分の出した音が、部屋の空気にどう溶けていくか。その瞬間を聴きなさい」と先生の言葉。

​オシャレに、オシャレに。

そう思ってやればやるほど、迷子になる娘。💦

「……なんか違う。
これでは、原宿系だ。
ポップで可愛いけれど、いま私が弾きたいドビュッシーのオシャレは、それとはまた別の色。
もっと透き通っていて、つかみどころがない感じ。
私がやると、なんだかデコりすぎちゃう!💦」


「フランスの空気を弾きたいのに、なぜか原宿が混ざる。ピアノの前で途方にくれるオシャレ番長」

​鏡の前でポーズを決めるのは得意な娘も、音で「フレンチ・シック」を表現する難しさには大苦戦。

鍵盤を叩けば「野暮ったい」と言われ、弱く弾けば「芯がない」と言われる。

やればやるほど、自分の音が「オシャレ」から遠ざかっていくような気がして、娘は完全に「音の迷子」になってしまいました。


🎹ドビュッシーパパと、お父さんの記憶


オシャレを追求し、オシャレ迷子になっていたある日、娘が言いました。

​「この曲、ドビュッシーパパが誰よりも可愛がった娘のシュシュに向けた曲だよね。
シュシュがどんなにパパが好きだったかは、私、少しわかるかも。
私もお父さんに、うんと可愛がってもらったから

​​私事ですが、私は娘を出産後、産休育休を経て娘が10ヶ月の時に職場復帰しました。

私の職場は土日出勤有りのシフト勤務のため、娘は赤ちゃんの頃から月の半分くらいは週末を父と二人で過ごしていました。

娘が幼少期は、朝、母を会社まで送り届けるのが、わが家の小さな日課でした。 そのあとは、父と娘のふたり時間。 手にしたフラペチーノを片手に、今日はどこへ行こうかと笑い合いながら、休日が始まってたようです。

夫は公園、動物園、遊園地、プール、ショッピングモールのキッズパークなどあらゆる場所へ連れ歩き、全力で遊んでくれました。

娘の幼き日の休みの記憶は、お父さんと二人で遊んだ記憶が大半を占めているかもしれません。

​娘は、自分の幼少期の楽しい記憶を、楽譜に重ね始めました。

​「例えば、この曲の始まり。お父さんと行った水族館の、ふわっと見える水槽。ここなら『ふわもこっ』って弾けるかも」

(冒頭:modérément animé。流れるような16分音符の穏やかな揺らぎ)

「水の中みたいな光と音。あのときの感覚を、もう一度指先で探している。」

​「音が跳ねるところは、お父さんとプールに行ったとき。ピチャピチャ跳ねる水しぶきの向こうに見える夏の景色かな」
(中間部へ向かう光を反射するようなスタッカートの連続)

水しぶきと笑い声。 あの夏の記憶が、今も音の奥でやわらかく鳴っている。

​「この中間部は、私が眠くなってお父さんが抱っこしてくれた時の温もり。お父さんの温かい温もりとか、ウトウトした目から見えたフワっとした景色」
(中盤:速度指示が変化し、静寂の中に和音が響く箇所)

お父さんの温もりと寝ぼけ眼の景色、その二つを優しい音にして残せる気がした

​「最後は、お父さんが『そろそろお母さん帰ってくるから地下鉄の駅まで迎えに行こう』って車で駅まで向かってた時、車から見えた景色。
夕焼け空がモネの絵みたいにきれいで、もうお母さん帰ってくるってワクワクして」
(終盤:再び活気を取り戻し、一気に光が溢れるフィナーレ)

あの日の夕焼け空を、そのまま音にできたらいいのにと思った。

🩷12歳の決意   愛情の先に、光るオシャレを

​娘の瞳には、まだ消えていない炎がありました。

「『オシャレに弾く』は正直まだわからない。
でも、ドビュッシーパパのシュシュへの愛情なら表現できるかもしれない。
シュシュへの優しさと、その先にあるフランスらしいオシャレ……もっと研究してやる」

​新たな決意を胸に、娘の指が再び鍵盤に触れます。

オシャレ番長が、自分自身の愛された記憶を、ドビュッシーの音色に変えていく。

新たな決意を胸に、娘のドビュッシー特訓はさらに熱を帯びていきました。


ねえ、シュシュ、あなたのパパの優しい音色、私少しだけわかったよ。私もね、お父さんにたくさん愛されてるから。

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