大学受験は「人生最後の受験」ではない【受験で磨いた力はその後も生きる】
「大学受験が終わったら、もう勉強しなくていい」
そう思っている受験生がいるとしたら、少し待ってほしい。
教員・講師として計12年間、大学受験の先にある「人生の受験」を何度も経験してきた。そして断言できる。大学受験で磨いた戦略思考と、泥臭く頑張った経験は、その後の人生で必ず活きる。
人生には「受験」が何度もある
大学受験は、人生における最初の大きな選抜試験だ。でも最後ではない。
社会に出てから直面する「受験」を列挙してみる。
① 就職活動(就活)
エントリーシート・筆記試験・グループディスカッション・面接——就職活動は立派な「受験」だ。志望企業を調べ、自分の強みを整理し、選考を突破する戦略を立てる。大学受験と構造は全く同じだ。
② 資格試験・国家試験
大学在学中から社会人になってからも、資格試験・国家試験は続く。看護師・保健師・薬剤師・医師——医療系は大学卒業後に国家試験が待っている。教員免許・公認会計士・宅建・TOEIC・簿記・社会福祉士——職種によっては取得が必須のものも多い。試験範囲を把握し、効率よく勉強し、本番で結果を出す。これも受験だ。
③ 教員採用試験・公務員試験
教員・公務員を目指す場合、大学卒業後に採用試験を受ける必要がある。私自身が経験したが、これは大学受験より戦略が重要な試験だと感じた。
④ 大学院入試
研究職や専門職を目指す場合、大学院への進学が必要になることがある。大学院入試も立派な受験だ。
⑤ 転職活動
社会人になってからも転職活動という「受験」が待っている。書類選考・適性検査・面接——選考を勝ち抜く力が求められる。
⑥ 昇進試験・社内選抜
会社によっては昇進のための試験がある。管理職試験・社内資格・プレゼン選抜——社会人になってからも試験は続く。
大学受験を経験した人は「次の受験」が楽になる
ここが伝えたいことの1つ目だ。
大学受験で本気で頑張った経験がある人は、その後の試験で「あのときと同じノリでやればいい」と思える。やるべきことを整理して、計画を立てて、毎日こなしていく。この感覚を一度でも経験していると、次の試験に向かうときの気持ちが全然違う。
方向性が見えているから、気持ちが楽なのだ。
逆に大学受験を「なんとなく」こなした人は、次の試験でゼロから戦い方を模索することになる。同じ試験でも、スタートラインが違う。
大学受験で磨いた力は使い回せる
① 情報を集めて整理する力
どの科目を優先するか・どの参考書を使うか・どの大学を受けるか——大学受験は「情報戦」でもある。膨大な情報の中から自分に必要なものを選び取る力は、就活・資格試験・転職活動でそのまま使える。
② 長期的な計画を立てて実行する力
高3の1年間、逆算してスケジュールを組み、毎日コツコツ実行した経験。プロジェクト管理・試験対策・資格取得——長期の目標に向けて計画を立てて動く力は、どんな仕事でも必要だ。
③ 本番で実力を発揮する力
試験当日、緊張しながらも最大のパフォーマンスを出す経験。就活の面接・資格試験・昇進試験で生きてくる。「本番に強い人間」になるためのトレーニングが大学受験だ。
④ 泥臭く頑張った経験そのもの
うまくいかない時期でも諦めずに机に向かい続けた経験。これは知識や技術ではなく、「自分はやれる」という自信と「やり切った」という事実として残る。
高校生のうちに本気で頑張るべき理由
何事も若いうちに経験した方が、相対的に頑張ることができると私は思っている。
高校生のうちは、衣食住が保護者によって保障されている。食事が出てくる。洗濯をしてもらえる。家賃を払う必要がない。その環境のありがたさは、当時はなかなか気づかないものだ。
でも大学生になると、一人暮らしを始める人も多い。アルバイトをしながら勉強する。自炊をしながら授業に出る。社会人になれば、仕事をしながら資格の勉強をしなければならない。
どんどん「勉強以外にやらなければならないこと」が増えていく。
純粋に勉強だけに集中できる時間は、高校生のうちが一番長い。その恵まれた環境の中で、本気で努力して勉強したという経験を積んでおくことが、その後の人生で何度も活きてくる。
私自身の話
私は大学受験で完全に失敗した。首都大学東京を前期・後期ともに受験して、両方不合格。戦略0%・努力100%の受験だった。
でもその後の教員採用試験では、47都道府県すべての自治体を2週間かけて調べ上げ、「自分の得意が最も評価される自治体」を見つけ出して合格した。
大学受験の失敗から「情報を集めて戦略を立てることの重要性」を学んだからこそ、教員採用試験での作戦勝ちがあった。
大学受験の失敗は無駄ではなかった。失敗から学んだ戦略思考が、その後の受験を制した。
受験生へのメッセージ
今、大学受験に向けて必死に勉強しているあなたへ。
今やっていることは「大学に入るため」だけではない。
高校生のうちに本気で努力して勉強したという経験は、大学生・社会人になってから何度も支えになる。その経験を積めるのは今だけだ。
大学受験は人生最後の受験ではない。でも人生で最初に「本気で戦略を立てて挑む経験」ができる場だ。
衣食住が保障された今の環境を、ありがたいと思えなくてもいい。でもその環境を最大限に使って、今しかできない「本気の努力」をしてほしい。それが10年後・20年後の自分を助けることになる。
※ 本記事は筆者の個人的な体験と教員・講師としての経験をもとにした見解です。
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