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ロールモデルはいないけど、

私は今年33歳になる女だ。周りの友達の多くは出産をして子育てとキャリアの両立を図っており、身近な会社の先輩などをロールモデルとして日々奮闘している。いっぽう私は自由きままな独身で子どももおらず、かといってバリキャリとしてガシガシとキャリアアップを狙っていくほどの野心や熱意もないから、誰をロールモデルとしたらいいのだろう?そもそも必要?と、「ロールモデル」というものを若干冷めた距離感で見つめている。

そんな私だけれど、今までの人生で「素敵だな」と感じた女性が3人いる。ロールモデルというと大げさだけれど、彼女たちの生き方を少しでも取り入れられたら、今よりちょっといい女性になれるかもと思っている。

一人は、小学生のころ通っていたバイオリン教室の先生。ある日のレッスンで、私は左手の小指の爪だけ切り忘れていて、弦を十分におさえきれていなかった。それを見た先生は「小指の爪は、なにかのおまじない?」と私に尋ねた。当時はその発言をなんのひっかかりもなく受け入れたけれど、大人になったいま、当時40歳を過ぎていたであろう先生の口から「おまじない」という言葉が出てくるチャーミングさを、小学生と同じ目線に立った言葉選びの優しさを、とてもいとおしく思う。

二人めは、大学生のころインターンに行った、とある機関の研究者の方。お堅い機関だったため紺やグレーなどの服装の女性がほとんどのなか、その人はヒョウ柄のスカートに赤のヒールを履いて職務にあたっていて、ひときわ目立っていた。若くして多数の輝かしい結果を出していたその人は、私に「自分の好きなようにふるまいたいなら、その前にまずは結果を出さなきゃね」と教えてくれた。組織の中で我を通したければまずは結果を出して貢献すること、という鉄則を身をもって体現されていて、とにかくカッコよかった。

三人めは、近所の紅茶屋さんのマダム。70歳を過ぎているのにスリランカに毎年ひとりで茶葉を買い付けに行く、アクティブなかた。おいしい紅茶と季節のフルーツを使ったお菓子を用意して待ってくれていて、行けばいつもにこにこと朗らかな笑顔で迎えてくれる。お店を1か月閉めていたと思ったら、マンスリーマンションを借りて好きな街を暮らすように旅していたからだったとか、その思い出の詰まったアルバムを喜々として見せてくれたりとか、とにかく自分のやりたいこと、好きなものに実直なのだ。ある日の会話でマダム「このお店には結界を張っているからね、変なお客さんは来ないのよ」と笑って言った。自分の好きなものに実直ということは、自分が嫌と感じるものを寄せ付けないことにも実直ということなのだ。いくつになっても、自分の好きに前のめりで、不快なものを遠ざけて、朗らかでいる強さを持つことは美しいなと思わせてくれる。

ロールモデルはいないけど、人生で「素敵」と思えた先輩の考え方や生き方を真似するだけでじゅうぶんなのかもしれない。色々な人のエッセンスを取り入れて、自分がどんどん唯一無二になっていけばいいと思うから。

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