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【新聞の感想・7月26日】人が集う場所には、思い出が積み重なる。「カァサ」という名前に込められたもの。

本日の熊本日日新聞に、心が温まる記事が載っていました。

熊本市中央区下通の老舗バー「驛(えき)」が、開店から60年を迎えたという記事です。

1966年、前身の高級クラブ時代を含めて60年。

7月7日の記念日には、常連客が次々と訪れ、花を咲かせたとのこと。

「自分と同い年」と感慨深げにグラスを傾けた59歳の会社役員の方。

飲み仲間には、市議会の重鎮も、バス会社の社長もいる。

この店で出会い、視野が広がったといいます。

「ここは人と人をつなぐ場所」

すごくいいな。と思いました。

変わる街と、変わらない店

記事によれば、開店したころの下通は、電車通りに屋台が立ち並び、頎台小学校に通う子どもたちの遊び場でもあったそうです。

風俗店の呼び込みが立ち、「今日は1人かい、早く帰らんといかんよ」と従業員のおじちゃんが声をかけてくれた時代。

それが今は、チェーン店と外国人観光客ばかりになった、と。私もそう感じます。

60年の間に、街の風景はすっかり変わりました。

でも、店は変わらずそこにあり続けた。

バブル経済が崩壊し、地震があり、コロナ禍を経ても、常連客に支えられてきた。

「古いことが全部良いとは思わないけど、頑張りすぎず、街に残したい」

この言葉の力の抜け具合が、60年続く秘訣なのかもしれないと思いました。

場所があるから、つながりが生まれる

この記事を読んで、あらためて考えたことがあります。

人が集う場所には、人と人のつながりが生まれる。
そして、そこに愛着と思い出が積み重なっていく。

考えてみれば、人間関係の多くは、場所から生まれています。

学校、職場、部活、そして行きつけの店。

「たまたま同じ場所に、繰り返し居合わせる」ことから、関係は始まります。

記事に登場する方が「この店で出会い、視野が広がった」とおっしゃっていましたが、これは狙って得られるものではありません。

自分が会いたい人にだけ会っていたら、視野は広がらない。

同じ場所に集うから、思いがけない出会いが起きるのです。

そして、場所には時間が積もります。

「あのとき、あの席で、あの人と話した」

その記憶が、店と自分を結びつけていく。

60年という歳月は、そうした記憶が何万層も積み重なった厚みなのだと思います。

「カァサ」に込められた意味

南小国町には、「きよらカァサ」という物産館があります。

私たちSMO南小国が運営しています。

この「カァサ」という名前。

人が集う場所、という意味が込められています。

この名前を知ったとき、先人はすごいなと思いました。

物産館ですから、「産直」でも「市場」でもよかったはずです。

でも、あえて「集う場所」という言葉を選んだ。

最初から、ここは単にモノを売る場所ではないと宣言していたわけです。

農家さんが野菜を持ち込む場所。
町の人が買い物に来る場所。
観光のお客様が立ち寄る場所。

その全部が交わる、町の交差点になるように。

名前は、その場所の役割を決めます。

40年後、50年後にどんな場所であってほしいか。

その願いを名前に込めた人たちの思いを、運営する側として、あらためて受け止めたいと思いました。

交差点ではなく、集う場所へ

ただ、今回の記事を読んで、一つ気づいたことがあります。

「交差点」では、足りないということです。

交差点は、人が通り過ぎる場所です。

すれ違いはあっても、そこに留まることはない。

売り場としては、それでも成立します。

買って、帰る。

効率としては、むしろ理想的かもしれません。
でも、「カァサ」が目指したのは、そこではないはずです。

通り過ぎる場所ではなく、留まる場所。
すれ違う場所ではなく、交わる場所。

「今日は誰か来てるかな」と、ふらっと寄ってしまう場所。

出荷に来た農家さん同士が、少し立ち話をしていく。

町の人と、旅の人が、隣り合って何かを食べている。

そんな時間が生まれてはじめて、名前にふさわしい場所になるのだと思います。

60年後に、何が残っているか?

「驛」は、60年続きました。

その間に、何万人の出会いがあり、何万の会話が交わされたのでしょうか。

物やサービスは、時代とともに移り変わります。

でも、そこで生まれた人と人のつながりは、その人の人生の中に残り続けます。

私たちが運営している施設も、いつか誰かの思い出の場所になるのかもしれません。

「あの物産館で、あの人と知り合ったんだよ」
そんな会話が、60年後の南小国のどこかで交わされていたら、これほど嬉しいことはありません。

そのためにできることは、たぶん、とても地味なことです。

居心地を整えること。
顔と名前を覚えること。
そして何より、続けること。

先人が名前に込めた願いを、機能として実現していく。

一つ一つ、積み重ねていかねばと思いました。

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