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サンティアゴ巡礼 #13 サンタンデールに向けて海を渡る: Güemes - Santander

距離:約19.5km
累積上り:約369m
天気:曇・晴(11℃ / 22℃)
一般難易度:★☆☆☆☆
疲労度:★★☆☆☆

今日のルート
Güemes → Loredo → Somo →(フェリー)→ Santander


宿の朝食は Tostada(トスターダ)だった。辞書ではトーストと訳されているが、スペインでは食パンではなくバゲットのような細長いパンを薄く切って軽く焼いたものが普通だ。トスターダはハム、チーズ、トマトの中から選ぶ。野菜不足を感じていたためトマトを選ぶと、すりおろしたトマトにオリーブオイルを混ぜたピューレのようなものが出てきた。これをトスターダにのせて食べるようだ。この後の宿でも朝食の席ではジャムやバターとならんで個別パックのトマトピューレが置いてあることが多かった。

朝食のトスターダ

カミーノはグエメスから丘を越えて海岸に向かう。遠くには石灰岩の崖がいくつも連なっているのが見える。前を行く巡礼の姿も小さく見える。もう少し進めば今日の目的地であるSantander(サンタンデール)も見えてきそうだ。

石灰岩の崖が連なる海岸線

海岸線には荒々しい崖に囲まれた赤みを帯びた砂浜が何度も現れた。切り立った崖から海に降りるのは大変そうで、大都市サンタンデールの近くであるにも関わらず、自然のまま残された入り江のようだった。白い石灰岩の断崖と、赤い砂浜の対比が印象的だった。

石灰岩の崖と赤い砂浜

砂浜の無い場所では、海岸はまた違った様子を見せる。崖の下には、黒い層状の岩棚が海へ突き出して波が白く泡立っている。同じ海岸でも、地形や地質の違いで景色の表情はずいぶん違って見える。

層状の岩棚

海岸から少し離れた牧草地では、古いフェンスの金具部分に二十匹近いカタツムリが固まって張り付いているのに気がついた。最初はたまたまかと思ったが、数メートルおきに並んだフェンスのほとんどにカタツムリが密集している。どうやら暑さと乾燥を避けるため、高い場所で「夏眠」する習性があるそうだ。夏眠という言葉はこの時初めて知った。

夏眠するカタツムリ

遠くにサンタンデールの町並みが見えてきたあたりで、カートのようなものを引っ張った巡礼に出会った。確か二日前にリエンドの手前で雨に降られた時に見かけた人だ。よく見ると二輪の台車にバックパックを載せ、二本のトレッキングポールで台車を器用に引いている。裸の上半身には少し小さめのバックパックを直接背負っている。フランス人の巡礼で、日本のスキー場でボランティアをしていたことがあるという。たくましい恰好だが、山道や泥道ではどうしているのだろう。

カートを引く巡礼とサンタンデールの遠景

Isla de Santa Marina(サンタ・マリナ島)を過ぎると、カミーノは約2kmにわたって広い砂浜を通る。天気が良いため水遊びをする人はちらほらいるが、ビーチがとても広いので人影はまばらだ。

砂浜を通るカミーノ

砂浜にはところどころ海に流れ込む小川があった。裸足なら気にならない深さだが、なるべく靴を濡らさず渡れる場所を探すのには少し苦労した。中には靴を脱いで裸足になって歩く巡礼者も見かけた。砂の上には軽やかな裸足の足跡と、重い荷物を背負った登山靴の深い足跡が並んでいた。

砂浜の足跡

予定より早く昼過ぎにサンタンデール対岸の Somo(ソモ)に着いた。この後はフェリーに乗るだけなので今日は時間がある。ゆっくり昼食を食べようとレストランに入ったところ、例によってランチは午後一時からとのことだった。入り口近くのバーエリアでオレンジジュースを飲みながら二十分ほど待って、奥のレストランエリアに移動した。”Menú del día”(日替わり定食)は前菜、メイン、パン、デザートまでついて16ユーロだった。ちゃんとしたレストランにしては安い方だ。日替わり定食は何度も食べたが、店構えや雰囲気と値段はあまり関係がないように感じた。もちろん高級な店には行っていないが。

ソモのレストラン

昼食後は船着場からフェリーに乗り、サンタンデール湾を渡る。ガイドブックでは「フェリー」と紹介されていたが、実際には二十人乗りくらいの小さな船だった。湾内を進む船上では、アメリカ在住の中国人夫婦と台湾の青年と話した。中国人女性はサンティアゴ巡礼が三回目で、以前フランス人の道を歩いていた時に「神のお告げ」を聞いて、旧約聖書の名前に改名したと真顔で語っていた。夫にも改名を勧めたが拒否されたそうだ。これまで出会った巡礼者には宗教色を前面に出す人は少なかったので、少し意外だった。

中国人夫婦も台湾の青年も、何度も日本に行ったことがあるそうだ。サンティアゴ巡礼中には一度も日本人に会わなかったが、日本に行ったことのある人には何度も会った。

サンタンデール行のフェリー

対岸のサンタンデールには三十分ほどで到着した。海沿いには擬古典様式の建物が並び、ここまで歩いてきた海岸沿いの村とはずいぶん違う。サンタンデールはカンタブリア州の州都だが、スペイン王室の避暑地として発展したそうだ。港湾・工業都市として発展したビルバオとも街並みの印象がかなり違う。

海から見たサンタンデール

今日のホテルはカミーノから少し離れた場所にあったため、港からかなりの急坂を上ってまた急坂を下りた場所にあった。マップ上では最短ルートだったが、翌日海沿いに歩けば距離は多少長いが楽だということに気がついた。ホテルの近くには有名な観光名所もあるようだが、今日は休養を優先し、コインランドリーで洗濯した後は部屋でゆっくりした。

サンタンデールのホテル

夕飯にはホテルで教えてもらった海岸通りのバルで名物のカンタブリア風ミートボールを食べていると、正装して仮面をつけた男女二十人くらいのグループを見かけた。正式な仮面舞踏会なのか、会社か何かのパーティーかはわからないが、おもしろいものだと思った。

カンタブリア風ミートボール

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