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マクロ統計×トレンドで読み解く「今」Vol.1~地球人の家計簿と「検索」の裏側

【登場人物】
ゼータ(数字マニアの宇宙人)
データルームに棲みつき、地球の統計データを読み込むのが日課。数字は絶対だが、人間の感情や流行が理解できない。
タカシ(トレンド&ポイ活好きのパパ)
妻と小学生の娘を持つ会社員。休日はGoogle Trendsを眺めながら、家族のお出かけ先とポイ活案件を探すのが趣味。生活実感にあふれる男。




家計調査って、なに?

タカシ、総務省が出しているこの「家計調査」という膨大なデータ群は何なのだ?いろんな統計がある中で、これが注目される理由がわからん。

おっと、そこからだね。家計調査っていうのは、一言で言えば「日本中の家庭が、何に、いくらお金を使ったか」を記録した、家計簿の集計版なんだ。総務省が毎月発表していて、僕ら日本人がどんな生活をしているかを生々しく映し出す鏡みたいなものさ。

家計簿……。つまり、人々の財布の紐が緩んだか締まったかを、国が把握しているということか?

そういうこと。食品から電気代、トイレットペーパーから映画のチケット代まで。これがわかると、「今、景気がいいのか悪いのか」とか「国民が何に価値を感じているか」がマクロな視点でわかるんだ。


家計調査の数字から見える「消費の変化」

なるほど。では、この家計調査の時系列データを見てくれ。地球人の生態の変化が如実に表れているぞ。
たとえば2000年と2025年を比較すると、食肉の購入量が全体的に20%以上増加している。その一方で、生鮮魚介の購入量は約60%も減少しているのだ。(※牛肉単体では50%近く減少しているのも興味深いな)

(出所)家計調査(二人以上の世帯)の月次累積データより作成

うわ、魚離れって本当なんだね。25年でそこまで変わるとは……。これは「食の欧米化」が進んで、肉料理が食卓のメインになったことがデータで証明されているってことだね。

もう一つ、不可解な急変動がある。この2020年のデータだ。それまで一定の波を描いていた項目が、この年だけ急激に減っている。

ああ、それは「コロナ禍」の影響だね。

確かに、「小麦粉」や「麺類」など内食向けの購入量は2020年に前年から大きく増加している。
しかし一方で、「洋服」「ガソリン」、そして「旅行鞄」の落ち込みようはどうだ。まるで地球人が一斉に外に出るのをやめたかのようだ。

まさにその通り。外出自粛で「巣ごもり消費」が増えたんだ。外食できない代わりに家で美味しいものを食べるから食料品は増える。でも、会社にも旅行にも行かないから、洋服も、車に入れるガソリンも、新しいスーツケースもあまり買わなくなった。当時の「静まり返った街」が、見事に数字に現れているよ。

「なぜ?」をGoogleトレンドで解き明かす

「何が起きたか」は家計調査でわかった。しかし、もう一つ腑に落ちないデータがあるのだ。タカシ、この「ウイスキー」の年別購入量のデータを見てくれ。なぜ2015年は、前年比で約15%も購入量が増加しているのだ?

あー、2015年のウイスキーね!はいはい、それ多分「朝ドラ」の影響だよ。ほら、スマホ貸して。Googleトレンドで調べてみるよ。

グーグル・トレンド……?地球人の脳波をスキャンする装置か?

まぁ似たようなもんかな。世界中の人がGoogleで何を検索したか、その「興味・関心」の波がわかるツールさ。統計データという「結果」に、検索データという「関心」を重ねると、より深い考察ができるんだ。
ほら、2014年の後半から2015年にかけて、「ウイスキー」と「ニッカ」の検索人気度が爆上がりしてるでしょ?

!! 確かに、ある時期を境に検索数が急激に山のようになっている。私が先ほど指摘した、家計調査の「購入量増加」のタイミングと見事に一致しているぞ。

当時、日本のウイスキーの父をモデルにしたドラマが大ヒットしてさ。みんなテレビを見て「ウイスキー飲みたい!」ってなって検索して、お店に買いに走ったんだよ。

なるほど……。「家計調査」という【結果】の裏には、Googleトレンドに表れるような地球人の【興味・関心】が先行して動いていたのか。

お酒の話で言えば、ほかのお酒も面白いよ。ゼータの持ってる家計調査だと、購入量が増える時期っていつ?

待ってくれ……(ページをめくる音)。ビールは「夏」と「12月」にピークが来ている。日本酒とワインは圧倒的に「12月」がピークだな。

そう!そしてそれぞれの購入量とGoogleトレンドを掛け合わせると、面白いことが見えてくるね。

まず夏場だけど、ここは分かりやすい!検索も購入もセットでグッと上がるんだよね。暑いから『ビール飲みたい!』ってなるし、『新しい期間限定品は何かな?』って、みんな能動的に調べて買ってる感じがする。

面白いのは12月だよ。購入量は夏と同じくらい跳ね上がるのに、検索数はそこまで伸びないんだ。これって、12月のビールは『選ぶ楽しみ』というより、忘年会や正月準備の『定番としての義務感』で買われてるからじゃないかな?『とりあえずビール』を箱買いする時に、わざわざ検索はしないもんね。

た、たしかに...(といっても地球に来たのはつい最近だが)

一方で、ワインはまた全然違う動きなのが興味深いよね。11月のボジョレー解禁から12月のクリスマスにかけて、検索がドカンと集中する。でも、年が明けた瞬間に『ストン』と魔法が解けたみたいに落ちちゃう。

こうして見ると、ビールは『季節の欲求と習慣』で動いているけど、ワインは『特定のイベント』に全力投球している……そんな違いが見えてきて面白いね!
ちなみに、日本酒も冬に検索が増えるけど、お正月や「熱燗」のシーズンとしっかり連動しているんだ。

驚きだ。確固たる事実である『家計調査』の数字の羅列が、Googleトレンドという『人々の感情の波』を重ね合わせることで、途端に地球人の息遣いを感じるストーリーへと変貌した。

だろ?数字だけ見てても「ウイスキーが売れた」っていう現象で終わるけど、トレンド(流行)や生活者の心理を合わせると「テレビドラマが文化的なブームを起こし、経済行動に繋がったんだ!」って、より深みのある考察ができるようになるんだよ。

素晴らしい。「マクロ統計(事実)」×「Googleトレンド(興味)」は、地球の経済活動を紐解く最強のデュアルレンズというわけだな!タカシ、次は……

っと、ごめん!俺これからポイ活でポイント3倍のスーパーに行かなきゃならないから、続きはまた今度な!


▼この記事の執筆者
安食 貴博(デジタルキュレーション本部 DC第2部)