隅田川沿いのメジロ夫妻・マラソン人
昨日、東京の最高気温は十六度、四月並みの陽気だった。隅田川沿いのメジロに会って来た。
午後二時、ウォーカーを押し、左から監視人殿(俗称・妻)が軽く腕を支える、いつもの二人三脚で外に出た。雲間から陽が射し、微風、寒さを感じない。絶好の散歩日和である。春の空気を浴びようと、隅田川・浜町公園コースに決めた。
歩数を稼ぐため、大回りして金座通りを通り、グランド側から浜町公園に入る。最後の上り坂を制覇し、隅田川沿いの広場に出た。平日だから閑散としている。いつもの定点観測地点で、暫し川を眺める。
青い水面が川いっぱいに広がり、いつもよりやや大きめに波打っている。正面のマンションの窓に反射した陽光が水面に落ち、きらきらと瞬く、いつもと変わらぬ「光る川」だ。正面のブルガリアの看板の左には、相変わらずのスカイツリー。今日は白い雲を背景に、鉄骨が際立っている。
やがて、左方上流から毎度おなじみの白い双胴船がやって来た。後部のオープンデッキに立っている十数人は、気持ちよさそうに両岸を眺めている。あっという間に目の前を通過し、下流へ去って行った。暫く待つが、いつも見る宇宙船型の大型観光船は来ない。平日は便数が少ないのだろう。

と、監視人殿が、「あそこに小鳥がいる」と言う。指さす方向を見ると、目の前の木の枝にメジロがいる。我々のいる観測地点のすぐ下、遊歩道との間の斜面に落葉樹が植えられており、無数の細かな枝が伸びている。メジロがその枝の間を忙しく移動しながら、何かを突っついている。もちろん、二羽のメジロ夫妻だ。我々とは距離があるから、向こうは気が付いていない。
単なる枝にしか見えないが、突っついているから新芽が出ているのかもしれない。他の鳥に先駆けて味わっているのだろうか。そのうち、もう二羽のメジロが来て一時は四羽になるが、すぐに二羽に戻る。二羽は適当な距離を保っているが、ときに近づくこともある。人間と同じだ。

気温十六度が枝の新芽を膨らませ、メジロがそれを嗅ぎつけたのだろうか。すぐ向こうの遊歩道では、いつにもましてマラソン人が行き交っている。

メジロに別れを告げて、スポーツセンターの裏手に回る。満開の紅梅に、いつも来ていたメジロ夫妻がいない。もしかしたら、隅田川で会ったあのメジロと同じ夫妻なのかもしれない。近くに何本かの白梅があり、枝一杯に蕾をつけ、少しずつ咲き始めている。
浜町公園を後にし、新大橋通りから緑道に入る。中ほどのベンチで一休みする。ベンチには、いつものアジア系女性が三人座っている。うち一人が比較的大きな声で喋っているが、初めて聞く言葉で、何語かさっぱり分からない。相変わらず鳩が足元を行き交い、ときどき地面を突っついている。暫し休み、緑道出口の弁慶像に挨拶して、我マンションに向かう。
帰宅してスマホで確認すると、三千百歩余。ノルマは十分にクリアしている。今日の最高気温は四度とか、真冬に戻っている。午後の散歩は街中だ。明日は総選挙の投票日、日本橋小学校に行くから、やはり街中散歩になる。メジロ夫妻と会うのは来週になる。待っているはずだ。約束したのだから。
