過去10年で熱帯夜はわずか1日。「みんなが想像する田舎の夏」は南小国にある
今年も、暑い夏になりそうです。
近年の日本の夏は、災害級の暑さという言葉が定着するほどになりました。
都市部では猛暑日が連日続き、夜になっても気温が25度を下回らない熱帯夜が当たり前。日中の外出がためらわれる日も増えています。
そんな中で、旅のかたちにも変化が起きています。
JTBが7月に発表した「2026年夏休みの旅行動向」を見ると、その変化がはっきりとデータに表れていました。
今年の夏の国内旅行者数は6,900万人で前年比95.6%とやや減少する見通しですが、注目すべきはその中身です。
旅行時の暑さ対策として、屋内施設での滞在、移動を最小限におさえた観光、早朝・夜間の涼しい時間帯の観光への関心が高まっている。
今年の旅行で重視したいことでも、「暑さを避け、屋内施設での観光や体験を楽しむ」が15.8%でトップでした。
暑さが旅の行き先と過ごし方を変え始めています。
世界では「クールケーション」がトレンドに
実はこれは、日本だけの話ではありません。
世界では一足先に、この動きに名前がついています。
クールケーション(Coolcation)。
CoolとVacationを組み合わせた造語で、夏の猛暑を避けて涼しい地域で休暇を過ごす旅のスタイルです。いわゆる避暑です。
アメリカの大手旅行誌コンデナスト・トラベラーが2024年の旅のトレンド予想のひとつに挙げ、高付加価値旅行会社Virtuosoの調査では、顧客の82%が気候の穏やかな旅行先を検討しているという結果も出ています。
背景にあるのは、世界的な記録的猛暑です。
イタリア、スペイン、ギリシャといった欧州の定番リゾートでは40度を超える熱波が相次ぎ、夏に訪れること自体が難しくなりつつあります。
その結果、旅行者は太陽が輝く地中海のビーチではなく、ノルウェーやフィンランドなど涼しい北欧へ向かい始めました。
ノルウェーでは、ここ数年で夏の観光客が急増しているそうです。
「夏といえば南のビーチ」という何十年も続いた常識が、「夏こそ高緯度・高標高へ」に置き換わりつつある。
旅の歴史的な転換点だと思います。
そしてこの波は、日本にも届いています。
Hotels.comの発表によれば、暑い時期の避暑地の検索数は、御殿場が26%増、軽井沢が20%増、富士河口湖が17%増と軒並み伸びています。
星野リゾートは「標高800メートル以上、平均気温25度以下」を掲げて、標高の高い施設でのクールケーションを打ち出しました。
訪日客の間でも、夏の日本は蒸し暑いという声は多く、「涼しい印象がある」という理由で北海道を選ぶ韓国の方が増えているといいます。
涼しさが、世界共通の旅の動機になり始めているらしいです。
ここに、少しもったいなさを感じる
先ほどのJTBの調査には、もうひとつ興味深い数字があります。
夏に出かけたい場所として気になっているところの第1位は、「自然が楽しめる場所(国立公園や花畑など)」で30.8%。
屋内志向が強まる一方で、人々がいちばん行きたいのは、自然です。
自然の中で過ごしたい。
でも、暑いから屋内に逃げる。
この矛盾に、もったいなさを感じます。
暑さを我慢して自然を楽しむか、自然を諦めて屋内で涼むか。
その二択しかないのでしょうか。
三つ目の選択肢があります。
涼しい自然のある場所へ行けばいいと思います。
北欧まで行かなくても、九州にあります。
夏は、南小国町だと思います。
データで見る、南小国町の涼しさ
ポジショントークだと思われたくないので、気象庁のデータでお話しします。
南小国町にあるアメダス観測点(標高448メートル)の平年値は、次のとおりです。
8月の平均気温は24.5度。
日中の最高気温の平均は30.5度、朝晩の最低気温の平均は20.3度です。
7月は平均24.2度、最高29.4度、最低20.3度。
星野リゾートがクールケーションの基準として掲げた「平均気温25度以下」を、南小国町は町の平地でクリアしています。
そして、この数字のすごさは最低気温にあります。
都市部では、夜間の気温が25度を下回らない熱帯夜が夏じゅう続きます。
一方、南小国町で熱帯夜が観測されたのは、過去10年間でわずか1日。
エアコンなしで眠れる夏が、ここでは当たり前です。なんなら、7月10日時点、我が家はまだ毛布ですし、コタツもまだなおしてません。
朝は窓を開ければひんやりした空気が入ってくる。
夜は虫の声を聞きながら、自然の涼しさの中で眠れる。
日中も、木陰に入れば汗が引いていきます。
標高が100メートル上がると気温は約0.6度下がるといわれますが、町内でも黒川温泉や瀬の本高原のあたりはさらに標高が高く、体感はもっと涼しくなります。
JTBの調査が示した「早朝・夜間の涼しい時間帯の観光」も、南小国なら我慢の工夫ではなく、最高の楽しみに変わります。
一日まるごと、涼しいのです。
「みんなが想像する田舎の夏」が、ここにある
そして、この夏の南小国には、涼しさを楽しみ尽くす舞台が整っています。
黒川温泉の夏の風物詩「湯涼み」です。今年は7月18日から8月22日まで開催されます。
日が沈む頃、温泉街の路地や橋に提灯と灯籠の明かりがともります。
和傘をライトアップした「傘あんどん」が石畳を照らし、川のせせらぎと夜風の中、浴衣で温泉街を歩く。
手作りの手持ち提灯の貸し出しも予定されていて、灯りに導かれながら歩く夜の温泉街は、それだけでひとつの物語です。
毎週土曜日には「湯涼み横丁」が開かれ、橋のたもとや河原で手持ち花火が楽しめます。
キッチンカーで買った冷たい飲み物を片手に、夕涼みしながらの散策。
最終日の8月22日には、一日限りの納涼祭で夏を締めくくります。
提灯の灯り。浴衣。川のせせらぎ。虫の声。河原の手持ち花火。湯上がりの夜風。
「みんなが想像する日本の田舎の夏」が、そのままここにあります。
エアコンの効いた部屋から眺める夏ではなく、肌で感じる夏。
子どもの頃の記憶にあるような、あるいは映画やアニメの中で憧れたような夏の夜を、現実に体験できる場所は、実はもう多くありません。
熱帯夜のない南小国だからこそ、夜の屋外を心から楽しめます。
あわせてご紹介したいのが、今年40周年を迎えた入湯手形です。
1986年の誕生からずっと手形の真ん中で湯に浸かっていた「おじさん」が、40周年記念デザインでは、なんと露天風呂から上がって手形の外へ飛び出しました。
おじさんのいなくなった手形に、温泉街に設置されたスタンプを押して完成させる参加型の仕掛けです。
温泉街のどこかに隠れたレアスタンプ「湯上り美人マーク」「風呂あがりおじさんマーク」を見つければ、世界にひとつだけの記念手形になります。
5万枚限定、1枚1,500円で、25の露天風呂から3カ所を巡ることができます。
昼は手形を片手に湯めぐりとスタンプ探し、夜は提灯の灯りの下で夕涼みと花火。
一日を通して、涼しい夏を遊び尽くせます。
涼しさ+温泉+食。避暑地としての完成度
北欧のクールケーションにサウナがあるように、南小国のクールケーションには温泉があります。
涼しい外気と温かい湯を行き来する心地よさは、世界共通なのかもしれません。
夏の露天風呂は敬遠されがちですが、朝晩20度の南小国では、湯上がりの涼風まで含めてが温泉です。
JTBの調査では、「心身の不調の改善や静養を主な目的としたリカバリーツーリズム」を重視する人が12.7%にのぼり、若い世代では「デジタルデトックス」への関心も高いという結果が出ていました。
涼しい気候、温泉、静けさ。
南小国は、心身の回復を求める旅の受け皿としても、条件が揃っています。
食も豊かです。
標高の高い涼しい気候で育つ高原野菜やお米、あか牛、ジャージー牛乳。
物産館に立ち寄れば、朝採れの夏野菜が並んでいます。
筑後川の源流域にあたる清らかな川、押戸石の丘から見渡す草原、夜には満天の星。
都市の夏にはないものが、ここには揃っています。
気候が、地方の新しい資源になる
これまで観光資源といえば、景勝地、温泉、食、歴史文化といったものを指してきました。
しかし気候変動が進むこれからの時代、「夏の涼しさ」そのものが、強力な観光資源になると考えています。
世界の動きが、それを裏付けています。
地中海から北欧へ、ビーチから高原へ。
旅行者はすでに動き始めており、日本でも避暑地の検索数は2割増。
訪日客も涼しさで行き先を選び始めています。
夏のインバウンドのピークと日本の猛暑が重なる以上、「涼しい日本」を探す海外の旅行者は、今後確実に増えていきます。
しかも、この資源には特徴があります。
夏の暑さが厳しくなるほど、涼しさの価値は上がっていく。
時代が進むほど価値が増す資源だということです。
標高が高く、夏が涼しい中山間地は、これまで「不便な場所」とされがちでした。
その同じ条件が、これからは「避暑地」という強みに変わる。
さらに言えば、提灯や浴衣や手持ち花火といった、田舎に残る夏の暮らしの風景も、失われつつあるからこそ価値を増していく。
涼しさと懐かしさ。
南小国の夏は、二つの希少資源を併せ持っています。
ハンディだと思っていたものが、時代の変化で資源に変わる。
地方には、まだこういう眠っている強みがたくさんあるのだと思います。
この夏は、涼しい南小国町へ
ちょうどいま、熊本デスティネーションキャンペーンも開催中です(9月30日まで)。
全国から熊本に注目が集まるこの夏、阿蘇の北の涼しい町まで、足を延ばしていただけたら嬉しいです。
朝晩20度の空気。提灯の灯り。湯けむり。手持ち花火。朝採れの野菜。星空。
屋内に逃げ込む夏も悪くありませんが、外に出たくなる夏が、ここにはあります。
この夏は、クールケーションで南小国へ。
お待ちしています。
