「嘘」と「真実」の間で揺れる青春
『わたしを知らないで』
美月の「見られたくない自分をさらけ出す」感情に強く共感。 苛烈な立ちも忘れず、そのリアルさが痛かった。秘密と関係性のバランスが、人を繋ぐも壊しもする――深く考えさせられる読書体験。
わたしを知らないで
白河三兎(著)
著者:白河三兎
出版社:集英社
発行年:2022年
ジャンル:青春小説/恋愛小説/心理劇
中2の夏の終わり、転校生の「僕」は不思議な少女と出会った。誰よりも美しい彼女は、なぜか「キヨコ」と呼ばれてクラス中から無視されている。「僕」はキヨコの存在が気になり、あとを尾行するが……。少年時代のひたむきな想いと、ままならない「僕」の現在。そして、向日葵のように強くしなやかな少女が、心に抱えた秘密とは――。メフィスト賞受賞の著者による書き下ろし。心に刺さる、青春の物語。
白河三兎(著)
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概要
主人公は女子高校生・高科美月。
クラスメイトとの関係や部活動に心を砕きながらも、彼女には“ある秘密”があった。
彼女を取り巻くのは、まっすぐな幼馴染・直樹、心を乱す同級生・佐伯、そして親友と呼ぶには距離が近すぎる友里。
物語は、美月が彼らとの関係の中で「本当の自分」を隠しながら過ごす日常を描いていく。
やがて“嘘”と“隠し事”が積み重なり、友情も恋も、形を変えていく。
誰もが抱える「知られたくない自分」と「本当は知ってほしい自分」。
その狭間でもがく少女の姿が、切実に描かれている。
印象に残ったところ
美月が「わたしを知らないで」と願う場面は、思春期特有の矛盾と痛みを凝縮していた。
心に残った一節:
「わたしを好きになってくれてもいい。でも、わたしを知らないで」
友情のようで恋愛、恋愛のようで友情という曖昧な関係性が、読む側の感情も揺さぶる。
💭感想
読んでいて、美月の「見られたくない自分を隠す」という感情に大きく共感した。
誰にでも“他人に知られたくない部分”がある。それを抱えたまま人とどう向き合うかは、年齢を超えて普遍的なテーマだと感じる。
一方で、美月の言動に苛立ちを覚える瞬間もあり、それが逆にリアルで痛切だった。
「秘密」と「関係性」のバランスは、人をつなぐものでもあり壊すものでもある――そんなことを考えさせられた。
✅まとめ・おすすめ
おすすめしたい人:
思春期の不安や孤独に共感できる人
人間関係の「境界線」に興味がある人
心理描写の濃い青春小説を読みたい人
全体を一言で:
「隠したい自分」と「知ってほしい自分」のせめぎ合いを描く、痛切な青春小説。次に読むなら
凪良ゆう『流浪の月』(秘密と他者との関わりを描いた青春と愛の物語)
相沢沙呼『小説の神様』(思春期の心の葛藤と人とのつながりを描いた青春群像)
次の感想本
相沢沙呼 さんの『小説の神様』
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自己紹介
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