自分の世界を広げていく喜び
スーパーカブ(2)
スーパーカブを手に入れてから、私の日々は少しずつ変わっていった。
両親も友達も趣味もなく、何もなかったはずの毎日――気がつけば、季節は秋から冬へと移り、南アルプスの麓を吹き抜ける風はどんどん冷たくなっていく。
朝、バイクのエンジンがなかなかかからず、指先はかじかみ、学校までの道のりは雪に覆われている。
時には肺が凍りつくような向かい風に苦しみながらも、私はスーパーカブにまたがり、毎日を走り抜けている。
そんな冬の厳しさの中で、同じバイク乗りの礼子と一緒に、私たちは新しい試練に挑んでいく。
カブと出会ったことで、私の世界は少しずつ広がり、変わっていくのを感じる。
最近では、クラスメイトの恵庭椎も私のことを気にしてくれているようで、彼女の視線や言葉が、どこか温かく心に残る。
少女たちとバイクの、厳しくも楽しい冬が、今まさに始まろうとしている。
スーパーカブ(2)
トネ・コーケン (著),
博 (著)
両親も友達も趣味もない、何もない日々を過ごしていた小熊が、スーパーカブを買って数ヶ月。季節は変わり、南アルプスの麓に吹く風は日に日に冷たくなっていく。かじかむ指。かかりにくくなるエンジン。肺が凍りつく向かい風。雪の積もった道路――同じくバイク乗りの礼子と共に、試練の季節へ挑む小熊。カブとの出会いで少しずつ変わる彼女のことが、同級生の恵庭椎は気になっていて……。少女たちとバイクの、厳しく楽しい冬が始まる。
トネ・コーケン (著),
博 (著)
メインキャラクター
小熊(こぐま)
本作の主人公。山梨県北杜市に住む高校2年生の女子。両親も友達も趣味もなく、孤独な日々を送っていたが、スーパーカブを手に入れてから少しずつ世界が広がり始める。
礼子(れいこ)
小熊の同級生で、長身・美形の女子。裕福な家庭に育ち、別荘で一人暮らしをしている。バイクに強いこだわりを持ち、最初は郵政カブ、のちにハンターカブを愛用。小熊とバイクを通じて友人となる。
恵庭椎(えにわ しい)
小熊と礼子のクラスメイト。文化祭をきっかけに親しくなる。実家はカフェを営んでおり、夢はイタリア風カフェを開くこと。物語の中で3人の友情が深まるきっかけとなる。
サブキャラクター
椎の父・椎の母
椎の家族で、カフェを経営している。小熊や礼子とも関わる場面がある。
担任教師・家庭科教師・数学教師・国語教師
小熊たちの学校の先生たち。物語の背景として登場する。
その他
物語が進むにつれて、小熊たちを取り巻く人々も少しずつ関わってくるが、第2巻の中心は小熊・礼子・椎の3人である。
感想
「バイクがあれば、どこへでも行ける気がする」という小熊の心の変化に強く共感しました。両親も友達も趣味もなかった小熊が、スーパーカブに乗り始めて数ヶ月。気がつけば、カブは小熊の毎日に欠かせない存在になっていました。南アルプスの麓に吹く冷たい風、かじかむ指、なかなかかからないエンジン、そして雪道――冬の厳しさに直面しながらも、礼子と一緒に装備を整えたり、工夫を重ねて乗り越えていく日々は、苦労も多いけれど確かな充実感がありました。
この2巻では、小熊の行動半径がさらに広がり、礼子との友情も深まっていきます。そして、そんな小熊たちの姿を見ていた恵庭椎という新たな仲間が加わることで、物語に新しい彩りが生まれました。バイクを通じて少しずつ積極的になり、困難にも立ち向かう小熊の成長を感じられるのが嬉しいです。
「カブがあれば、私はどこまでも行ける。」
この一言が、小熊の今の気持ちをすべて表しています。
本作は、女子高生の青春や友情だけでなく、バイクという道具を通じて自分の世界を広げていく喜びや、冬の厳しさに立ち向かうリアルな体験が丁寧に描かれています。カブに興味がない人でも、きっと一歩を踏み出したくなる――そんな一冊です。
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自己紹介
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