【2024年10月、双葉大熊富岡取材その10】白山神社
「有料」とありますが、基本的に全て無料で読めます。今後の取材、制作活動のために、カンパできる方はよろしくお願いします。
〜〜〜〜〜
<続き>
混乱する感情
双葉駅近くで「ホープツーリズム」と思われる外国人の団体と遭遇してから、頭が混乱していた。
外国人に対する悪い感情はない。日本人よりも福島で起きた原発事故に関心を持ち、ある意味、未来への伝承という意味では重要なキーワードになるとさえ思っている。
自分が福島に通い続けているように、被災地を訪れること自体にも異論はない。僕は原発事故から4年も経過してから現地に足を運んだのに、一部の人からはそれでも「物見雄山」と揶揄された。誰かが被災地を見たいと訪れたとして、それを揶揄するつもりは全くない。

しかし、どうにも頭の中は混乱していた。いつだったか、地方紙にホープツーリズムツアーについての記事があった。その記事には、帰還困難区域を通過するバス車内の空間線量の記述があり、実態よりも非常に低い数値が書かれていたと記憶している。実際には車内でも3や5μSv/hといった数値を示す場所があるのだが、意図的なのか無知なのか、それよりも遥かに低い数値が記述されていたことを覚えている。
「ホープツーリズム」という造語
そもそも、「ホープツーリズム」という造語が嫌いだ。元々は負の歴史から学ぶという意味で、悲惨な事故や事件があった場所を訪れる「ダークツーリズム」という言葉があるのだが、非常に日本人らしい価値観で、「ダークな負の歴史」というものを「なかったこと」にしようとしている。

「差別に繋がる」という人もいるが、そもそもそうした「負の歴史」が差別に繋がること自体が非常に日本的で、僕はそういう価値観が大嫌いだ。
私見だが、子どもの頃の教育から障害者と健常者を区別し、見えないように見えないように分けてきたことと繋がっていると思う。障害者と共に学び普段から接することで、「異なる個性との接し方」を幼少時から体験してきた国の人々と、分けて見えないように隠してきた日本との文化的な違い。僕は、そんな日本が大嫌いだ。
歴史改竄?

歴史を改竄するような、行政主導の気持ち悪い「ホープツーリズムツアー」を前にして、頭の混乱した僕は、いつもなら夕方17時近くに双葉を出る上り電車でいわきの定宿に戻るのだが、この日はそれを1時間遅くして、その間に久しぶりに白山神社を撮影しに行こうと決めた。季節的に着く頃にはだいぶ暗くなっているはずだが、持っているカメラのレンズは相当明るいし、三脚も持っているので、特に問題はないだろう。
…なんで行こうと思ったのかはわからない。


「復興シンボルロード」の建設が進み、白山神社へ向かう道は若干変わり、行きの道は思ったより時間がかかり、少し焦った。別に終電が迫っているわけではないのだが。



白山神社






高台にある白山神社からは、かなり暗くはなっていたものの、まだ町の様子を上から撮影することが出来た。動画も撮れた。久しぶりに訪れた白山神社は、荒れ果てていた社殿の扉と階段が改修され、中がしっかりと守られていた。御神体は無事だったのだろうか。
高線量の敷地内




敷地内の線量は相変わらず高い。高台に上がる階段の途中や社殿の裏の山の斜面に近い場所などでは3.0μSv/h近くまで上がることもあった。一度除染してからしばらく経っているのにこの数値。フォローアップ除染が必要だと思うのだが、町の除染検証委員会は動く気配がない。富岡町役場などに伝えているように、電話して除染を要求したほうがいいのだろうか。


(実際はもっと暗いです)。

夜の双葉町
白山神社での撮影を終え、日が沈みかけた双葉町を歩く。昔なら猪の登場を恐れたものだが、今はだいぶ数も減り、このエリアに人も帰ってきたので、かつてほどの怖さはない。夜の双葉町の撮影はあまり経験がないので、少し楽しみつつ双葉駅へ向かった。頭に昇った血は、この時は少し収まっていた。









いわき駅へ



19時前にいわき駅へ戻り、コインロッカーから荷物を出して、駅前のラトブへ。土産物屋で生ビールと福島の酒のワンカップを買い、おのざきさんで海鮮丼とアンコウのとも酢を買い込んでホテルへ。部屋呑みで一日目を終えた。


いつもの定宿の一番安い部屋が全ていっぱいで、少し経費が高くついた。


僕も賛成出来ないが、それとこれは別だ。消費者だからこそ一言物申したいとも思っている。
この日は、移動の間を除くと、約2万歩。富岡駅以北滞在約7.2時間、積算線量2.21μSv。平均0.307μSv/h。比較的低めに済んだ1日だった(※注 首都圏で「平均0.307μSv/h」なんて数値は出ません。あくまでも「双葉郡では低め」ということ)。
<続く>
ここから先は
¥ 300
サポートしていただけると大変ありがたいです。いただいたサポートは今後の取材活動や制作活動等に使わせていただきます。よろしくお願いします!
