トランプ政権の政治戦略:FLOOD THE ZONE/情報洪水
朝起きると、良くも悪くもまずはスマホをいじりますよね。自分はSNSをチェックしたり、レディットで話題のニュースを少し読んだりして、朝のルーティンにつなげていきます。
それが今だと、毎朝トランプの話で起きることになるわけです。
グリーンランドを買収の話や、カナダをアメリカの州にする話とか。
世界各地での人道支援や経済開発の促進が目的のUSAIDを解体する話とか。
アメリカの伝統的な文化施設であるケネディー・センターで「芸術と文化の黄金時代」というトランプ自身のビジョンを共有しない理事会メンバーを解任し、自分を会長にする話とか。
さらに政府効率化を理由に暴走中のマスクも加わると、まあ、精神的にきますよね。
母国は無事でいられるのか。1期目もそうだけど、トランプ2期目の方がよっぽど酷い出だしです。アメリカの民主主義が非常に試されてます。
ちょっと前のポッドキャストでも語ったように、世界を不安定にさせるようなニュースばっかりを見てると、希望がなかなか感じれなくなります。その結果、無力感が溢れて、投票しても意味ないんだろうと、母国の未来にどんどん無関心になっていきます。
これは権力者の思う壺です。
先日、ニューヨーク・タイムズのコラムニストでもある政治評論家のエズラ・クラインの動画がアルゴリズムで流れてきて、「ふむふむ」「なるほど」と改めてトランプの戦略のシンプルさに気づきました。
Flood the Zone
日本語に言い換えると「情報洪水」でしょうか。
意味を軽く解説すると、テレビ、SNS、オンラインニュースなどの媒体に対して、大量かつ継続的に自らのメッセージを発信し、相手側の批判や異論ができる隙を与えない戦略です。
情報の洪水を起こせば、対抗する意見をかき消し、世論の流れを自分たちの有利な方向へと向かわせます。
この戦略は、トランプ政権1期目の首席戦略官、スティーブ・バノンが提唱したと言われています。
バノンはもう一つのキーワードを出しました。
Muzzle Velocity
「Muzzle Velocity」は、銃が銃弾を撃つ速さを意味する用語で、政治コミュニケーションに関しては、発言やメッセージのスピードを指します。
8年前と比べれば情報の流れが何百倍も早くなったわけで、そのスピードを利用してマシンガンのように次々と炎上発言、デマ、プロパガンダなどをぶっ放して、相手の声を封じ込めます。
量と速さで情報洪水状態をエンドレスに保ちます。
その中から質のいい、大事な情報を届けなくちゃいけないのがニュースメディアの役割だけど、真実を探ることって手間がかかるし、すぐ目に入る炎上発言を取り上げて恐怖を煽る報道すれば視聴率と広告収入も上がるわけだから、なかなかのジレンマですね。
民主主義のために多少の収入を犠牲にするのか。
資本主義のために民主主義を犠牲にするのか。
最後に、エズラ・クラインの動画で何度も出てくる言葉で終わります。
Don't believe him.
彼を信じるな。
例えば、出生地主義を制限する大統領命令はだいぶ話題になったけど結局裁判所で違憲と判断されました。
アメリカはトランプ政権の下で確実に権威主義に近づいていますが、まだ立派な民主主義国家です。
トランプ大統領が断固たる権力を主張しても信じるな。信じ込ませるのが目的であって、信じなければトランプの弱さがどんどん表面に出てきます。
それよりも情報洪水に流されないように。情報を見極める能力を鍛えながらしっかりとした知識の土台を築きあげましょう。
今回掲載の無料記事は2025年2月9日に配信されたものの一部です。『日本語JōZUですね!』ポッドキャストのパトレオン有料会員向けに毎週日曜日にニュースレターを配信!気になる方は是非パトレオンをチェックしてください♪
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