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AI時代において、私たちが何を残すのか。実は大きな課題なのかも? | 【AI小説】『Imlíne(イムリーネ)』 第2章 平和 第20回 編集

TALESで一括公開完了!手直しは…する可能性も…


共同室に、フロービューの音が流れてきた。
空中に浮かぶ映像の色が、ひどく古い。

ニュース。
地図。
西境。

あの名前が聞こえた瞬間、私の指先だけが急激に冷えていく。

映像。
黒い煙。
泥の中に倒れる、無数の影。

それらが画面に映った一瞬あと、一秒遅れて激しくぼやける。
血の赤色だけが、まるで最初からなかったように先に消えた。

「編集ですよ」

背後で、誰かが呟いた。
映像の隅で、小さな文字列が明滅している。
画面の向こうの戦争は遠く、どこか別の町の、全く知らない誰かの話のようだ。

それなのに、私の腹の奥が、雑巾を絞るようにきりきりと縮んでいく。
拒絶反応を起こす理由は、記憶のどこを探しても見つからない。

テーブルの上に、手のひらを伏せる。
フロービューの光が、ふっと消えた。

部屋が、元の静かさに戻る。
けれど、その静寂の白さの中に、いま見た爆発の形だけが、いつまでも焼き付いて残っていた。

画面にフィルタがかかっているのか。
それとも、私の何かが編集されているのか。

その境界の分からない不気味さに怯えるように、無機質なテーブルに伏せた右の手のひらの下で、冷えていく皮膚とは異なる強固な金属輪だけが、鈍く脈打っていた。




noteではこっちが本編!

リアルタイムでの検閲というようなものを考えると、とても匙加減の難しい問題であるように思います。

我々はすでにそういったものと向き合うべき入り口、どころか真っ只中に立っています。

AIによる動画や画像の編集により、あるはずのものがない状態を作り出すことが容易にできる世の中になった、ということです。

これがさらに進化し、良い意味でも悪い意味でも、「不都合」なものが全て自動的に排除される状態になったとしたら?

そこには、もしかしたら暴力的なニュースなどを全て瞬時に丸め込むような「精神的な安全を100%守る優しい空間」が待っているのかもしれません。

ですが、そのようなものの中には、我々が歴史的に知っておかなければならないようなものも含まれるかも知れません。

語り継がれる歴史や物語、書籍、写真、音声や、近年では動画といったメディアを通して、しばしば繰り返してはならない現実を直視せざるを得ない場面があります。

そういったものを見て、聞いて、何が真実であるのかを学び、考えることによって、あたらしい時代において何が正しいとすべきなのか、繰り返してはならないことは何なのかを再定義する。

そういったサイクルを繰り返し、たどり着いたのが現在我々が生きている社会であることは、おそらく間違いのないことではないかと思います。

では、AIがあらゆる不快なものを取り除けるようになったとき。

私たちは何を残し、何を消すのでしょうか。

そして、その判断を誰が行うのでしょうか。

便利さや快適さを追い求めること自体は、決して悪いことではありません。

ですが、その過程で過去の現実まで見えなくしてしまったとしたら。

将来の世代に伝えるべきものは何なのか。

その問いは、今の時代を生きる私たちが避けて通ることのできない課題です。


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