最も美しい言葉
文藝春秋5月号、内館牧子さんの記事「ムーンサルトは寝て待て」の第22回は「美しい言葉・好きな言葉」と題している。
以下、記事の冒頭部分です・・・・
アメリカのトランプ大統領は、就任数ケ月前に言った。
「私にとって辞書の中で最も美しい言葉は「関税」だ。愛よりも何よりも美しい」
それにしても、一国のトップになろうと言う人がこう言うか。驚くばかりだが、トランプ大統領なら言いそうだ。・・・
衆議院予算委員会で石破総理が「辞書で一番好きな言葉」を問われて、総理は「トランプ大統領の「関税」には驚いたが、私とは見解を異にする」と明言し、「故郷(ふるさと)だろうと思う」と答えた。続けて
「まぶたを閉じると、故郷がある。人情があり、風光明媚で、皆さんそれぞれの心の中にあると思うが、私にとって「故郷」が一番美しい」
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トランプは「美しい」と「好き」を同一にとらえているようで、違和感はあるが、ともかく注目を集めたい一心なのだろう。単純なのだ。石破首相の方がずっとまし、いいか悪いかは別として素直ではある。もっとも故郷のない当方は、些か面白くはない。
内館さんの記事に戻ると、出版社の編集者にとって一番好きな言葉は「重版」だそうだし、内館さん自身がテレビドラマを書いていた時、辞書の中で何よりも美しく、好きな言葉は「高視聴率」だったとのこと。美しい言葉とは思えないが、好きな言葉には納得する。
当方が会社経営に携わっていた時、好きな言葉は、何と言っても「高収益」だったが、経営者であればだれでも考えることであり、如何にも俗っぽい。今は、2カ月毎に定期検査を受ける身、好きな言葉は「無罪放免」、これも俗っぽいが、もともとごく普通の平凡な人間、人生なのだからやむを得ないのだ。
昨今、トランプ関税は揺れ動いている。相互関税を発動したかと思うと数時間後に、3カ月間一時取りやめると撤回した。中国に対してだけは相互関税145%を実施し、中国は報復関税125%で対抗しているが、アメリカのアップルなどの働きかけで中国から半導体関連の輸入は相互関税をかけないとか言っている。又、アメリカの自動車メーカーの働きかけで自動車の主要部品の輸入には特別措置を考えるなど、一日ごとにころころ変わり、何が何だか分からない。トランプは自らを柔軟だと言うが、最初から何も考えずに単純な発想だけで事を進めている。側近にイエスマンだけを集めて、裸の大様であることは明らかだ。
アメリカ国内を見ても、ハーバードなど気に入らない大学の補助金をカットし、自分に批判的なメディアにプレッシャーをかけるなど、こんな大統領を選んだアメリカ国民の良識を疑ってしまう。一番美しい言葉は、「自由と民主主義」でなければならないのだ。
