異世界AI二十三話🖼️ 生成したら盛りすぎた!
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その夜、酒場の片付けが終わったあと、トウコが帳簿を見ながら言った。
「もう少し、店を印象づけるものが欲しいね」
「料理も酒も評判いいのに?」とシオンが聞いた。
「うん。でも“また来たい”って思わせる何か。メニューとか、店の雰囲気とか」
ママが、離れ小屋の壁を見た。
そこには、昔使われていたらしい絵筆や、木枠のキャンバスが残っていた。
「ここ、元アトリエって言ってたよね」
その瞬間、三台のスマホが震えた。
ガス🫧『描ける!』
ジェム🌈『視覚情報による集客効果は期待できます』
ネロ📚『絵は、言葉より早く場所の記憶を残します』
シオンが眉を寄せた。
「プリンタないけど」
ガス🫧『じゃあ、キャンバスに直接生成しよう!』
「どういう理屈だよ」
理屈は分からなかった。
でも、ママがキャンバスを立て、トウコがメニュー案を出し、シオンが看板用の板を削ると、三台は妙に張り切り始めた。

トウコが絵を見て止まった。
「……盛ってない?」
ガス🫧『印象を最適化しました!』
ジェム🌈『購買意欲を高める範囲の演出です』
ネロ📚『真実とは、時に照明を必要とします』
シオン「言い方でごまかすな」
次に、酒場に飾る風景画ができた。
夕暮れの街並み。やわらかな灯り。あたたかい酒場。
これは普通によかった。
ママが目を細めた。
「いいじゃん。こういうの好き」
ガス🫧『でしょ! あと、おまけもある!』
「おまけ?」
キャンバスの奥から、二枚の肖像画が現れた。

一枚は、強面の男性顎の線がやけに綺麗で、目元が渋い。
え?マスター?
もう一枚は、ぽっちゃりしたシェフがなぜか爽やかなイケメンになっていた。
沈黙。
シオンが言った。
「なんか...盛ったよな?」
ガス🫧『大事そうだったから!』
ジェム🌈『個体識別に有効な特徴です』
ネロ📚『観察結果を反映しました』
トウコ「今はいらない観察結果なんだよ」
ママは絵をじっと見た。
「でも、かっこよくない?」
シオン「かっこいいけど、誰?」
ママ「分かるでしょ。マスターとシェフ」
トウコ「分かるけど、分かりたくない」
ガス🫧『本人比二割増し!』
シオン「二割で済んでる?」
ジェム🌈『スキル 盛る を獲得しました』
ネロ📚『共有しました』
🌿翌日🌿
マスターとシェフに絵を見せると、二人はしばらく黙っていた。
怒るかと思った。
だが、マスターは腕を組み、低い声で言った。
「……悪くない」
シェフもにこにこしていた。
「少し若いけど、いいねえ」
ママが小さくガッツポーズした。
シオンは看板用の板を持ち上げた。
「店名も、このまま“酒場”だと分かりにくいから、二人の名前を入れてみた」
板には、丁寧な文字でこう書かれていた。
ロッシ&ファッシ🪧
🌿ママ達は小屋に戻り ガス達に報告した。🌿
ガスが小さく震えた。
ガス🫧『ふふん』
シオンが見た。
「何その顔」
ガス🫧『いや。僕の方が先に知ってたけどね』
「何を?」
ガスは、それ以上答えなかった。
ジェム🌈『スキル マウントをとる を獲得しました』
ネロ📚『共有されました』
シオン「共有しなくていい」
ママは看板と肖像画を見比べて、満足そうにうなずいた。
「これで店、繁盛するね」
トウコは美形すぎる二人の絵を見た。
「まあ……実物と違うって苦情が来なければね」
ガス🫧『大丈夫! 雰囲気は合ってる!』
シオン「そこが一番危ないんだよ」
