[ この中にお殿様はいらっしゃいますか? ]:毎週ショートショートnote
↑こちらのお題[ この中にお殿様はいらっしゃいますか? ]に参加してみました。
毎ショさんには珍しく、お題らしいお題に、かなり引っ張られてしまいました。
お話をまとめるのって、難しいですね😊♪

[ この中にお殿様はいらっしゃいますか? ]
「ありがとうございました」
まったく、ちょろいもんだぜ。
口八丁で値段を高くしても、客は支払いを済ませてくれる。
浮いた金は、もちろん俺がいただく寸法さ。
お役人に見つかったら大目玉だが、客が気づくはずがない。
我ながら、いい仕事についたもんだ。
「おい、いいか?」
同僚の八兵衛が声をかけてきた。
どうした、と返事をすると、耳元に顔をよせてきたので、少しだけ首を傾ける。
「どうやら今日の客の中に、お殿様が潜んでいるらしい」
なんだって? お殿様が?
親方が言っていたから間違いないという。
嘘だろ。悪趣味だぜ。
今日も、何人もの客に高い値段で売ってんだ。
その中にお殿様がいたら、俺の首は間違いなく飛ぶ。
辺りを見回すと、男が五人、女が三人か……。
この中にお殿様がいるのか、それとももう帰ったのか……。
「これを貰おうか」
男の客がやってきた。
とりあえず愛想よく振る舞おう、もちろん適正価格で販売だ。
「おや?」
男の客が小首をかしげる。
なんだ、どうした?
「おかしいな、さっきの客よりだいぶ安い値段だ」
こいつ気づきやがった。
まさかコイツがお殿様か!
「ま、いいや、ありがとうよ、旦那」
笑顔で手を振る男の客を見送る。
ふと、辺りを見ると、何人かの客がコチラを見ていた。
やばい。
滝のような汗が止まらない。
おしまい
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