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15歳、ただ会いたかっただけ。十六話 消えない不安

あれから、何事もなかったみたいに、時間だけが過ぎていく。


だけど、一度根付いた不安はどんどん膨らむばかり。


〝まだ先”だから大丈夫。


自分に言い聞かせる。



そんな思いを繰り返しながら、日々だけが過ぎていった。


としと2人きり


他愛もない会話を繰り返しながら、


時々触れ合うみたいに唇を重ねる。



気づけば、そのまま互いの温もりを確かめ合うように肌を重ねていた。


離れたくなくて、縋るみたいにその温もりを求める。


それでも、不安だけは消えてくれなかった。



しばらく抱き合ったまま、静かな時間が流れる。



そんな気持ちを誤魔化すみたいに、ぽつりと呟く。



「最近、眠い」



「夜更かししてるからだろ」



「してないし」



「してる顔してる」


ふと会話が途切れる。



沈黙が落ちるたびに、胸の奥がざわついた。



何か言わなきゃ。



そう思うのに、言葉が浮かばない。



隣を見ると、としが小さく笑った。



「なに」


「いや、なんか静かだなって」



そう言いながら、自然に距離が近づく。



次の瞬間、軽く触れるみたいにキスをされた。



いつもと変わらないはずなのに。



触れられるたび、胸の奥が苦しくなる。



足りない。



もっと、安心したかった。



離れてほしくなくて、気づけば自分からもう一度唇を重ねていた。



このまま終わるのが嫌で、気づけばそのままとしに抱きついていた。



自分でも驚くくらい、強く。



すると、としは何も聞かずに、そのまま静かに抱きしめ返してくれる。



背中に回された腕が、苦しいくらい優しかった。



それなのに。


胸の奥に広がった不安だけは、どうしても消えてくれなかった。



安心したかったはずなのに。



触れられるほど、逆に怖くなる。



この時間が終わったら。



また1人になったら。



そんな考えばかりが、頭から離れなかった。


としの胸に顔を埋めたまま、ゆっくり顔を上げる。



視線が合った瞬間、泣きそうになる。



だけど、そんな顔を見せたくなくて、ぎゅっと唇を噛んだ。


「……どうした」



小さく笑うみたいに、としがそう聞く。



言えるわけない。



この先のことが怖いなんて。



重くなりたくなくて、無理やり「なんでもない」と笑った。


抱きしめられたまま、しばらく誰も喋らなかった。



静かな空気なのに、不思議と嫌じゃない。



としの体温を感じるたび、少しだけ安心して。



それでも、胸の奥の不安だけは消えないままだった。


「……眠そう」


ふいに聞こえた声に、顔を上げる。


時計を見るふりをしながら、終わってほしくないと思ってしまう。



もうこんな時間。



まだ帰りたくない。



そう思ったのに、その言葉だけはどうしても口に出来なかった。



隣を見る。



何も変わらないみたいに笑う、としの横顔。



その優しさに安心しそうになるたび、胸の奥が苦しくなる。



このまま、ずっと隣にいられたらいいのに。



そんなことばかり、考えてしまっていた。








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