会社員にはタルトタタン
『バニラな毎日』
心に悩みを抱えた登場人物たちと、彼らをそっと包み込む洋菓子の温かさが印象的な物語です。「美味しそうな食べ物が出てくる本」に強く惹かれる私は、この作品でも想像のなかでその香りや甘さを味わいました。
バニラな毎日
賀十つばさ (著)
閉店が決まった洋菓子店で、なぜか店主と常連客のマダムがお菓子教室を始めることに。生徒はあなた一人だけ。参加条件は悩みがあること。一歩踏み出す勇気が持てない会社員にはタルトタタン、過保護で心配性な母親にはイートン・メス、失恋ばかりして落ち込む男性にはザッハトルテ……。あなたの悩みを解決する、美味しい人生のレシピ教えます。
賀十つばさ (著)
Amazonより
この小説の面白さは、悩みごとに合ったお菓子を処方してくれるお菓子教室というユニークな設定です。
閉店を控えた洋菓子店が舞台となり、マダムと店主が悩める「あなた」だけのためにレッスンを始めてくれる。
「一歩踏み出す勇気が持てない会社員にはタルトタタン」「過保護で心配性な母親にはイートン・メス」など、物語ごとに登場するスイーツが物語と心情を鮮やかに彩り、どのエピソードにも“その人だけの味”と温度があるのが魅力です。それぞれのキャラクターに寄り添い、ほどよい甘さで背中を押してくれるやさしさを感じました。
特に心に残った名言
「悩みがあるってことは、まだ誰かと分かち合える気持ちが残っているってことよ。」
ひとりで抱えがちな悩みも、“お菓子と誰か”があればきっと少しだけ軽くなるのだと、そっと教えてくれます。
読むポイント
悩みごとにスイーツを“処方”される楽しさと癒し
日常にあるちょっとした停滞や孤独にそっと寄り添う物語展開
お菓子の描写が五感に訴えかけ、読後に思わず何か作りたくなる読書体験
登場人物たちがレッスンを通じて少し前に進む姿に、共感や励ましをもらえる
美味しいものと物語に癒されたい方、心がちょっぴり疲れた時にページを開くと、ほっと肩の力が抜けるような優しい一冊です。
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自己紹介
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