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15歳、ただ会いたかっただけ。第十四話 まだ続くと思ってた

夕方の空気が、少しだけやわらいでいた。

昼の暑さが残ったまま、いつものコンビニの前に集まる。


「今日ちょっと涼しくない?」


みさきが腕をさする。


「やっと夏終わるな」


かずきが笑う。


「遅すぎだろ」


としも同じように返す。


いつもと同じ会話。


いつもと同じ距離。


隣に立つのも、もう当たり前になっている。


「なに飲む?」


かずきが店の中を見る。


「なんでもいい」


そう答えると、


「じゃあこれ」


としが適当に一本取る。


「またそれ?」


「いいだろ」


軽く押しつけられる。


「適当すぎ」


「大差ない」


そのやり取りに、みさきが笑う。


「ほんとそれ好きだね」


「別に」


そう返しながら、自然に受け取る。


肩が軽く触れる。


もう、いちいち意識しない。


それが普通になっていた。


外に出て、いつもの場所に座る。


何気ない時間。


何も変わらないはずの時間。


「そういえばさ」


かずきがふと思い出したみたいに言う。


「今月で半分なんだよな」


一瞬、意味がわからない。


「なにが」


みさきが普通に聞く。


「こっちの仕事」


軽く言う。


「9月で折り返しだからさ」


少しだけ間があく。


「10月末で終わり」


言葉が、落ちる。


誰も、すぐには何も言わなかった。

「……え?」


みさきが先に反応する。


「終わりってなに」


「だから仕事」


としが当たり前みたいに言う。


「終わったらそのまま帰る」


時間が、ほんの一瞬だけ止まる。


「……地元?」


「うん」


普通に頷く。


「最初から決まってたし」


その一言で、はっきりする。


“最初から”


さっきまでの空気と、繋がらない。


「え、ちょっと待って」


みさきが立ち上がる。


「聞いてないんだけど」


「言ってなかったっけ」


かずきが軽く言う。


「聞いてないって!」


少し強い声。


でもそのあと、言葉が続かない。


その横で、

何も言えないまま、ただ座っている。


頭に入ってこない。


さっきまでの会話が、遠い。


「……いつ」


やっと出た声。


思ってたより、小さい。


「10月末」


としがそのまま答える。


「あと…2ヶ月ないくらい?」


軽い。


その言い方が、やけに軽い。


「……そんなすぐ?」


言葉が追いつかない。


「まぁ元々短期だし」


かずきが言う。


「最初から決まってたしな」


また、その言葉。


“最初から”


胸の奥に残る。


「……そっか」


やっと出たのは、それだけだった。


それ以上、何も出てこない。


としが少しだけこっちを見る。


でも、何も言わない。


「まぁまだ時間あるし」


かずきが空気を軽くする。


「そんな深刻になるほどじゃなくね?」


「いやなるでしょ普通に」


みさきが返す。


でも、その声も少し弱い。


さっきまでみたいに、強くはない。


何も言えないまま、

ただ隣にいる。


距離は変わってないのに、

さっきまでとは、全然違う。


近いはずなのに、

少し遠い。


夕方の風が、少しだけ冷たい。


同じ場所。


同じ四人。


なのに、


さっきまでとは、全部違って見える。


当たり前に続くと思ってた時間が、



そうじゃないってことだけが、残る。



この時間にも、終わりがあるってことを、はじめてちゃんと考えた。








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