『SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬』上映会@ART GALLERY 四日市水槽




昨年秋、地元・鳥取県米子市に新たにオープンした〈ART GALLERY 四日市水槽〉。
商工会議所のすぐ側にある、洒落た小さな通り。
その雑居ビルの一角に位置するこの空間──中国山地、そして大山連峰を背に、大都市圏から文化的にも物流的にも距離を置かざるをえない、陸の孤島型地方都市・米子において、オフラインの文化的スペースとして稀有な場所だ。
ここに行き着いたのは、ほんの最近だった。
今年の2月末、〈米子ガイナックス〉によって催された〈米子映画事変〉。そこで意気投合した、出雲からいらっしゃっていたジャパニーズ・ハードコア現役世代の方々。
彼らから紹介されて知り合ったのが、四日市水槽のオーナー・安部さんだ。
今日は、写真家であり、デヴィッド・ボウイの盟友でもある鋤田正義氏の軌跡を辿るフィルム『SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬』の上映会にお邪魔した。
山本寛斎、糸井重里、ポール・スミス、ジム・ジャームッシュ、永瀬正敏、リリー・フランキー、雅~MIYAVI~、PANTA(頭脳警察)、布袋寅泰、細野晴臣、坂本龍一、高橋幸宏、秋間経夫(マルコシアス・バンプ)──錚々たる顔ぶれが、ロック、ポップス、パンク、ニューウェイヴの歴史に名を刻んだ伝説的写真家との等身大のコミュニケーションを、記憶の深奥から湧き上がるような熱量を帯びながら、思い思いに証言していく。
特に、寛斎、雅、布袋、秋間、細野の捉える鋤田像には、強く心を打たれる次第であった。
鋤田氏は、上記の人物以外にも、Marc BolanやIggy Popはもちろん、寺山修司、加藤和彦/Sadistic Mika Band/Sadistics、Sheena & The Rokkets、高中正義、立花ハジメ、土屋昌巳/一風堂、クリス・モズデル、Logic System、渡辺香津美/Kazumi Band、吉田美奈子、大貫妙子、ジョー山中、忌野清志郎、Adrian Belew、Philip Glass、山本達彦、ラジ、山口美央子、桑名晴子、Aunt Sally、戸川純、Rosa Luxemburg、The Mods、遠藤ミチロウ、Salon Music、たま、Corneliusといったレジェンド級の面々と仕事を重ねてきた。
その歩みは、いち写真家の枠を超え、思想、ファッション、演劇、映画、都市的空想、SFまでもが行き交う文化交差点として読める。
YMOに至っては、第4のYMOこと松武秀樹氏まで網羅し、幸宏さんとはミカ・バンド時代からの繋がりがある。しかも『黒船』である。
振り返ってみれば、まったく違う位相に位置するはずの人々が、なぜか必然のように交差してしまう、目まぐるしい70年代日本の音楽の大発展期にあっても、鋤田正義という存在がなければ、その光景は現在とは別物になっていたのではないか。日本の、いや世界のロック/ポップス/ニューウェイヴの視覚史そのものが、少し違う輪郭を帯びていたのではないか。
そして、その軌跡が今日、米子の雑居ビルの小さな白い部屋に、静かに投影されていた。
大都市圏から遠く離れたこの街で、BowieやYMOやミカ・バンドの記憶が、四日市水槽の壁にふたたび浮かび上がる。そういう瞬間に立ち会える場所が、地元に新しく生まれていること自体が、かなり尊い。
改めて、T.Rexと初期Bowieを聴き返したくなってきた。もちろんYMOやミカ・バンドも。
ちなみに今夏こちらで地元では初のトークイベント+アンビエントDJやる予定です。
