会社を変えるのは、正しい答えより正しい問いである
「最近、売上が伸びない。営業担当者を増やした方がよいだろうか」
経営者から、こうした相談を受けることがあります。
もちろん、営業人員を増やすことで売上が伸びる会社もあります。
しかし、問い合わせは十分にあるのに、商談後の連絡が遅れているのかもしれません。商品の魅力が伝わっていないのかもしれません。既存のお客様への対応が不足している可能性もあります。
売上が伸びないという事実は同じでも、原因が違えば、必要な対策も変わります。
会社の問題は、見えている場所にあるとは限りません。
問題と課題は同じではない
資金繰りが苦しい。
社員が辞める。
会議が長い。
社長が忙しい。
これらは、会社で起きている「問題」です。
一方、経営課題とは、その問題を生み出している原因のうち、経営として優先的に変えるべきものです。
例えば、社員の退職が続いている会社で、給与を上げることが本当に正しい対策とは限りません。
仕事の教え方が担当者任せになっている。上司によって指示が違う。頑張っても評価基準が分からない。相談する場がない。
こうした日常の積み重ねが、退職につながっている場合があります。
多くの会社が見落としていること
経営課題を見つけるとき、私は五つの場所を確認します。
一つ目は、売上や利益、現預金などの数字です。
二つ目は、経営者と社員が見ている景色の違いです。
三つ目は、受注から納品、請求までの仕事の流れです。
四つ目は、顧客が何を理由に購入し、何を理由に離れているかです。
そして五つ目は、見つかった問題に対して「なぜ」を繰り返すことです。
社員のミスが多い。
なぜでしょうか。
注意が足りないから、と結論づけるのは簡単です。
しかし、その先を確認すると、手順書がない、確認者が決まっていない、情報が複数の場所に分散しているといった、会社の仕組みの問題が見えてくることがあります。
AIがあっても、問いは人がつくる
生成AIを使えば、財務データの整理や会議内容の要約、アンケート結果の分類は速くなります。
ただし、AIに大量の情報を渡しただけで、会社の本質的な課題が自動的に決まるわけではありません。
何を調べるのか。
誰の話を聞くのか。
どの数字を比較するのか。
どこまで原因を掘り下げるのか。
こうした問いをつくるのは、経営者や働く人です。
経営改善は、誰かを責めることではない
会社に問題が起きると、経営者は社員の意欲を疑い、社員は会社の方針を疑うことがあります。
しかし、本当に見直すべきなのは、個人ではなく、仕事の進め方や判断の仕組みかもしれません。
人を変えようとする前に、仕組みを確認する。
努力を増やす前に、無駄を探す。
答えを急ぐ前に、問いを見直す。
この順番が、経営改善ではとても重要です。
あなたの会社で今、一番大きな問題は何でしょうか。
そして、それは本当に原因でしょうか。それとも、別の原因から生まれた結果でしょうか。
会社を変える第一歩は、すぐに答えを出すことではありません。
これまで見ていた問題に対して、もう一度、正しい問いを投げかけることなのだと思います。
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