【実録】原価リスクを甘く見た結果、コスト爆発でプロジェクト中止の危機に… #PM奮闘記7
はじめに:リスクは「潜んでいる」ものだと痛感した
こんにちは。HASエンジニアです。
皆さんは今までのプロジェクトで抱えていたリスクが火種となって炎上し、大変な思いをした経験はありませんか?
少し前の話ですが、進行中の製品開発プロジェクトで私は大きな問題に直面しました。
「リスクは、存在しているだけで終わらない。正しく対処しなければ確実に牙をむく」
そんな当たり前のことを、身をもって思い知ったのです。
私は開発出身で、どうしても技術系のリスク、たとえば性能、安全性、法規制などに意識が偏りがちでした。
その結果、もっとも影響の大きい「販売原価」というビジネスリスクに、目を向ける余裕がなかったのです。
開始当初から存在していた「販売原価リスク」
プロジェクト初期のリスク洗い出しでは、「販売原価が高騰する可能性」は確かに挙がっていました。
しかし正直、「そこまで大きな問題にはならないだろう」と軽視していました。
自分も開発をやっていた経験もあってか、
量産プロセスの確立によるコストの最適化
部材のボリュームディスカウント
で最後は適正コストに落ち着くと思っていたからです。
今回の製品は新技術の採用が成功の鍵を握っていたためで、そちらが実現できないリスクの方が圧倒的に高いと思っていたからです。
「この技術が形にならなければ、そもそも製品が成立しない」──そう考え、私は“動くものを作る”ことに意識を集中していました。
「コストは後から調整できる」と、どこかで高を括っていたのです。
顕在化した「販売原価問題」―”リスク”が”問題”となり、全社を巻き込む混乱に
そしてプロジェクト後半、ついにそのリスクが爆発します。
気づいたら原価は、想定の2倍超。完全に収拾不能なレベルになっていたのです。
プロジェクト中止の話まで出る中、以下のような総力戦で事態の収拾を図りました:
マーケティング部門と年間販売見込みの再確認、それに基づいた原価目標の再設定。
設計変更と要件バランスの再検討を実施。特に要件の調整が大変で、ここでも開発と営業の板挟みになりました。
取引先への再交渉(ボリュームディスカウント、契約金調整)
契約金の再調整によるROI(投資回収)への影響を会計部門に試算依頼
プロジェクト予算の再確保と承認取り付け。コンティンジェンシーリザーブ(PMの裁量で用意できる予備費)を優に超え、マネジメントリザーブ(経営判断が必要な予備費)を使用する事態となってしまいました
プロジェクト内にとどまらず、関係部署、取引先も巻き込み、大規模な調整と意思決定の連鎖が発生しました。
リスク評価が「形式的」で「偏って」いた
プロジェクト開始時には、関係者とともにリスクを洗い出し、「発生頻度 × 影響度」で重要度を評価するプロセスを実施していました。
しかし、今思えばその活動自体が形式的になっていたのです。
加えて、技術中心の視点で評価していたため、ビジネス面のリスクが過小評価されていたというのも事実です。
PMとして、全体を俯瞰しながら「技術」と「ビジネス」の両輪を見ていなかったことを、深く反省しました。
業種・製品ごとに「お決まりのリスク」はある
今回のような販売原価リスクは、私たちの業種・製品群においては“定番リスク”とも言える存在でした。
PMBOKで言うところの「OPA(Organizational Process Assets:組織のプロセス資産)」──過去のプロジェクトから得た教訓や、リスク発生事例を仕組みに反映していく。
それをもっと早い段階で活かすべきだったと痛感しています。
「今回は何とかなった」ではなく、「次はどう防ぐか?」が組織に求められる姿勢です。
おわりに:リスク管理は「洗い出し」以上に「モニタリング」が肝
当たり前すぎる話ですが、リスクは最初に挙げるだけでなく、継続的なモニタリングが不可欠です。
「今どうなっているか?」を定期的に確認し、想定から外れてきたらすぐに対処する。
「存在は知っているけど、優先度を下げている(と判断した)リスク」
今回の失敗は、まさにその軽く見ていたリスクが引き起こしたものでした。
プロジェクトマネージャの仕事は、形式的に行うタスクの進行管理ではありません。兆候を捉え、全体のバランスを見ながらリスクが顕在化する前に未然に手を打つこと。
この経験談が、読者の皆様の「次のプロジェクト」のヒントになれば嬉しく思います。
最後までお読み頂きありがとうございました!
PMに関するマガジンを作成しました。お時間のある時に見て頂けると嬉しいです!
いいなと思ったら応援しよう!
応援頂きありがとうございます!頂いたチップは今後の活動費(資格、PMなど)に活用させていただきます!