「戈」を気にして-3 「戌」は「いぬ」でおぼえたけどいろいろと関係している
しかし,「ほこ」は原始的な武具には間違いありません。
先端が葉でなく,刃だったらどうでしょう?(どちらも同じ音です)
「戉」になります。訓読みは「まさかり」です。1字でも「まさかり」と読みますが,金偏を付けて「鉞」と意味を詳しくして利用しています。左ハライから直線的な形状に変わるのがいかにも人工的な武具であることをイメージさせます。
「戉」は「走」を付けて,「越」の方が馴染みがあります。
「境界を越す」と使われるように,3千年ぐらい昔の中国でも〈国境を越した地域〉に「越」の国がありました。ベトナムの漢字表記は「越南」になっています。
日本でも「越」の国があります。京都から見て,山を越えた先に「越」の国があります。「越前・越中・越後」と分ければ「福井・冨山・新潟」に対応します。
軍隊は〈「戈」を持つ「人」〉です。だから,「人」と「戈」を連結させて「戍」が生れます。「戊」の中に点を打つ形です。これで「まもる」意味になります。国境を守る人です。軍隊を意味しています。
「戌」という字もそっくりです。もともとは〈大きなマサカリ〉からできた字形です。〈圧倒する〉という意味が込められます。
しかし,「戊」の中が「丶」か「一」かの違いです。これが後に「いぬ」を意味するかん字になりました。字源と意味がまるで離れていますが,「まもる…番犬」と連想したのかもしれません。
「戎」という字もあります。これも古代の武具になります。古代中国では西方に住んでいた人々が「戎」と言われました。意味としては乱暴な田舎者です。訓読みが「えびす」です。七福神に「えびす様」がいるのも異教徒の神様として扱ったのでしょう。
〈圧倒的な力・・・「戌」で都市・・・□を征服する〉の字が生れます。「咸」です。〈うごく〉の意味に使われています。
「心」が付いて「感」となれば,〈心が動く〉の意味です。
「水」が付いて「減」となれば,〈水が動く・・・へる〉の意味です。
都市を□で表すのは古代の中国では城壁で囲んでいたからです。そのため,「くに」の字でも「国/國」は「邦」よりも小さい地域を示しています。
ここに「地域」の「域」,「國」が出てきました。どちらにも「或」が使われています。「ワク」の音は「枠」でも使われています。同じ音・同じ意味となります。
武器で守られた地域の意味と解釈しても,棒杭で四角く囲った土地と解釈しても通じます。
「或る」と思えば,力強く感じます。しかし,結局,棒杭で区切られた地域です。《それだけのものなの?》と思えば,そんな「心」は「惑う」ものです。圧倒的に征服して変えてしまうのが「咸」でした。「咸」に比べると「或」の方が1画少ない分,頼りないわけです。
〈圧倒的な力・・・「戌」で都市・・・口を征服する〉の同じ要素から別の字も発生しました。「成」です。〈なしとげる〉の意味で使われます。
「戌」という字を意識すると他の字がつながります。
「火」を「水」で「戌」の字が生れます。・・・「滅」です。
「止」と「小」で「歳」です。大きなマサカリでいけにえを裂いて,1年ごとに祭る儀式を意味するそうです。上と下にあるのは,「止」と「小」です。これは左右の足跡を表して「歩む」という意味になるそうです。
「親戚」の「戚」に使われる。「尗」と似ているので気にしています。
「戚」の字源は古くは「戈」に「巛」を2つ書いた字で,「𢦫」と書いて,〈「戈」を受けついでいく身内〉の意味で作られたそうです。後に意識的に再構築されました。
そのときに使われた字素が「尗」です。音読みは「シュク」です。「小」が含まれているように,〈小さい〉と言う意味があります。音が濁れば「ジャク・・・弱」につながります。
だから,「戚」は〈小さな戉〉の意味になります。
日本では親の兄弟は「おじさん」で済ませます。儒教文化では年長者が偉いので,親より年上の「おじさん」は「伯父」となります。親より年下の「おじさん」は「叔父」と使い分けます。ここにも「尗」が使われています。
「監督」の「督」にも「叔」が使われています。〈小さい目〉で見張ることが「監督」なのでしょう。
