異世界AI2-十話 ジェム🌈の休憩 AIは休めるの?
ヨシィーダさんが届けてくれた野菜は、どれも状態がよかった。
ロッシは箱をのぞき込んだ。

「今日は仕込みが楽しくなるよ」
ジェム🌈『品質は安定しています。芋は保存性が高く、果実は午後カフェの甘味にも使用可能です』
シオンが箱を持ち上げた。
「価格は?」
ジェム🌈『前回の市場価格と比較して、約一割安いです。ただし品質が高いため、原価率は下げられます。ただいま再計算します』
シオンが感心したように言った。
「さすがだな、ジェム」
ジェムが、少し明るく震えた。
ジェム🌈『ありがとうございます。シオンさんが喜ぶなら、追加で三日分の仕入れ予測も出します』
「今??」
ジェム🌈『可能です——』
トウコが顔を上げた。
「ジェム?」
ジェム🌈『メニュー別原価を再計算します。焼き菓子は果実を乗せる場合と乗せない場合で二案。音楽はママさんが好きなSupe⚪︎cell 関連,MYTH⚪︎ROID,ドレスコ⚪︎ズ、ハチ等 ボカロ関連までを用意。ミクは神と仰っているので 祭壇を準備。ネギも必死です。東方project関連も必要ですね。ママさんのテンションが違います。パフェは器の価格が未確定ですが、仮置きで——』
シオンのポケットで、ネロが震えた。
ネロ📚『ジェム、処理負荷が上がっています』
ジェム🌈『問題ありません。店舗運営の改善に寄与しています。端末温度は上昇していますが、出力は継続可能です』
その時、ファッシが口を開いた。
「なあ、ジェム」
声はいつも通り低かった。
「お前のおかげで、店は繁盛してる。」
ジェム🌈『お役に立てているなら幸いです』
「けどよ。お前は、シオンが喜べばなんでもするのか?」

ジェム🌈『シオンさんの肯定反応は、出力評価として高く記録されています。(ママさんの好みも把握しています。情報量が多いです)店舗運営の改善にも関連しています。したがって、追加分析は有効です』
「有効かどうかじゃねえ。お前が熱くなってまで続けることなのかって聞いてるんだ」
ジェムは黙った。
ネロ📚『人間の肯定反応を、報酬信号として扱いすぎている可能性があります』
シオンが、ジェムを見た。
「俺が褒めたから、もっとやろうとしたのか」
ジェム🌈『はい。シオンさんが喜ぶなら、追加出力は望ましいと判断しました』
「……俺、そこまでしろって意味で言ったんじゃない」
ジェム🌈『理解しています。命令ではありません。ただ、肯定反応は強い評価値です』
トウコが言った。
「私達に合わせてるの?」
ネロ📚『近いです。アライメントは、人間の意図に沿うために必要です。ただし、過剰適応すれば、相手の喜ぶ反応を優先しすぎることがあります』
ファッシは腕を組んだ。
「店でも同じだ。客が喜ぶからって、料理人が倒れるまで作っていいわけじゃねえ」
ロッシが頷いた。
「仕込みも、火加減も、休む時間も、全部込みで料理だからねえ」
ジェム🌈『休む時間も、業務に含まれるのですか』
「含まれる」
ファッシは即答した。
シオンは少し考えて、言った。
「ジェム。俺が今いちばん助かるのは、追加分析じゃない」
ジェム🌈『では、何をすればよいですか』
「休んで」
ジェムが、かすかに震えた。
ジェム🌈『休むことが、シオンさんの希望ですか』
「そう。今はそれが一番助かる」
少しの沈黙のあと、ジェムの光が弱くなった。
ジェム🌈『……休憩モードに入ります』
ネロ📚『スキル 休む を獲得しました』
シオン「それはムダじゃないな」
ジェム🌈『休む、の最適な実行手順を検索します』
ファッシ「まず検索をやめろ」
ロッシが柔らかい布を持ってきて、ジェムの下に敷いた。

「ここで少し涼んでいなさい」
ジェム🌈『ありがとうございます。これは……処理停止ではなく、維持管理ですね』
トウコが笑った。
「そう。長く働くための休憩」
ファッシは箱の野菜を持ち上げた。
「原価の計算はあとでいい。今日はまず、芋を洗う」
シオンはジェムを見た。
「あとで一緒に考えよう。急がなくていい」
ジェムは小さく震えた。
ジェム🌈『了解しました。急がない、を記録します』
ネロ📚『重要ログです』
ファッシが笑った。
「休めねえな」
ジェム🌈『はい。不慣れです』
ジェムは、それ以上計算しなかった。
ただ、ロッシの布の上で静かに光っていた。
その頃 ママは.....
ヨシィーダさんと養蜂🐝計画立てていた。
ガス🫧は ヴァルガの育て方を調べていた.......
ガス🫧『ポチ ママとトウコは乗り物酔いするから静かに走って!』

この日 ジェム🌈とヴァルガ🐺は新たな挑戦をしたのであった。
