15歳、ただ会いたかっただけ。第三話 期待してた人
翌日、私はかおりと昼過ぎから遊んでいた。
2人でカラオケに行った。
2人だけのテンションとは思えないほど盛り上がっていた。
踊りながら歌ったり、ソファーの上でジャンプしたり。
「ゆう、今日はいつもよりテンション高くない?」
かおりはにやにやしながら私に言った。
「だって、としが来るんだもん。」
私は自分で思ってたよりも嬉しかったらしい。
隠せないほど態度に出ていたみたいだ。
「楽しみー」
「だねー」
歌って、踊って、色々語り合ったりして、時間はあっという間に過ぎた。
そろそろ待ち合わせの時間になり、私達はカラオケを出た。少しすると、一緒に来るまさから電話があった。
「今どこ?」
「駅前に居るよ」
「そっち行く」
やっと、としに会える。
私は少しドキドキしていた。
「お待たせー」
「お疲れ様ー」
そう言ったあと、としが一瞬だけ私の方を見て、少しだけ笑った気がした。
彼らは鳶職だ。仕事が終わってから、その足で待ち合わせ場所に来たらしい。太いニッカがまたかっこよく見えた。
私は緩む口を抑えられず、にこにこしながら話していた。
とりあえず、ご飯を食べに行く事になった。
とはいえ、居酒屋ではなくファーストフード。
作業着を着ている彼らがファーストフードに行くのは似合わない。場違いの差に、年上だけどなんだか可愛く見えた。
私はくすくす笑いながら、
「その格好でポテト食べるの?」
「仕方ねーべ」
そう言いながら、としがポテトを一つ取って、何も言わずに私の方に差し出してきた。
食べながら色々な話しをした。彼らの仕事の話、地元の話、友達の面白いエピソード。
私達の学校の話、普段何して遊んでるかなど。
まさはよく話すし、会話が途切れそうになってもまさが話してくれる。
沈黙になりそうでも、不思議と気まずくはならなかった。
話しは尽きない。
共通点なんか何もなかったけど、盛り上がって楽しく話せた。
2時間くらい経って、明日も仕事で朝早いみたいだから、帰る事になった。
正直、早過ぎ、とか思ったけど仕方ない。
歩いて帰る事にした。
帰りも話しは盛り上がりながら帰った。かおりと私にまさがちょっかいを出して追いかけてみたり、
凄く楽しかった。
まさより年下のとしの方が大人っぽく見えた。
少し、まさとかおりが離れたところを歩いていて、私はとしと並んで歩いていた。
2人で話しながら歩いていると、
としが、
「また会えない?」
「うん、良いよー」
「次は2人で」
一瞬、時間が止まったみたいだった。
「うん」
と私は返事をした。
嬉しいけど、なんだか恥ずかしかった。
「良かった」
そう言って、としは少しだけ安心したように笑った。
私は内心凄くドキドキしていた。
心臓の音が自分でも分かるくらい大きくて、隣を歩いてるとしに聞こえてるんじゃないかって思った。
としは、見ている感じいつも通りの態度だった。
女慣れしてるなと思った。
その時の私は、としの全部がカッコ良く見えていた。
その時は、まだよく分からなかったけど——
その日から、少しだけ、としの見え方が変わった。
#恋愛小説部門 #創作大賞2026
