日常の中の非日常
吉本ばななの最新長編『下町
サイキック』は、下町で育っ
た少女・キヨカが主人公です。
彼女は幼いころから「目に見
えないものが見える」という
特別な能力を持っています。
中学生になったキヨカは、ご
近所の友おじさんが運営する
「自習室」で、その力を使っ
て空間を清めるアルバイトを
しています。
ある日、母と離婚して家を出
ていた父が自殺未遂をしたと
いう知らせが入り、キヨカの
心は大きく揺れ動きます。
家族の問題や自分の能力への
戸惑い、そして下町で出会う
人々との交流を通して、キヨ
カは「人と違う」自分を受け
入れ、世界を生き抜く知恵を
身につけていくのです。
下町サイキック
吉本 ばなな (著)
サイキック能力を持つ中学生
のキヨカと、近所に住む友お
じさんの、ささやかだけれど
かけがえのない連帯。
人がそれぞれの力を発揮して
生き抜くための、知恵と哲学
が詰まった最新長編!
吉本 ばなな (著)
この本を読んで、吉本ばなな
さんらしい「日常の中の非日
常」がとてもリアルに描かれ
ていることに心を打たれまし
た。
キヨカの持つサイキックな能
力は、決して派手なものでは
なく、むしろ繊細で、彼女の
心の機微や成長を静かに照ら
し出します。
下町の人々との温かな交流や、
友おじさんの深い言葉が、現
実の厳しさの中にも小さな希
望や優しさを感じさせてくれ
ました。
特に印象的だったのは、「人
はいつだって、今の人生をと
にかく変えたいと思ってるか
らだよ」という友おじさんの
言葉です。
私たちも日々、何かを変えた
いと願いながら生きています。
キヨカのように「人と違う」
部分を持っていると、孤独や
不安を感じやすいものですが、
この物語は「違い」を受け入
れ、自分らしく生きることの
大切さを教えてくれます。
また、家族の問題や心の傷と
向き合うキヨカの姿には、ど
こか自分自身を重ねてしまい
ました。
現実にこんな思いをしている
誰かが、もしかしたら自分の
すぐそばにもいるかもしれな
い――そんなリアルさが、読
後も心に残ります。
まとめ
『下町サイキック』は、サイ
キックという非現実的な要素
を通して、家族や社会、そし
て自分自身とどう向き合うか
を描いた、優しくも力強い物
語です。
吉本ばななファンはもちろん、
日常にちょっとした「違和感」
や「生きづらさ」を感じてい
る人に、ぜひ手に取ってほし
い一冊です。
読後には、きっと自分の周り
の景色が少しだけ優しく見え
るようになるはずです。
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