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【新聞の感想・8月2日】揺れていない場所にも、被害は出ています。観光の資金繰りについて。

本日の熊本日日新聞の社説は、被災事業者への支援についてでした。

見出しは「被災事業者支援に全力を」。
読みながら、いま阿蘇地域で起きていることと重ねて考えていました。

県経済への打撃が、数字で見えてきました

社説によれば、被害は県内経済に広く及んでいます。

八代市の日本製紙八代工場では煙突の倒壊事故が起き、操業再開が見通せない状況。

熊本市南区のアイシン九州の操業停止を受けて、トヨタや日産の生産にも支障が出ているそうです。

半導体関連では、ルネサスエレクトロニクスや三菱電機が操業を再開したものの、菊陽町のTSMC熊本第1工場でも液状化や陥没が起きたとのこと。

八代港では、コンテナの積み降ろしに使う大型クレーンが損傷しました。

農業被害も深刻で、収穫間近の農地や園芸施設、畜舎などが多数損壊しています。

県のまとめでは、誘致企業や地場企業で建物や設備の被害が確認され、それ以外の商工業関連からの被害報告も千件以上。

調査中の企業も多く、数字はさらに膨らむ見通しです。

一つの地震が、これほど広く経済に波及していく。

あらためて、その大きさを感じています。

揺れていない場所でも、被害は出ています

私たちの阿蘇地域、南小国町の状況です。
直接的な被害は、幸いにも限定的でした。
建物が壊れたわけでも、道路が寸断されたわけでもありません。

でも、観光には大きな影響が出ています。
キャンセルです。

交通機関が止まり、高速道路の一部が通行止めになりました。

そして、「熊本」という言葉だけで、旅の予定が取り消されていきます。

10年前と、まったく同じ構図です。

あのとき南小国町では、3万件を超えるキャンセルが発生しました。

揺れていない町から、人が消えていく。
これは、目に見えにくい被害です。

南小国町だけでも発災から8月1日までで3000にんを超えるキャンセルとなっています。

建物が壊れていれば、写真に写ります。

でも、来なくなったお客様は、写真には写りません。

だからこそ、支援の枠組みから漏れやすい。
ここが、いちばん心配な点です。

観光は、日銭商売です

宿泊や飲食は、いわゆる日銭商売です。
毎日のお客様の売上で、その日その日を回しています。

そして、この商売にはいくつかの特徴があります。

まず、仕入れが先行します。
その日の食材は、前日までに仕入れています。
キャンセルが出ても、仕入れた食材は戻せません。

次に、固定費が変わりません。
建物の維持費も、光熱費も、そして人件費も。
お客様がゼロでも、支出は続きます。

従業員の給与は、待ってくれません。
そして、売り逃した客室は、二度と売れません。
今日の部屋を、明日に繰り越すことはできない。

在庫として残るなら、後日売ることもできます。

でも、宿泊という商品は、その日が過ぎたら消えてなくなります。

つまり、キャンセルが出た瞬間に、その売上は永久に失われるということです。

「落ち着いたら、また来てください」

そう言えるのは事実ですが、失った分が戻ってくるわけではありません。

だから、資金繰りに直撃します。
しかも夏休みという、一年で最も稼ぐ時期です。

10年前の教訓を、活かしてほしい

だからこそ、社説にあった一節に強く共感しました。

10年前の熊本地震のとき、被災した事業者を支援するために「グループ補助金」が導入されました。

グループを組んだ中小企業に対して、復旧費の最大4分の3を国と県が補助する仕組みです。

そして社説によれば、県の集計では、この制度を利用した事業者のうち倒産や廃業に至ったのは1%未満だったそうです。

これは、すごい数字だと思います。

支援が届けば、事業者は生き残れる。

そして事業者が生き残れば、雇用が守られ、地域が守られます。

支援は、コストではなく投資なのだと、この数字が語っています。

社説も、同様の制度が必要だろうと書いていました。

私も、まったく同じ意見です。

そして、お願いしたいのはスピードです。
資金繰りは、時間との勝負です。

半年後に手厚い支援が来るより、今月中に一定の支援が届くほうが、救われる事業者は多いはずです。

県などが商工関連の特別相談窓口を開設したのは、心強いことです。

社説にあったように、躊躇せず相談してほしいと思いますし、金融機関にも柔軟な対応をお願いしたいところです。

そのうえで、直接被害だけでなく、風評やキャンセルによる間接被害も、支援の対象として捉えていただけたらと願っています。

▪️数字を出さないと、支援は動きません
一方で、私たち事業者側にもやるべきことがあります。

被害の実数を、きちんと把握して伝えることです。

今回、私たちは発災の翌日から、協会員の皆さんにキャンセル実数を集計するフォームをお送りしました。
そこで一つ、ルールを設けました。
キャンセルが0件の場合も、必ず回答していただくことです。
回答がないと、被害がないのか、答えられない状況なのかが分かりません。

0件も含めて集めることで、初めて全体像が見えます。

そして集まった数字を整理して、行政に都度共有しています。

行政が個々の事業者の状況を一軒ずつ把握するのは、現実的に困難です。

だから、日頃から事業者とつながっている私たちが、現場の声を数字にして届ける。

支援を求めるには、根拠が要ります。
「大変です」だけでは、制度は動きません。

「何件のキャンセルが出て、いくらの損失が生じているのか」
その数字が、支援策を検討する材料になります。

これは、DMOの大事な役割の一つだと思っています。

そして、いちばんの支援は

最後に。被災された地域には、寄付という形での支援があります。

八代市をはじめ、各自治体でふるさと納税による災害支援の受付が始まっています。

そして、安全が確認されている地域には、ぜひ足を運んでいただけたら嬉しいです。

阿蘇も、黒川温泉も、多くの宿が通常営業しています。

熊本デスティネーションキャンペーンも、9月30日まで開催中です。

道路状況を確認して、余震にも注意して、安全第一で。

そのうえで、旅に来ていただくことが、地域にとっていちばんの支援になります。

10年前、私たちを助けてくださったのは、来てくださったお客様でした。

事業者が踏ん張り、行政が支え、そしてお客様が来てくださる。

その三つが揃って、はじめて地域は立ち直れます。

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