不完全な自分でいてもいい
『か「」く「」し「」ご「」と「』
読み終えてからもしばらく、胸の奥で小さなざわめきが続いていました。
か「」く「」し「」ご「」と「
住野 よる (著)
5人の男女、それぞれの秘密。知っているようで知らない、お互いの想い。
みんなには隠している、少しだけ特別な力を持った高校生5人。別に何の役にも立たないけれど、そのせいで、クラスメイトのあの子のことが気になって仕方ない――。彼女がシャンプーを変えたのはなぜ? 彼が持っていた"恋の鈴"は誰のもの? それぞれの「かくしごと」が照らし出す、お互いへのもどかしい想い。甘酸っぱくも爽やかな男女5人の日常を鮮やかに切り取った、共感必至の青春小説。
住野 よる (著)
Amazonより
✻あらすじ✻
わたしには、ちょっとだけ特別な力がある。
でも、それは誰かを助けたり世界を救ったりするような大げさなものじゃなくて、むしろ日常の中でこそ気になってしまう小さな「秘密」。
クラスのあの子がシャンプーを変えた理由も、あの人がこっそり持っていた“恋の鈴”のことも――全部、知ってしまうと胸がざわついて仕方ない。
本当は誰にも言えない「かくしごと」。
けれど、同じように秘密を抱えた5人が、すれ違いながらも少しずつ心を通わせていく。
甘酸っぱくて、どこか懐かしい青春のひとコマ。
これは、わたしたちの小さな力と、大きな想いが交差する物語。
1小さな「特別な力」と、それぞれの秘密
物語に登場するのは、5人の高校生。みんな、ほんの少しだけ特別な力を持っています。
でもその力は、誰かを助けるスーパーヒーロー的なものではなく、むしろ「役に立たない」と言ってしまえるほどささやかなもの。だからこそ、彼らは誰にも打ち明けられずに、それを胸の奥にしまい込んでいます。
この「かくしごと」が、彼らの日常に小さな波紋を広げていくのです。
2秘密がもたらす、甘酸っぱさともどかしさ
私が特に心を打たれたのは、「秘密」が人間関係に与える微妙な影響でした。
例えば、クラスのあの子がシャンプーを変えた理由を気にしてしまったり、誰かが持っている“恋の鈴”の持ち主に想いを巡らせたり。そんな些細なことが、心を大きく揺らす。
それは特別な力を持っているからではなく、誰かを想うときに誰もが感じる「甘酸っぱさ」や「もどかしさ」そのものなんですよね。
3住野よるさんの透明な筆致
住野さんの描く青春小説は、どこまでも透明感があります。
教室の片隅に座りながら、彼らの心の内を少しだけ覗き見しているような感覚。言葉にできない気持ちや、触れたら壊れてしまいそうな繊細な感情の揺れが、ひとつひとつ丁寧に切り取られていました。
読んでいると、登場人物たちの「特別な力」という設定が、だんだん「誰もが抱えている心の秘密」に重なっていきます。
4自分自身の「かくしごと」にも気づかされる
この本を読みながら、私も「自分の隠し事ってなんだろう」と考えました。
言えない想い、胸にしまった小さな気持ち。そういうものは不完全で不器用だけれど、だからこそ人間らしさにつながるのだと思います。
5読後に残る優しい余韻
最後のページを閉じたとき、心に残っていたのは「秘密を抱えた自分ごと、愛してあげてもいいのかもしれない」という優しい余韻でした。
甘酸っぱく爽やかで、ちょっぴり切ない――青春の輝きを閉じ込めた一冊。学生時代を過ぎた私にも、胸をきゅっとさせる物語でした。
👉青春小説が好きな方はもちろん、最近「ときめき」や「もどかしさ」に触れていないな…と感じている大人にもぜひ読んでほしい作品です。
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自己紹介
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