卒業ボタン
「内緒だからな」
そう言って俺は制服の第二ボタンを渡す。
「ありがとう…////」
彼女は嬉しそうに、大事そうに受け取って
頬を赤らめて走り去る。
俺の名前は冴島優樹。今年卒業の高校3年生。
これは卒業シーズンには良く見られる光景だ。
廊下の角を曲がると次の女子が居る。
おっと、その前に補充、補充。
ポケットからボタンを取り出して、第二ボタンを取り付ける。
「先輩!卒業おめでとうございます!
あの…出来れば第二ボタンもらえないですか?」
ほらやっぱり。
「あ?あぁ、いいよ。内緒だからな」
「きゃあ!ほんとですか!ありがとうございます!嬉しいです!」
もう5つ目だ。ポケットの中のボタンも残り2個か。
次はどこから来るんだ?早めに補充しないと。
まったく、モテるってのは辛いもんだな。
まるで、全校生徒の女子たちがこの俺を好きになってしまっているようだ。
でも、俺としては本命のみゆきさんに渡したい!彼女は学校近くのたい焼き屋さんでバイトしてる年上の女性。
最後のボタンは絶対みゆきさんに渡すんだ。
そろそろ渡しに行くとするか。
俺は駐輪場に向かった。
おっと!待ち伏せだ!
二人居る!
残りボタンは2個。そのうち1個はみゆきさんに!
すまない、君たち!
1個しかあげられない。
「あ!先輩!卒業おめでとうございます!
ユミがお願いあるんです!さ、ユミ!(良かったね、まだ第二ボタンついてるよ)」
いや、聞こえてるし。
「せ、せ、センパイ…その…ボタン。だ、だ、第二ボタンもらえませんか」
「あぁ、いいよ。どうぞ、くれぐれも皆んなには内緒だぞ」
「あぁ!ありがとうございます!大事にします!…あ!そ、卒業おめでとうございます!」
そう言って二人は去って行った。
良かった。最後の1個だけは無事だ。
よし、このままみゆきさんのところへ!
「み、みゆきさん!あの、だ、第二ボタン…」
「あら冴島くん!いらっしゃい今日は何匹?」
「いや、その…」
「あ、そうだ!メルカリ見た?凄いね冴島くん」
「え?」
「出てるよ冴島くんの第二ボタン」
「へ?」
慌ててスマホを開いてメルカリを見た。
【本物】N高校3年2組冴島優樹の第二ボタン
S/N: 1/7と2/7 セット。3,000円
【本物】入手困難!N高3年あの冴島優樹の第二ボタン S/N: 3/7 。 2,000円(送料込)
…そんな。
「で、あたしには7個目をくれるの?」
参加させていただきました!
