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家庭環境や経済格差など現実的なテーマが潜んでいる

カツセマサヒコさんの短編集
『わたしたちは、海』を読み
          ました。
心がじんわりと温かくなると
同時に、どこか切なさが胸に
  残る作品だと感じました。


わたしたちは、海
カツセ マサヒコ (著)

クラスの女子たちが、タイム
  カプセルを埋めたらしい。
6年3組のぼくは、親友のシン
イチとヨモヤとともに、遠く
の煙突の麓にある公園まで自
転車で行ってみることにした
   ――「海の街の十二歳」

小学校教諭の岬と保育士の珊
            瑚。
幼なじみの二人は休日に近く
  の海へドライブへ行った。
渋滞にはまった帰り道、二人
は光るスニーカーをはいた4歳
くらいの子供が一人で歩いて
いるのを見つけ――「岬と珊
            瑚」

高校の同級生・潮田の久しぶ
りのSNSを見ると、癌で闘病
中とあり見舞いに訪れた波多
            野。
数ヶ月後、潮田は亡くなり、
奥さんのカナさんから、散骨
につきあってほしいと言われ
        ――「鯨骨」

海の街にたゆたう人々の生の
営みを、鮮やかに描き出した
        傑作小説集。

書き下ろし1編を含む全7編。

収録作:「徒波」「海の街の
 十二歳」「岬と珊瑚」「氷塊、
溶けて流れる」「オーシャン
     ズ」「渦」「鯨骨」

この本は、海辺の街を舞台に
した7つの物語で構成されて
おり、どの話も登場人物たち
のリアルな感情や生活が丁寧
     に描かれています。

例えば、「海の街の十二歳」
では少年たちがタイムカプセ
ルを探しに行く冒険が描かれ
ますが、その背景には家庭環
境や友情の微妙な機微が織り
込まれていて、ただの子供の
冒険話では終わらない深みが
         あります。
「岬と珊瑚」では、小学校教
師と保育士という幼なじみ二
人がドライブ中に迷子を見つ
けるエピソードが展開されま
            す。
仕事への愚痴や葛藤を交えな
がらも、彼らのプロとしての
姿勢が光る場面には胸を打た
         れました。

また、「鯨骨」では旧友との
再会から始まり、散骨という
テーマへと進む物語が描かれ
         ています。
死や別れという重いテーマを
扱いながらも、登場人物たち
の心情が丁寧に掘り下げられ
ており、読後には静かな余韻
        が残ります。

この短編集を通して感じたの
は、「海」という存在がただ
の背景ではなく、人々の生活
や感情に深く関わっていると
       いうことです。
潮風や波音が登場人物たちの
日常に溶け込み、それぞれの
物語に独特な空気感を与えて
          います。
カツセさん自身もインタビュ
ーで語っていたように、この
作品には家庭環境や経済格差
など現実的なテーマが潜んで
おり、それが物語にリアリテ
ィと普遍性を与えているのだ
        と思います。

『わたしたちは、海』は、日
常の中でふと立ち止まり、自
分や他人との関係性について
考えさせてくれる一冊です。
読む人によって響く部分は異
なると思いますが、きっと誰
もが何かしら心に残るものを
   見つけられるはずです。


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