オールスターキャスト
私は昭和生まれの人間である。
幼少期、映画産業は元気だった。
最近はあまり耳にしない気がするのだが、その頃、映画のキャッチコピーで「オールスターキャスト」という売り文句をよく聞いた記憶がある。
念のために書いておくと、「オールスターキャスト」とは、「出演者の(ほぼ)全員に主役級の演者を起用していますよ」ということだ。
昔は、限られた「映画スター」を起用することが、ヒットの方程式だったのだろう。
現代はどうだろう?
「オールスターキャスト」じゃない映画の方が珍しいのではないだろうか。
出演者全員、名の知れた、あるいは見たことのある人たちばかりではないだろうか。
人材に事欠かないのは良いこととは思うが、場合によっては別の作品のイメージが強すぎて、その映画でのその役者の演技に違和感を感じることがあったりしないだろうか。
制作側やスポンサーにしてみれば、「売れっ子有名人」が多数出演していた方が、「興行成績」にプラスに働くに違いないと考える気持ちは十分理解できる。
が、分析が進みすぎて、「若い女性がターゲットだからキャストはこの人とこの人を揃えよう」とかになってくると「なんだかな~」という気がするのだ。
商業的に成功しなければ続けられない厳しさは、いつの時代もまとわりついている。
正確でないかもしれないが、映画「となりのトトロ」は「火垂の墓」と同時上映だった。
「となりのトトロ」は宮崎監督が「好きにやっていいよと言われて、好き勝手に作った」んではなかっただろうか。
ある程度の数字が見込める「火垂の墓」と「なんだかわからない」「となりのトトロ」を同時上映することで資金繰りに繋げるというプロの仕事ぶり。
「となりのトトロ」単体の興行成績は当時はそうでもなかったと記憶している。
だが長い目でみれば「となりのトトロ」の方がよっぽど記憶に残り、ファンを獲得し、関連グッズや施設の入場料で稼ぎまくっている存在となっている。
誰かの情熱が誰かに伝わる。
情熱が感じられない作品はダメだと思う。
たとえ「オールスターキャスト」にしたところで。
