見出し画像

どうやら私は、ひとりだけ別の世界に住んでいるようだ #2

自分が進めている案件の担当営業が誰なのかというのはとても重要な問題だ。

案件が順調に進むか、爆弾を抱えて走ることになるかが決まる。

しかし、それにも増して大事なことがある。

客先へたどり着くことができるのかこそが最難関なのだ。


これを理解している営業さんは、早い段階で合流する。

なんなら、電車に乗る位置まで指定する。

間違っても取引先最寄り駅前で待ち合わせようなどという、絶望的なギャンブラー精神は発揮しないのだ。


あるとき、1度も組んだことのない、他セクションの営業さんの担当案件で簡単な提案をすることになった。

「明日はこの駅に12時集合でお願いします」

そのひとことだけを残し、彼は外出して行った。

私は単純に、打ち合わせ開始予定の時間と、最寄り駅への到着予定時刻だけを上司に伝えた。


翌日、この時間にきちんとたどり着くため、路線案内より2時間ほど余分に時間を取り、営業さんとの待ち合わせ場所へ向かった。

何度かターミナル駅構内で迷子になりながらも、十分に余裕を持った時間に電車に乗ることができた。

路線名は合っていた。

見覚えがある文字だった。

もう大丈夫だ。


営業さんや会社から連絡が入って来る。

「ターミナル駅で乗り換えできているのか?」

「目的路線の電車にはちゃんと乗れたのか?」

「行先の駅名は覚えているか?」

「途中で電車を降りたりしていないか?」

全てクリアしている問題だった。


「大丈夫です!12時には余裕を持って到着するはずです!」

「あと30分で着くっぽいです!」


しかしこれが不思議なことに、行けども行けども路線案内に書いてあった駅にたどり着かない。

そして、気付いてしまった。


その電車が、目的地とは反対方向に走っていることに。


急いで電車を降り、反対側のホームから出る電車に乗り換える。

それでもギリギリ待ち合わせ時刻に間に合うはずだ。

反対方向の電車に乗っていましたと一報を入れ、そのまま考え事に勤しんだ。

「本当にたどり着くのか?」

「今どこにいますか?」

目的地に到着するころには、通知欄がプチパニック状態に陥っていた。

それでも、待ち合わせ時間には間に合った。


ミッションクリア後、顧客との打ち合わせも無事に終わり帰社すると、2人揃って内容の報告をすることとなった。

仕事なので当たり前である。

打ち合わせ内容自体については、誰もつっこむことがなかった。

問題は、待ち合わせ時間前のこと。

誰も叱られるということはなかった。

ただ、営業さんには笑いながらの注意が入った。

「会社で待ち合わせて連れて行かないとコイツだけは本当に危ないから」

「客先まで行っちゃえばあとはほっといていいんだけど」


どうやら爆弾とは私のことを言い表す単語だったようだ。


そして、営業さんはこのとき気付いたはずだ。

爆弾というものは、離れた場所に置いておくから怖い。

最初から抱えてしまえば、意外と安全に目的地まで運べるものなのだ。



📖 全4話

どうやら私は、ひとりだけ別の世界に住んでいるようだ #1

どうやら私は、ひとりだけ別の世界に住んでいるようだ #3

どうやら私は、ひとりだけ別の世界に住んでいるようだ #4


PR記事を書かせて頂いています!


メンバーシップ始めました!
まだ手探りですが、ご要望/無茶振り/質問、可能な限りお受けします!


何でもどうぞ!答えられるものは全て答えます!

設置はお済みですか?図らずも人の庭でnote質問箱を試す!|へろん


有料ツールに挑戦中!
OBS Studio用リモコン | OBS画面を前面に出さずに操作できます!


記事作成のお供に!お役立ちツール!

その他、こんなことやってみてます!

#エッセイ #日常 #仕事の話 #会社員あるある #人間観察 #方向音痴 #迷子 #実体験 #ユーモア #笑い #自己理解 #個性 #note創作

いいなと思ったら応援しよう!

へろん いつも応援ありがとうございます! 快適な制作を進めるためのおやつ活動費に使わせて頂きます!