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秩序と混沌を堪能する

ゴシックミステリーの要素を
持ちながらも、独特の雰囲気
と緻密に構築された物語が特
徴的な一冊。
恩田陸さんの『薔薇のなかの
蛇』を読みました。


薔薇のなかの蛇
恩田 陸 (著)

英国へ留学中のリセ・ミズノ
は、友人のアリスから「ブラ
ックローズハウス」と呼ばれ
る薔薇をかたどった館のパー
ティに招かれる。
そこには国家の経済や政治に
大きな影響力を持つ貴族・レ
ミントン一家が住んでいた。
美貌の長兄・アーサーや、闊
達な次兄・デイヴらアリスの
家族と交流を深めるリセ。
折しもその近くでは、首と胴
体が切断された遺体が見つか
り「祭壇殺人事件」と名付け
られた謎めいた事件が起きて
いた。
このパーティで屋敷の主、オ
ズワルドが一族に伝わる秘宝
を披露するのでは、とまこと
しやかに招待客が囁く中、悲
劇が訪れる。
屋敷の敷地内で、真っ二つに
切られた人間の死体が見つか
ったのだ。
さながら、あの凄惨な事件を
なぞらえたかのごとく。

薔薇のなかの蛇
恩田 陸 (著)
Amazonより


『薔薇のなかの蛇』を手に取
ったとき、恩田陸さんならで
はの不穏で美しい世界観に引
き込まれる予感がしました。
そしてその期待は裏切られる
ことなく、ページをめくるた
びに物語の深みに飲み込まれ
       ていきました。
この作品は「理瀬シリーズ」
の最新作でありながら、単体
でも十分楽しめるゴシックミ
       ステリーです。

物語の概要

主人公・水野理瀬はイギリス
留学中に友人アリスから「ブ
ラックローズハウス」と呼ば
れる館で開かれるパーティに
       招待されます。
この館は、貴族レミントン家
が住む場所であり、政治や経
済にも影響力を持つ一家が織
  りなす謎めいた空間です。
 そこで起こる「祭壇殺人事件」
や秘宝を巡る騒動が、物語に
     緊張感が走ります。

読んで感じた魅力

  1. ゴシック調の雰囲気
    ブラックローズハウスとい
    う舞台設定が素晴らしく、
    その描写からは英国ミステ
    リー特有の荘厳さと不気味
          さが漂います。
     霧や古い館といった要素が、
    不穏な空気感を巧みに演出
          していました。

  2. 理瀬というキャラクター
    理瀬はシリーズを通じて成
     長し続けるヒロインですが、
    本作では成熟した姿を見る
         ことができます。
    その冷静さと知性、そして
    時折見せる人間らしい揺ら
    ぎが読者として心に響きま
              した。
    ただし、彼女の行動にはダ
    ークヒロイン的な側面もあ
    り、それが賛否両論を呼ぶ
        部分でもあります。

  3. 謎解きと心理描写
    事件そのものだけでなく、
    登場人物たちの心理戦や駆
      け引きも見どころです。
    特にレミントン家の兄弟た
    ちとの交流や対立には緊張
    感があり、一瞬たりとも目
       が離せませんでした。

気になった点

一方で、前作『麦の海に沈む
果実』や『黄昏の百合の骨』
と比較すると、理瀬自身の内
面描写や揺らぎが少なく感じ
          ました。
そのため、一部では物足りな
さを感じる読者もいるかもし
         れません。
また、一部の謎が明確に解決
されない点も議論を呼ぶ部分
           です。

最後に

『薔薇のなかの蛇』は、美し
い文章と緻密な世界観が融合
       した作品です。
シリーズファンとしては理瀬
の成長を見届ける喜びがあり
ますし、初めて読む方でもゴ
シックミステリーとして楽し
          めます。
この作品を通して、恩田陸さ
んならではの「秩序と混沌」
 を堪能することができました。

この本は、一度読み始めると
その世界観から抜け出せなく
なるような魅力があります。
理瀬シリーズを知らない方に
もおすすめなので、ぜひ手に
   取ってみてください!

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