【新聞の感想・8月3日】持っているものを、支援の形に変える。ヤマチクの竹箸に学ぶこと。
本日の熊本日日新聞に、ステキな記事が載っていました。
南関町の竹箸メーカー「ヤマチク」が、7月31日から「チャリティーアウトレット」を始めたという記事です。
ファクトリーショップ「拝啓」で、塗料の色むらや染みがある箸と菜箸を販売。
その売り上げを、全額、地震の復興支援団体に寄付するという取り組みです。
広報担当の酒見夕貴さんは、震度6強を観測した宇土市のご出身。
「箸を購入して被災地に思いを寄せてほしい。
売り上げが被災者の力になって一日でも早く日常を取り戻してもらえれば」
そう語られています。
この取り組みには、学ぶべきことがいくつも詰まっていると感じました。
「持っているもの」を、支援の形に変える
私がいちばん素晴らしいと思ったのは、この取り組みの構造です。
災害が起きたとき、多くの人が「何かしたい」と思います。
でも、大きな寄付ができるわけでもない。
現地にボランティアに行けるわけでもない。
そうやって立ち止まってしまうことは、少なくないと思います。
ヤマチクさんがやったのは、自分たちが持っているものを、支援の形に変えることでした。
竹箸メーカーだから、箸がある。
工場があり、店があり、作る技術がある。
その持ち物を、支援の回路につないだ。
寄付をするために、何か特別なことを新しく始めたわけではありません。
本業の延長線上で、本業の資産を使って、支援を組み立てている。
だからこそ、無理がなく、続けられる。
これは、あらゆる事業者にとってのヒントだと思います。
自分たちが持っているものは何か。
それを、どうすれば支援の形に変えられるか。
その問いを、私たちも自分に向けたいと思いました。
「B品」を使ったという、見事な設計
販売しているのは、塗料の色むらや染みがある箸。
つまり、通常であれば正規品としては出せないものです。
ここが、実によくできていると思いました。
まず、お客様にとって。
品質としては十分に使えるものを、手に取りやすい形で購入できます。
そして、その購入が寄付になる。
次に、会社にとって。
これまで動かしにくかった商品が、意味を持って世に出ていきます。
そして、被災地にとって。
その売り上げが、そのまま支援になります。
誰も無理をしていないのに、全員が良い方向に動く。
「余っているもの」「使いにくかったもの」が、支援という文脈を得た瞬間に、価値ある商品に変わる。
これは、モノの見方を変えるだけで生まれた価値です。
うちにも、そういうものがあるかもしれない。
そう考えさせられました。
自粛は、支援ではありません
災害が起きると、「こんなときに」という空気が生まれます。
イベントを中止する。
旅行を取りやめる。
宣伝を控える。
その気持ちは、痛いほど分かります。
ただ、10年前の熊本地震を経験して、私たちが学んだことがあります。
自粛は、支援ではないということです。
10年前、南小国町では、3万件を超えるキャンセルが発生しました。
町は大きな被害を受けていなかったのに、人が来なくなりました。
「熊本は大変らしいから、今年は行くのをやめよう」
その優しい気遣いが、結果として地域の経済を止めてしまう。
もちろん、危険な場所に無理に行くべきではありません。
安全の確認は最優先です。
そのうえで、動ける人が動くこと、買える人が買うことは、確実に力になります。
被災地のために本当に力になるのは、「何もしない」ことではなく、「持っているものを、支援の形に変える」ことだと思うのです。
動機は、個人の中にあっていい
もう一つ、記事で印象に残ったのは、酒見さんが宇土市のご出身だという一文でした。
会社としての社会貢献という枠組みの前に、ご自身の故郷が被災したという、切実な動機がある。
支援の動機は、きれいごとでなくていい。
自分の故郷だから。
お世話になった人がいるから。
その個人的な理由こそが、行動を生む力になります。
そして、そういう動機から生まれた取り組みは、伝わり方も違います。
私たちには、何ができるか?
私たちSMO南小国が持っているものは何でしょうか。
物産館があります。
ふるさと納税の仕組みがあります。
移動販売の車があります。
そして、たくさんの生産者さんと事業者さんとのつながりがあります。
これらを、支援の形に変えられないか。
同時に、忘れてはいけないことがあります。
私たちの地域も、いま観光のキャンセルという形で影響を受けています。
支援する側であると同時に、支援を必要としている側でもある。
助けられる立場だからといって、手をこまねいている必要はありません。
10年前、私たちは全国の方々に助けていただきました。
そのバトンを、次に渡していく。
自分たちができる範囲で、できる形で。
箸を、一膳
ヤマチクさんのファクトリーショップは「拝啓」という名前です。
手紙の書き出しの言葉です。
箸を一膳買うことが、被災地への手紙になる。
そんな取り組みだと感じました。
(私が勝手に感じてるだけで、本当は違うかもしれません)
寄付というと、少し身構えてしまう方もいるかもしれません。
でも、これなら「良い箸を買う」という日常の延長で参加できます。
支援のハードルを下げてくれる、優しい設計だと思います。
私も、自分たちにできる形を、早く見つけたいと思いました。
