あの 写真集「あの在処」

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◆ あの、5年ぶりの“現在地”を刻む『あの在処』
『あの 写真集「あの在処」』は、唯一無二の存在感を放ち続ける“あの”が、自身の「いま」を静かに、しかし確かに刻み込んだ5年ぶりの写真集である。撮影を手がけたのは、写真界の芥川賞とも称される木村伊兵衛写真賞を受賞した川島小鳥。ふたりの信頼関係が織りなす空気が、ページの隅々にまで染み渡るように広がっている。
◆ 佐渡島という“風景”が映す、あのの輪郭
本作の舞台は新潟県・佐渡島。海、山、空、風、そして静かな町並み。自然と人の暮らしが交差するこの場所で、あのは19着もの衣装をまといながら、さまざまな表情を見せていく。たらい舟に揺られながら見上げる空、夕暮れの浜辺でギターを奏でる姿、古民家の縁側でぼんやりと佇む横顔——どの瞬間も、風景と彼女が溶け合い、ひとつの“在処”を形づくっていく。
◆ “変わらなさ”と“変化”のあいだにあるもの
5年前の初写真集『ANOther』から時を経て、あのは音楽活動やテレビ出演を通じて、より多面的な存在へと進化してきた。しかし本作では、そうした“変化”を声高に語るのではなく、むしろ「変わらないもの」を静かに見つめている。撮影中の手記に綴られた「別に何も変わらないけど、今日はフードで燃えなかった。少し成長した。」という言葉が象徴するように、彼女は“変わらなさ”の中にある微細な変化を、丁寧に受け止めている。
◆ 衣装と表情が描く“あの”の多層性
本作に登場する衣装は、あののイメージを体現するものから、意外性のあるスタイリングまで幅広い。制服、ワンピース、カジュアルなスウェット、そして素肌に近いナチュラルな装い。衣装が変わるたびに、彼女の表情もまた変化し、ひとりの人物の中にある多層的な感情や気配が浮かび上がる。可愛い、儚い、強い、無垢、挑発的——そのどれもが“あの”であり、どれかひとつに収まらない。
◆ 川島小鳥のレンズが捉える“あのの呼吸”
川島小鳥の写真は、被写体の呼吸をそのまま写し取るような柔らかさと、確かな距離感を持っている。本作でもその手腕は遺憾なく発揮され、あのの自然体の魅力が余すところなく引き出されている。構図の余白、光のにじみ、風に揺れる髪の一瞬——すべてが“演出”ではなく“記録”として存在し、写真集全体に詩的なリズムを与えている。
◆ まとめ
『あの在処』は、あのという存在が“どこにいるのか”を探す旅であり、同時に“どこにでもいる誰か”としての彼女を見つける旅でもある。佐渡島の風景とともに綴られるこの写真集は、変わり続ける時代の中で、変わらずにそこに在るものの美しさを教えてくれる。あのの“いま”を見つめることは、私たち自身の“在処”を見つけることでもある。静かで、深く、そして確かな一冊だ。
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