[ 親父の癖 ]:毎週ショートショートnote(思い出相続税)
ー 相続したのは、思い出と、もうひとつ ー
↑こちらのお題【思い出相続税】に参加しました。
ついでに、車内温度34°Cもお題に加えて、こんな感じに仕上がりました。
お気軽にお読みくださいね😊♪

[ 親父の癖 ]
親父が遺した車。
車内温度は34°C。
4月なのに、暑苦しい。
運転席に座ると自然に、右手はハンドル、左手はシフトノブの上に置かれる。
ふと、仮免の練習を思い出す。
MT車。仮免にはスパルタすぎる。
それに加え、横に乗せた親父が、ブレーキはもっと優しくだの、左に寄りすぎだの、とにかくうるさかった。
親父がこの車を買ったのは、俺が小学生の頃だ。
「ストレートなら、フェラーリをぶっちぎれる」とよく言っていた。
でも、軽トラに抜かされる親父の運転を助手席から眺めて「ホントかな?」と思っていた。
実際、自分で運転してみると、嘘ではなかったことが分かった。
そんな車とも、お別れだ。
貴重な車らしく、相続税がバカ高い。
こいつの相続税を払うのに、こいつを売るしかなかった。
全開にした窓から、心地いい風が頬に当る。
親父の思い出が詰まっている車。
また、どこかで、誰かの思い出となればいいさ。
俺は、静かにクラッチを繋げた。
親父が、そうしていたように。
おしまい
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