【今週の1本】「赤とんぼ」 sanngoさんへ
三歳半だった。実母は私を置いて父とは別の男の元へ走った。
クリスマスの寒い朝、プレゼントに貰った私のリカちゃん人形の箪笥が宙を舞い、神妙なふりをして畳に正座していた母の頬を掠めた。暴力を奮ったのは父ではなく、母方の伯父だった。
「あ〜〜!!」
火がついたように泣き出した私に伯父が
「また買ってやるから」
と言ったのを覚えている。クリスマス・プレゼントの箪笥が欠けたから泣いたのではなかった。
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編集部より
私自身の思春期の思い出を抉り出すような作品で衝撃を受けました。
自分の体が別物に変わってしまうような、汚いものになっていくような恐怖を感じていたことを思い出します。
