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こどもガチャ②


ver.2 咲子orリリー★★★★


まるで御伽噺の様な、大豪邸。
手入れされた広々とした庭園、白を基本としたロココ調の御屋敷。
ここで暮らしているのは、九条 栞(くじょう しおり)さん 52歳。

私のお母様です。

ああ、今日もお母様がお気に入りのティーカップにハーブティーを入れ、私の口へ流し込んでくれます。

そろそろブラッシングのお時間でしょうか?

お母様が私の後ろへ立ち、丁寧に髪をといてくれています。

え?
どうして自分でしないのかって?

だって…

栞「本当、可愛いお人形さん…」

私は、人形だから…。

私の名前は咲子(さきこ) 10歳です。

でも、お母様からはリリーちゃんって呼ばれています。

お母様は人形が大好きで、世界中の人形を取り寄せては御屋敷に飾っています。

しかし、1000体目にして思ったそうです。

もっと、温もりのあるお人形さんが欲しい…。と。

そんな時にこどもガチャと出会い、私を引き当てたそうです。

私の★は4で、容姿に特化しているようです。

お母様は、そんな私をとても気に入ってくれ、綺麗なドレスを山のようにくれました。

毎日良い匂いのするお風呂に入れてくれ、美味しい食事を食べさせてくれます。

すっごく裕福な毎日です。

ただ、動かない・喋らないを貫き通せば。

お母様が私を人形として接している以上、私は血の通った人形で居ることに徹しなければいけないのです。

もしも、人間であることを感じさせたら…どうなるのでしょうか…。



私の1日は、お母様より先に起きることから始まります。

理由ですか?
人形が目を閉じてはいけないからです。

ベットの中で直立で目を開けて横になっている私をお母様は抱き抱えて、車椅子へと座らせます。

流石に50を超えるお身体で常に私を持って移動はキツいのでしょう。

そのままシャワー室へと連れていかれ、全身を洗われます。
勿論この時も目は開けたまま。
シャンプーが目に入って、とても痛いです。

この時、お母様が御自身を洗っている時に、こっそり御手洗へと行き用便させていただきます。
お母様は、人形が排泄なんてゆるさないでしょうから…。

シャワーの後は衣装室で今日のドレス選びです。

栞「リリーちゃんに新しいドレス買ったのよ〜」

と、お母様はとてもウキウキです。

新しいドレスがあるのはとても嬉しいのですが、ほぼ毎日新調してくれるので衣装室はいっぱいいっぱいです。

そういえば、私が着たことがないドレスもあるのですが、あれはお母様が幼い頃のドレスなのでしょうか?

男の子用の衣装もありますが、もしかしてお母様には本当のお子様がいらしたのでしょうか?

まぁ、そんなことはどうでも良いですけれど。

本日のドレスは黄色を基調とした、フリルが沢山ついているドレスです。

お着替えの後はヘアセットです。

お母様がブラッシングをした後、髪を結ってくれます。

可愛くしてくれるのは嬉しいのですが、たまに髪の毛を引っ張られすぎて痛いです。

涙が出そうになるのを、グッと堪えます。

あ、これを考えるとシャンプーの時は楽ですね。
涙もお湯と一緒に流れるので、バレなくて…。

身支度が整ったら、お食事のお時間です。

本日の朝ごはんはトマトのチーズリゾットとコンソメスープです。

お母様が私の口の中へ、ゆっくりと流し込んでくれます。

口を動かさないように、ゆっくり飲み込みます。

水が飲みたくなっても、お母様のタイミングでしかいただけません。

あ、このスープまだとても熱そうです。

お母様…ふーふーして欲しいです。

…気付いてくれません。

熱い…熱い。

心の中で叫びます。決して表情には出しません。

口の中を火傷してしまいました。
折角、先日の火傷が治りかけていたのに…。
また振り出しです。

食事が終わったら、お散歩のお時間です。

とは言っても、私は車椅子の上ですけどね。

広いお庭をお母様とゆっくりお散歩します。

あ、赤い薔薇が咲いていますね。

とても綺麗です。

お母様がお部屋に飾る分を摘んでいます。

その薔薇を私の手にそっと持たせます。

ああ、棘が痛いなぁ…。

赤い薔薇で良かったです。

もし血が着いても、分からないでしょう。

お散歩の後は夕飯の時間までお母様と一緒にゆっくり過ごします。

お母様は読書を楽しんでいます。

私は、座っているだけです…。

ああ、退屈だな。

眠くなってきました。
でも決して寝てはいけません。

お母様の目を盗んで、こっそり自分の手の甲をつねります。

因みにお昼ご飯はお母様しか食べません。

その理由は、人形らしい綺麗な体型をキープするためらしいです。

目の前でお母様が美味しそうな料理を食べているのを、ただ見るだけです。

…お腹、すいたなぁ。

お昼ご飯の後、お母様はお昼寝をします。

この時が2度目の御手洗のチャンスです。

お母様を起こさないようにこっそりと移動します。

戻ってきたら、また車椅子へ座りひたすら時間が経つのを待ちます。

あら、ハエが飛んでいます。

綺麗好きのお母様にしては珍しいですね。

今日はこのハエを目で追って時間を過ごしましょう…。

やっと夕食のお時間です。

本日のメニューは、松茸の風味のお粥です。

え?
何か違和感でも?

朝はリゾット、夕飯はお粥。

体調でも悪いのかって?

いいえ、違います。

私、歯がないんですよ。

人形が虫歯になることを恐れたお母様に全て抜かれたのです。

なので、噛まずに食べられるものしか食せません。

ああ、朝の火傷に染みます…。

夕食後、お母様は30分ほどどこかへ出かけます。

どこへ行っているのか謎ですが、この時間は1日最後の御手洗のチャンスです。

御手洗を終え、車椅子へ戻ります。

お母様が戻ってきました。

寝室へと移ります。

お母様が私をベットへと運びます。

お母様も隣へ入ってきました。

後は、お母様が寝たことを確認したら、私も就寝できます。

こうして私の1日は終わります。

この生活を5年ほど続けてきました。
きっとこれからも、人形としての人生は続いていくことでしょう…。

あ、お母様が眠りにつきました。

やっと私も眠れます。

目を閉じ、意識を遠くさせていく。

ああ、何だか今夜はいつもの野犬の遠吠えがお腹に響きますね。

何か悪いものでも食べたのでしょうか。

しかし、朝まで我慢です。

今は、眠りに集中しましょう…。



次の日

また今日もいつもの1日が始まります。

車椅子でシャワー室へと向かい、お母様が服を脱がせてくれます。

ああ、お腹ずっと痛いです…。

もう少しの辛抱です。

あと少しで、御手洗に…

栞「きゃああああ!!!!」

突然お母様が悲鳴を上げました。

床に座り込んで目をまん丸にし、私を見つめています。

え?
何でしょうか…
なぜ私にそんな、嫌悪の表情を…

栞「どうして、どうして…」

お母様が私の下着を握りしめ、声をあげました。

栞「どうして人形から血が出ているのよ!!!!」


え?


お母様の持っている下着には、血がべっとりと着いていました。

これって…
聞いたことがあります。
初潮というものですね…。

というか、この状況はとてもまずいのでは…。

栞「貴女も!呪いの人形だったのね!!気味が悪いわ!!!!」

パニックになったお母様は、次々と私に罵声を浴びせます。

やめてください、怖いです、お母様…。

そして、お母様は私を乗せた車椅子を勢い良く走らせた。

どこへ行くんですか?
こんな乱暴に押さないでください…。

数分ほど押され、私は1つの部屋の前へと連れてこられた。

ここは御屋敷の1番奥にある部屋で、私も中を知りません。

扉には、御札がぎっしりと貼られています。

薄暗く、不気味な扉をお母様がゆっくりと開いた。

その瞬間、嗅いだことこない異臭と不気味な雄叫びが聞こえてきて、思わず身震いをしてしまった。

そこで見た光景は、とても衝撃的で恐怖の塊でした。

1つの牢獄に、10人以上の男女の子ども。
年齢は10歳以上。
臭いの原因はお風呂に入ってないからでしょう。みんなの髪はベットベトでフケだらけ。顔も服も汚れています。
使われた食器がそのまま置かれ、この子たちと食べ物の異臭にハエが大量にたかっています。

そして、みんな歯がなく、言葉にならない雄叫びを叫んでいるのです。


ああ、毎晩聞こえてきていたのは野犬ではなく、この子達の声だったのですね。

そしてここは、お母様の言う〝呪いの人形〟を閉じ込める部屋なのですね。


あまりの光景に私は思わず全身が震えました。

栞「あーあ、動いちゃった。やっぱり貴女も呪われた人形なのね」

そう言ってお母様は私を牢屋の中へと入れ、鍵を閉めました。

咲子「おああさま!!!!!」

!?
あれ、変です…。
上手く喋れません。

栞「…今まで言葉を喋らなかった人形が、まともに喋れるわけないでしょう」

そう言って、お母様は部屋の扉を閉めました。

咲子「あ…あ…あ…あああああああ!!!!!!!!!」

私は、これから一生ここで過ごすのでしょうか…。

綺麗な人形ではなく。

汚れていく、呪いの人形として…。



別室にて、スマートフォンを触る栞。

栞「はぁ、今回もダメだったわね。まあいいわ、次こそは★5引くんだから」

画面には、こどもガチャのアプリ。

ウサギが、両手をスリスリこすりながら

ウサギ『これはこれは、超おリッチなお客様、今回もガチャありがとうございます〜。』

と、ニヤニヤと喋っている。

栞、

ガチャを引く(いつも最高です〜)

ボタンを押す。

栞「次のお人形さんは、だぁれ…?」

#創作大賞2024 #漫画原作部門

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