キャリアアップ助成金「正社員化コース」を満額80万円を受給する方法
こんにちは!日本綜合社会保険労務士法人の山田です。
前回の記事では、昨年の最低賃金引き上げを機に活用できる「賃金規定等改定コース」について解説しました。多くの反響をいただき、ありがとうございます。
さて、今回は多くの企業様が活用されている「正社員化コース」について、「今年の4月から助成額が半額になったと聞いたのですが、もう満額はもらえないのでしょうか?」というご質問にお答えします。
結論から申し上げますと、諦めるのはまだ早いです。
確かに、2025年4月1日に制度が変更され、支給額は原則半額となりました。しかし、新制度のルールを正しく理解し、ある一手間を加えることで、今からでも満額の80万円(中小企業の場合)を受給することが可能です。
そこで今回は、既にスタートしている新制度のポイントと、満額受給を実現するための具体的な方法を分かりやすく解説します。
何が変わった?キャリアアップ助成金「正社員化コース」の変更点

まず、今年の4月に何が変わったのかを正確におさらいしましょう。
中小企業が有期雇用の従業員を正社員に転換した場合の支給額は、以下のように変更されました。
【旧制度】(~2025年3月31日)
・原則:80万円(40万円×2期)
・重点支援対象者:該当なし
【新制度】(2025年4月1日~)
・原則:40万円(1回のみ)
・重点支援対象者:80万円(40万円×2期)
※有期雇用から正規雇用への転換の場合
このように、2025年4月1日以降の正社員転換は、原則として支給額が半減しています。
しかし、上記の中には重要なキーワードがあります。それが「重点支援対象者」です。この対象となる従業員を正社員へ転換すれば、旧制度と変わらず満額80万円が支給されるのです。
満額80万円受給のカギは「重点支援対象者」へのステップアップ

では、どうすれば従業員が「重点支援対象者」になれるのでしょうか。
国は、単に雇用形態を変えるだけでなく、「より支援が必要な労働者のキャリアアップ」を後押しする企業を重点的に支援するという方針を明確にしました。
「重点支援対象者」の定義は以下の通りです。
1.長期間、有期契約で雇用されていた人(雇入れから通算3年以上)
2.正社員経験が特に少ない人
3.派遣労働者
4.母子家庭の母等
5.人材開発支援助成金の特定訓練修了者
この中で、1~4は個人の経歴や家庭の状況といった「属性」に関するもので、企業側が意図的にコントロールすることは難しいでしょう。
しかし、5つ目の「人材開発支援助成金の特定訓練修了者」は、唯一、企業が主体的に取り組むことで対象者になってもらえる項目です。
これこそが、全ての企業が今からでも活用できる、満額受給への王道ルートなのです。
【結論】カギは「人材開発支援助成金」との合わせ技!
結論を申し上げます。
新制度のもと、キャリアアップ助成金(正社員化コース)で満額80万円を受給するためには、
「正社員転換の前に、『人材開発支援助成金』を使って教育訓練を行う」
この一手間が不可欠です。
これは国からの「ただ正社員にするだけでなく、しっかりと教育投資でスキルアップさせてあげてください。
その取り組みを評価して手厚く支援しますよ」という明確なメッセージと言えるでしょう。
中小企業に最適!「人への投資促進コース」の定額制訓練
「教育訓練といっても、コストも時間もかけられない…」という中小企業の皆様に最適なのが、人材開発支援助成金の中の「人への投資促進コース」、特に「定額制訓練」の活用です。
これは、いわば「学びのサブスクリプションサービス」を利用した訓練のことで、多くのメリットがあります。
安価で手軽:月額数千円から利用できるサービスも豊富
場所を選ばない:従業員はPCやスマホで、業務の隙間時間に学習を進められます
助成金の対象にしやすい:合計10時間以上の視聴で訓練修了と見なされるなど、要件がシンプル
満額受給までの7ステップ

では、最後に満額需給までの7ステップを解説します。
教育訓練サービスの選定(助成金対象のもの)
サービス事業者との受講契約
訓練開始の1ヶ月前までに労働局へ計画届を提出
訓練の実施(対象者がオンライン講座などを視聴)
合計10時間以上の視聴完了 → これで「重点支援対象者」に!
正社員へ転換
キャリアアップ助成金(80万円)を申請
このように、正社員転換のプロセスに「教育訓練」を組み込むだけで、満額受給への道が開かれます。
さらに嬉しいことに、訓練費用自体も人材開発支援助成金によって補助(最大75%)されるため、企業の実質的な負担はごくわずか。まさに一石二鳥の制度です。
まとめ

2025年4月からのキャリアアップ助成金の制度変更は、一見すると改悪に思えるかもしれません。
しかしその本質は、企業の人材育成への取り組みをより一層促すためのメッセージ。これからの時代、従業員への教育投資は企業の持続的な成長に不可欠です。
「人材開発支援助成金」との合わせ技で、従業員のスキルアップと助成金の満額受給を両立させ、強い組織づくりを進めていきましょう。
制度の具体的な活用方法や、対象となる教育訓練サービスなど、ご不明な点がございましたら、ぜひお気軽に私ども専門家にご相談ください。

