葛藤を乗り越え、我が子の一番の理解者へ。「児童発達支援士」が変えてくれた私の子育て|牧野 夏乃さん
【牧野夏乃さんのプロフィール】
愛知県在住
夫と子ども(療育園 年少)の3人暮らし
Webライターと看護師のダブルワーカー
「児童発達支援士」「発達障害児コミュニケーションサポーター」
「子どもの発達障がいを受け入れられない」
「定型発達にこだわってしまい苦しい」
そんな悩みや葛藤を抱えていませんか?
今回インタビューした牧野夏乃さんも、ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんを育てるなかで、まさに同じような悩みを経験してきたといいます。
そんな夏乃さんが、どのようにして子どもの一番の理解者になれたのか。
「児童発達支援士」の学びを通して変わった考え方や、日常のエピソードをお伺いしました。
お子さんの発達で悩んでいる方や、お子さんの障がいを受け入れられない方にとって、気持ちがラクになるヒントがみつかるばずです!
「児童発達支援士」とは、発達障がい児(自閉スペクトラム症・ADHD・学習障害)の特性を理解し、適切なアドバイスにより、健全な成長を支援するための知識と実践力を備えた者のこと。一般社団法人 人間力認定協会が定める試験に合格した「発達障がい児支援のプロフェッショナル」です。
子どもの発達障がいを受容できないなかで出会った「児童発達支援士」の資格
――夏乃さん、本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、「児童発達支援士」の資格を取得しようと思ったきっかけは何ですか?
資格を取得したのは、2024年、子どもが年少の夏です。
ちょうどその頃、ライターとして精神障がい者の就労支援メディアに関わり始めたのと、同じ時期に看護師として復職もすることになったんです。二つのタイミングが重なって、「もっと発達障がいについて知識を深めたいな」と思うようになり、資格取得を決めました。
とはいえ、実は当時、子どもの発達障がいをまだ受け入れきれていない部分があって……。正直、「発達障がいについて学ぶため」というより、学ぶための“別の理由”をつくりたかっただけかもしれません。
――そうだったのですね。息子さんが発達障がいと診断されるまでの流れと、その時の気持ちを聞かせてください。
最初に「発達に遅れがある」と言われたのは、1歳半健診のときでした。
うちは生活環境的に、子どもが私以外と関わる機会があまりなく、支援センターにも行かなかったので同じ年のお子さんとの交流もほとんどなくて。「園生活が始まって社会に慣れたら、言葉も自然に伸びてくるのでは」と、期待してるところもありました。成長には個人差もありますしね。
それと同時に「なんでうちの子が…」という思いもどこかにありました。
うちの市は療育手帳がなくても療育園に通えたので、年少の夏の時点ではっきりと診断が下りていたわけではないんです。
療育園が子どもに合ってる場所だとは思いつつ、発達障がいを“白黒はっきりさせる”覚悟がなかなか持てなくて……。
でも子どもが園に慣れて、言葉も出るようになったことで安心したのもあり、徐々に子どもの発達障がいを受け入れられるようになってきました。
そんな心境の変化の中、昨年12月に療育手帳を取得しました。今では、「障がいがあるなら、その中でできることをやるしかない」と思えるようになってきています。
――資格取得前は、具体的に、お子さんへの接し方や将来にどのような不安や悩みがありましたか?
一番の悩みは「言葉が遅い」ことでした。
私自身がマニュアル人間で、「定型発達」という基準にこだわりすぎていたんですよね。
「なんで喋らないの?」「なんでジャンプできないの?」「なんでご飯食べないの?」と、できないことばかりに目が行ってしまっていました。
将来よりも目先のことでいっぱいいっぱいになっていて、「月齢相応に発達させるには、私は何をすればいいんだろう?」とか「どうしたら“普通”に近づくんだろう?」と考えすぎてたんです。
本を読んだり、たくさん話しかけたり、良いと言われることは一通りやったのですがなかなか言葉が出なくて…。「やった方が良いと言われること、いろいろやったじゃん」とイライラしたり、落ち込んだりしてましたね。
定型発達にならって発達させてあげようと一生懸命になりすぎるあまりに、「できなきゃおかしい」という、偏った考え方にとらわれていて、メンタル的にも追い込まれていました。
資格を取得して、許せることが増え、特性を知った関わり方ができるように!
――数ある選択肢の中で、人間力認定協会の「児童発達支援士」の資格を選んだ理由を教えてください。
お手頃な価格と、履歴書にも書けるということで選びました。せっかく資格を取るなら自分の強みにしたかったからです。
また、難しすぎず簡単すぎないレベル感と、関わり方に重きを置いた実践的な講義内容にも惹かれました。
――講義ではどのようなことを学びましたか? 特に印象に残っている内容があれば教えてください。
まずは、ASDをはじめとする発達障がいについての基礎を学べたのは良かったです。
そして、二次障害については新しい学びでした。今まで目先のことしか見ていなかったので、子どもが社会に出てから何が壁になるんだろうということまでは全然考えられていなかったんですよね。
二次障害を防いであげられるのは子どもに近い人だけですから、意識して関わっていきたいと思います。
二次障害・・・は、発達障がい児が他者とのコミュニケーションをうまくとれないがために発生します。うつ病・不登校・引きこもり・・・は発達障がい児に表れやすい二次障害だと言われています。
――資格取得後、お子さんとの関係や日常の接し方で変わったことはありますか?具体的なエピソードがあれば教えてください。
知識を取り入れたことで許せることが増えたのは一番の変化です。
以前は「なんで喋らないの!!」と、子どもからしたら理不尽なことでイライラしていましたが、できないことを言ってもしょうがないと思うようになりました。そのため、怒る内容が片付けとか、本人がやる気を出せばできること変わりました。
また、以前はイライラを引きずることがよくあったのですが、私自身の気持ちの切り替えもうまくなってきたと思います。
子どもを怒るとこちらも嫌な気分になってしまうんですよね。気持ちを切り替えて子どもと一緒にお喋りしたり遊んであげたりするほうが、子供も落ち着くので、暮らしもスムーズにいきます!
――夏乃さんが変わったことで、息子さんにも変化がありましたか?
私が精神的に安定するようになってから、子どもが生活を楽しんでいる様子が見られるようになりました。
成長過程なのかもしれないですが、「ママ〜」とくっついて来てくれるようになったり、お友達やお友達のママに積極的に近づいていったりするようになりました。そんな前向きな行動が増えたなという印象です。
また、私に余裕ができて許せることが増えたので、子ども本人のやりたいことをさせてあげられるようになりました。もちろんダメなことはダメですが、それ以外で何かやってほしくないことをしても「今あなたはそれがやりたいんだよね」って許せるようになったんです。
子どもの興味が広がったというか、以前よりのびのびしているなと実感しています。
――日々の育児で学んだ知識はどういかされていますか?「資格を取得して良かった!」と思う瞬間があれば教えてください。
子どもの特性を知った関わり方ができるようになったのは大きいですね。子どもの行動を変えようとするのではなく、私のほうが声かけの仕方や対応を変えたりして、関わり方を工夫しようと考えられるようになりました。
例えば、息子は車がとても好きなので、療育園に着いて上履きに履き替えるときに、絶対外を見て何の車が止まっているかを確認するんですよ。一度車に目がいくと、靴なんか全然目に入らないんですよね。
そこで、どうしたら視線を車からそらして靴に向かわせられるか、首を靴のほうに向けてみたり視線を遮ってみたり、いろいろ工夫してやっています。
また、できないことに固執して求めることはやめようとも思えるようになりました。すぐに結果を求めず、長い目で見ることを学べたことは良かったなと思います。
学んだことを子育てだけでなく、看護師の仕事にもいかしていきたい
――今後、学んだ知識をいかしてお子さんとどのように関わっていきたいですか?その他でチャレンジしてみたいことがあったら教えてください。
子どもには、二次障害をなるべく起こさないようにしてあげたいので、社会に馴染めるようにサポートができたらいいなと思っています。
また、学んだことを看護師としてもいかしていきたいです。今は耳鼻科に勤めているのですが、鼻を吸われたり、耳を診るられたりするのが怖くて逃げてしまうお子さんも多いんです。そのせいでしっかり診察してもらえず適切な処置ができなかったり、お母さんの話を聞いてあげられなかったりすることがよくあります。
なので、看護師という立場から、そういう子たちへの声かけの工夫や、お母さんの負担を軽くしてあげられる関わり方ができたら嬉しいです。
ライターとしても、子どもの発達に悩みがある人に共感したり、発達障がいに関する情報発信のお手伝いをしたりできたらいいなと思っています。
親が子どもの一番の理解者になってあげてほしい

――これから「児童発達支援士」の資格取得を考えている方にアドバイスやメッセージはありますか?
この資格を取ったからといってすぐに子どもは変わらないですが、自分の考え方が変わることでメンタルが安定して、子どもも落ち着いてきます。親子でリラックスした状態でいられるのってすごく素敵ですよね!
そのためには、やはり発達障がいへの正しい理解が大事だと思うんです。
もし「我が子の発達障がいを受け入れたくない」という気持ちがあるなら、私みたいに別の理由をきっかけにして勉強してみるのもアリかなと思います。
最初から「障がいがあるから勉強しないと」と思うと苦しいんですよね。なので、「復職に役立つかも」とか「ちょっと知識を増やしたいだけ」みたいな軽い気持ちで始めてみるのもいいと思います。
――最後に、この記事を読んでいる方、特に、発達障がい児を育てている方へメッセージをお願いします。
つい、定型のお子さんや同じ診断が下りている他のお子さんと比べてしまって、「うちは全然できてない」と落ち込むことがあると思うんです。でも、それは普通のことだし、子どもに「こうしてほしい」「こうなってほしい」っていう願いを込めてるからなんですよね。
だからといって、その期待に子どもが潰されてしまわないように、子どものできるところを伸ばす関わり方をしてあげてほしいなと思います。
また、私のように決めたとおりに動かないと気がすまない人も、私のエピソードを読んで、手の抜き方やラクな気持ちで子どもと関わるヒントを得てもらえたら嬉しいなと思います。
テキストにも「理解は支援の第一歩」とありますが、やはり親が子どもの一番の理解者になるのが理想だと思うんです。問題の解決法は周りと相談していけばいいので、まずは子どもを理解するところから始めてみてほしいですね!
インタビューを終えて
思い返すと辛いことも、ためらわずに語ってくださった夏乃さん。葛藤しながらもお子さんを愛していこうとする姿にとても感動し、元気をもらいました。ありがとうございました。
お子さんの特性を一番理解してあげられるのは親御さんです。もし「受け止められない」「子育てがつらい」と感じるときは、発達障がいへの正しい理解が役に立つかもしれません。
「児童発達支援士」の学びを通じて我が子を受け入れ、今より少しでもラクに子育てしてみてはいかがでしょうか。
「児童発達支援士」について詳しく知りたい方は、公式サイトをご覧ください。
