「他人には“大したことない出来事”が、人生を変える話|ヒロアカ72話」
■ 18分で号泣した回
僕のヒーローアカデミアで自分が大好きな回がある。
アニメの72話、切島が主役の回である。
たぶん他人から見たらどうでもいい話だと思う。
でも、こういう出来事が人生を変えることがある。
■ 重い過去が来ると思っていた
切島鋭児郎の過去のエピソードが語られる。
少し前に、切島が必殺技アンブレイカブルを出した時に、過去のフラッシュバックが挟まれていた。
だから、なんか重いエピソードがあるんだろうなと思って見ていた。
凡百の漫画だったら、
こういうフラッシュバックがあれば、
誰かが死んだとか、
救えなかったとか、
そういう「重い過去」があるはずだ。
■ でも、明かされたのは“些細な出来事”
でも違った。
明かされたのは、
正直、はたから見たら大したことない話だった。
同級生の女子が、巨大なヴィランっぽい男に道を聞かれて怖がっている。
そこにたまたま居合わせた切島は、怖くて立ち止まってしまう。
何もできなかった。
そのあと、同級生の芦戸が現れて、
その女子たちをうまく助ける。
それだけの話だ。
■ でも、それが人生を変える
その場にいた人にとっては、
そんな大したことじゃなかったかもしれない。
下手したら、もう忘れているような出来事だと思う。
実際、後日彼女らに切島が助けられなかったごめんって謝った時も、
彼女らは誰だっけ、なんだっけみたいなテンションだった。
でも切島にとっては違う。
それは決して忘れられない、
人生を変える出来事だったのだ。
■ 自分にもある、忘れられないあの瞬間
こういうことって、本当にあるよなと思う。
おそらく自分以外、誰も覚えていない。
でも、自分だけはずっと覚えている出来事。
たとえば過去の飲み会での、あのシーン。
あれが今も忘れられない、みたいなやつ。
そして、それがその後の人生に関わってくる。
■ ヒロアカは心の描き方がうまい
ヒロアカって、本当に人の心の機微をちゃんと描く。
かっちゃん奪還作戦の時も、
主人公デクの声より、仲の良い切島の声のほうが届く。
少年漫画で普通はやらないけど、
でも実際はそうだよなって思う。
■ 感情を爆発させる構成のうまさ
過去エピソードの話運びも天才的だった。
過不足なくとはこのことだと思う。
アニメ1話に収まる量だから厚い話じゃない。
でも、
芦戸と切島が同級生であること
切島がヒーローに憧れていること
カツアゲを止めに入る性格であること
でも個性は大したことないこと
憧れのヒーローの言葉
周囲はその事件を大したことないと思っていること
視聴者の感情が爆発するために必要なものが、
全部タイトに入っている。
■ 現実は、そんなに甘くない
そして戦い。
切島はヒーローのファットガムと、
強敵の乱波・天蓋と戦う。
開始早々、乱波のパンチでぶっ飛ばされる。
圧縮訓練で身につけた必殺技、
「アンブレイカブル」はあっさり破られる。
■ 「強くなったつもり」だった
ここで切島は折れかける。
「強くなれた気でいた」
「何やってんだよ」
「あのころと何も変わってねえじゃねえか」
■ それでも、もう一度前に出る
そして思い出す。
あのとき。
「行けよ」
「行けって」
でも動けなかった自分。
それでも。
切島はもう一度、前に出る。
もう二度と、もう二度と後悔しねえ
俺は守れるヒーローに
割れたそばから固めてけ 耐えろ 守れ 信じろ
■ 勝たないヒーロー
ここがすごい。
普通の漫画だったら、
ここで覚醒して敵をぶちのめす。
でもそうならない。
切島は倒せない。
できるのは、
ただ耐えることだけだ。
■ 「無意味」じゃなかった
敵の猛攻を食らい倒れる切島が、敵から言われる。
「無意味なことを」
ファットガムが「無意味やないで」と言う。
切島が戦った時間が、ファットガムの反撃の必殺技のタイミングを作っていて、
そこでファットガムが乱波をぶちのめす。
あの時、立ち止まってしまった自分から、
立ち向かえる自分になった。
その気持ち、男気が、
実力とかそんなもんは関係なく、勝利を呼び込んだという話になっている。
■ 結局、18分で泣かされた
号泣である。
まじで、改めて見ても泣いた。
しかも短い。
最初に少し別の話をやっているから、
正味18分くらい。
18分で号泣。
やっぱりヒロアカはすごい。
