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🎹「ピアノはおもちゃ」だったあの日から。環境のハンデを越えて、本選の舞台に立つまで

これは、才能も環境もなかった共働き家庭が、
「無理だと思っていた世界」に踏み込んでしまった、
5年間の記録です。

私は、フルタイムで働くワーキングマザーです。

夫は夜勤のある工場勤務。

娘は0歳の頃から保育園で育ちました

朝は保育園に送り、
仕事を終えて迎えに行き、
夕飯を作り、
洗濯機を回し、
翌日の準備をする。
そんな毎日を必死で回し続ける、
いわゆる「典型的な共働き家庭」。

我が家の日常は、
いつも時間に追われていました。

「バレエを習いたい」
「スイミングに行きたい」

幼い娘が口にする憧れを、
私はこれまで何度も却下してきました。

冷たい母親だと思われるかもしれません。

でも、
それが私たちの現実でした。

平日は仕事に追われ、
一分一秒を争うスケジュール。

休日は一週間分溜まった家事を片付けるだけで精一杯。

習い事の送迎に割く体力も時間も、どこを探しても残っていなかったのです。

周りの家庭が、
レッスンバッグを持って
出かけていく姿を見るたび、
胸が少し痛むこともありました。

それでも私は、
「今は無理」
「うちは違う」
と、自分に言い聞かせるしか
ありませんでした。

そんな中、
娘が唯一、
諦めずに口にし続けたのが
「ピアノ」でした。

娘が小学3年生になり、
少しずつ自分のことができるようになってきた頃。

「一人で練習もできるだろうし」
「近所に教室も見つけたし」
そんなふうに、
どこか自分を納得させるような
軽い気持ちで、
私はようやく
ピアノを習わせる決断をしました。

マンション住まいという住宅事情もあり、
自宅に用意したのは、
消音機能付きの
一番手頃なアップライトピアノ。

決して立派な環境ではありません。

けれど、
念願のピアノを前にした娘の瞳は、
それまで見たことがないほど
輝いていました。

当時の娘にとって、
ピアノは
「表現を追求する楽器」ではなく、ただ音が出て楽しい、
大好きな「おもちゃ」でした。

仕事から帰宅した私の横で、
娘はお気に入りの玩具で遊ぶように、鍵盤に触れ、
ただ純粋に音を鳴らす時間を
楽しんでいました。

そんな穏やかで幸せな日常の中で、先生からさらりと手渡されたのが、
あまりにも重い「招待状」でした。

「──ピティナ・ピアノコンペティションに、
挑戦してみませんか?」

その一言が、
娘から「おもちゃ」を取り上げ、
一人の「表現者」としての
過酷な世界へと
突き落とす合図になるとは、
当時の私は
まだ理解していませんでした。

ピティナ・ピアノコンペティションは、
全国200ヶ所以上で予選が行われ、年間延べ4万人以上が参加する、日本最大規模のピアノコンクールです。

小学4年生だった娘が
挑むことになったのは「B 級」。

バロック、古典、ロマン、近現代。
4つの時代の課題曲を学び、
夏の本番に向けて
全国の子どもたちが
しのぎを削る世界でした。

後になって知ることになりますが、予選を通過できるのは、全体の3割にも満たない
狭き門。

ピアノ歴はわずか1年。
音符もまだ怪しく、家には
消音付きアップライトピアノしかない。

この小4でのB級初挑戦は、
娘にとってのピアノが
「楽しいおもちゃ」から
「超えるべき高い壁」へと
変わった瞬間でした。

この年、
私たちはピアノ界の厳しい洗礼を浴び、完膚なきまでに
打ちのめされることになります。

けれど今なら、
はっきり言えます。
この「予選落ち」という苦い経験こそが、
翌年から始まる
C級、D級での物語を
動かし始めた、
すべての始まりだったのだと。

次回、小学4年生。
「ピアノというおもちゃ」を手放し、
初めて“勝負の世界”に立った夏の話。

※同じように
「環境がないから無理かもしれない」
と悩んでいる方がいたら、
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#ピアノ #共働き #子育て #ワーママ #ピティナ #実話

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