[ 獣人十色 ]:毎週ショートショートnote
↑↑コチラのお題に参加しました。
YOASOBI「怪物」の原作、板垣巴留によるオリジナル小説「自分の胸に自分の耳を押し当てて」に、なんか感化されて書いてみました。
自治ネタも含めたフィクションです。

[ 獣人十色 ]
小動物は、自らの鼓動の動きで体がビクビクと動いてしまう。
オレたち肉食獣は、その微妙な動きを捉えて、奴らを獲物とするのさ。
あそこに小動物が潜んでいることは、承知している。
奴が警戒を解いた一瞬に、全てをかける。
緊張して、オレの鼓動もドクドク打っているのが分かる。
──ヨシ、隙を見せた、今だ!
オレは飛び出そうと足に力を込めた。
「コラ、ちょっと待て」
何者かに声をかけられた。
「オマエ、今、あの小動物に襲い掛かろうとしているだろう」
こいつバカか、そんな声を出したら、ほーら言わんこっちゃない、獲物が一目散に逃げてったじゃねぇか。
ちくしょー、オマエも肉食獣のくせに、なんだっていうんだ。
「弱きものを襲って、どうするのだ」
はぁ? オレの腹を満たすに決まってんだろ!
「強きものは、弱きものを守らなければならない、そうは思わんか」
はぁ? そんなもんで、腹は満たされねぇよ!
「まぁ、人の意見には耳を傾けろ」
はぁ?
「とあるスポーツ選手は、世界最高の選手なのに、相手監督や選手、審判に欠かさず挨拶をして敬意を表している。ああなりたいとは思わんか」
思わんね、それよりも、オレは腹を満たしたい。
「あのデモをしている人々を見ろ。彼らだって一生懸命生きているんだ、耳を傾けてみようとは思わんか」
あー、めんどくさ、こんな奴の相手なんてしてらんね、次の獲物を探しに行くぞ。
「こら、待たぬか、人の意見に耳を傾けろ」
知るか、勝手にほざいてろ、オレはオレの道を行くさ。
「あー、行ってしまった。
まぁ、それもお前の人生だ、好きにするがいいさ。
さて、いい具合にライバルは去った、私も獲物を物色するか。
なにせ、ここは小動物出現の穴場ポイントだからな」
おしまい
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