ドイツ | 学校連絡はほぼアプリ | 紙の時代は終わった
こんにちは、ドイツ在住「煮ても焼いてもドイツ」のニヤキです。
ドイツ生活のあれこれを中心に情報発信をしています。
日本の幼稚園、小中学校の学校連絡はどのように行われているのかはわかりませんが、ドイツでは「ほぼアプリ」のみというスタイルに落ち着いてきています。
ドイツでは全国統一のアプリや運用ルールなどがなく、州や自治体にゆだねられているため、ドイツ全土というわけではないのですが、実体験としては、コロナロックダウンのあった2020年を境に一気に学校連絡のアプリ使用が進んだという印象です。
最近、ユーザーとして、また団体運営に際するアプリ導入のサポートなどに関わることがあったため、今回はドイツの学校における学校アプリについて紹介したいと思います。
小学校のメジャーアプリ「 Sdui(スードゥイ)」
ドイツの小学校で最も導入が多いのが、「Sdui(スードゥイ)」というアプリ。

Sdui は 2018年にドイツ・コブレンツで設立された教育向けIT企業で、学校や幼稚園向けに GDPR準拠の連絡・組織管理アプリを提供しています。
チャット、翻訳、クラウド、クラス管理などを備え、現在は 25,000以上の学校・保育施設で利用されるヨーロッパ有数の EdTech 企業へ成長しています。
機能や特徴は以下の通りです。
先生・保護者・児童をつなぐコミュニケーション基盤
チャット、欠席連絡、ニュース配信、PDF配布、写真共有
GDPR準拠で安全性が高い
Saarland 州などでは州レベルで導入されている例もある
現在、下の子は小学生。
入学する際、準備書類の中に「Sdui」アプリの案内が入っていました。
息子が小学生だったときにも、このアプリを使っていたので、「また戻ってきた」感じなのですが、息子が小学生だった時代よりもさらにアプリでの連絡が徹底されていて、時代の流れを感じました。
お知らせ、欠席連絡、行事の案内、PDFの配布、クラス単位のチャット。
学校で起きていることが、ほぼリアルタイムで家庭に届きます。
Sdui は、先生と保護者をつなぐ“コミュニケーションアプリ”として設計されているため、UIもやさしく、情報がひとつの場所にまとまっています。
担任からだけでなく、学校校長やソーシャルワーカーなど、学校の他のメンバーがメッセージを一斉送信してきたりもするため、通知が多い日は「また来た…」と感じることもあります。
ドイツでは個人情報保護(GDPR)が非常に厳しく、WhatsApp のような個人アプリを学校連絡に使うことは基本的に禁止されています。
そのため、Sdui のような“学校専用アプリ”が公式の連絡手段として選ばれています。
学校によっては、クラスの保護者間ですらWhatsAppでグループを作り、グループチャットすることを禁止するところもあります。いろいろとトラブルが絶えないから、ということ。
・・・昔、息子が小学生だったときに、クラスチャットが炎上しまくっていたので、このお達しは本当にありがたいです(苦笑)
紙のプリントもありますが、そちらは大変稀な存在です。
何か、親の署名が必要なときのみ、紙プリントで、基本的にはアプリに集約されることが多く、連絡の中心は完全にデジタルに移行していました。
ギムナジウムで使われる 「Untis(ウンチス)」:時間割がすべてのアプリ
ギムナジウムに進学すると、連絡の中心は一気に「 Untis(ウンチス)」 に切り替わります。
・・・日本人的には結構微妙な名前のアプリです(笑)

Untis は 1970年にオーストリア・ニーダーエスターライヒ州ストッカウで創業した教育向けソフトウェア企業で、学校の時間割作成・代講管理・校務全般を支えるプラットフォームを提供しています。
現在は 26,000校以上が利用し、ヨーロッパで最も広く使われる学校組織管理システムの一つとして成長しています。
Untis は、時間割・代講・休講・教室変更など、スケジュール管理に特化したアプリです。情報はすべてシステムを通して確認する仕組みになっています。
ギムナジウムでは、先生の病欠や研修、行事、教室不足などで時間割が頻繁に変わります。(変更がない週は全くないといっても過言ではないほど、よく変更があります・・!)
朝起きて Untis を開くと、1時間目が突然休講になっていたり、教室が別の棟に変わっていたりすることも珍しくありません。
子ども自身がアプリを確認する前提で運用されているため、親は“補助的に見守る”立場に変わります。
上の子の学校の場合は、ですが、昨年までは子どものアカウントから学校の遅刻早退欠席連絡を行っていました。
・・・たぶん問題があったのでしょう(そりゃそうだ)、今年からは親専用のアカウントを作り、そこからでないと、こういった欠席などの登録はできなくなりました。
コミュニケーションには「Teams」
ギムナジウムでは Untis が“時間割の中枢”として機能する一方で、Microsoft Teams は“授業と課題の中枢”として欠かせない存在になっています。
実際、ドイツの多くのギムナジウムでは、Teams を使って課題配布・資料共有・チャット・オンライン授業までを一元管理しており、学校側も「生徒は平日に一度は Teams を確認すること」を求める運用が一般的です。
Teams の特徴は、単なる連絡ツールではなく、学習管理システム(LMS)としての役割を強く持つ点です。教科ごとに「チーム」が作られ、Assignments で課題が配布され、提出状況やフィードバックもアプリ内で完結します。
オンライン授業や補習、グループワークも Teams 上で行われるため、生徒にとっては“学校のもう一つの教室”のような存在になります。
また、学校側は Teams を使うために保護者の同意を求め、家庭にはインターネット環境とデバイスが必要とされています。必要な家庭には学校がタブレットを貸し出すケースもあり、デジタル学習を支えるインフラとして Teams が定着していることがわかります 。
Untis が「今日の授業がどうなるか」を知らせるアプリだとすれば、Teams は「授業の中身と学習プロセス」を支えるアプリ。ギムナジウムではこの二つが揃うことで、学校生活のデジタル基盤がようやく完成するように感じます。
ドイツの学校連絡が“ほぼアプリ”になる理由
ドイツでは、学校連絡がアプリ中心になる背景にいくつかの理由があります。
・GDPRの厳しさ
個人アプリでの連絡は禁止され、学校専用アプリが必須になる。
・学校ごとの裁量が大きい
州だけでなく学校単位で導入アプリを決めるため、同じ街でも学校が違えばアプリも違う。
・紙よりアプリのほうが管理が楽
既読・未読、配布履歴、欠席連絡の記録など、証跡が残る。
・デジタル化の進み方が“学校単位”で違う 日本のように全国で統一されていないため、バラバラさがそのまま日常になる。
この“バラバラさ”は不便でもありますが、学校の個性がそのままアプリに反映されているようで、どこかドイツらしいとも感じます。
アプリには翻訳機能もついており、ドイツ語がままならない家庭でも学校からの連絡を母国語で読むことができるのも、アプリならではだと思います。
絶対条件となるのが、「スマホ」の存在。
ドイツでは、家庭が貧困などの理由でスマホやタブレットを購入できない場合でも、子どもがデジタル学習から取り残されないようにする仕組みが複数用意されています。
制度は州や自治体によって異なりますが、共通して次の3つの柱で支えられています。
1. 学校や自治体による「端末の無償貸与」
コロナ禍以降、ドイツ全土で Sofortausstattungsprogramm(緊急端末支援プログラム) が実施され、 「自宅にデバイスがない児童・生徒」に対して 学校がタブレットやノートPCを貸し出す仕組み が整えられました。
例:ヘッセン州では約95,000台の端末が“貸与用”として購入され、必要な児童に貸し出された
端末は学校所有で、卒業・転校時に返却する方式が一般的
この仕組みは現在も多くの自治体で継続され、低所得家庭の子どもがオンライン学習や学校アプリを使えるように支えています。
2. 低所得家庭への「補助つき購入」や「無料提供」
自治体によっては、家庭が端末を購入する方式を採用しつつ、低所得家庭には補助金や無料提供を行うケースもあります。
例:ヴィースバーデン市では、親が端末を購入する方式だが、低所得家庭は無償で端末を受け取れる仕組みがある(卒業時に返却)
月額10ユーロ以下の負担に抑えるなど、経済的負担を軽減する制度も存在
自治体が端末管理や保険も担うため、家庭の負担は最小限に抑えられています。
3. 民間企業の「低所得家庭向けファイナンスモデル」
Bechtle などの教育IT企業は、0%金利の分割払いやソーシャルクーポンを活用した端末提供モデルを展開し、 「どの家庭でもデジタル学習に参加できる」ことを目指しています。
端末+保険+MDM(管理ソフト)をセットで提供
ソーシャルクーポンにより、低所得家庭でも負担なく利用可能とされる
学校が企業と契約し、保護者は特別価格で購入する仕組みが一般的です。
まとめ
ドイツの学校、本当に休講が多いです。
しかも、代講などはほとんどありません。
よく、1・2時間目が休講、となるときも多く、授業が8時から始まるのか、10時から始まるのかでは、朝の余裕もだいぶ異なり、朝のUntisチェックが欠かせません。
もしかして、このアプリのせいで、先生たちも急な休講を簡単にするんじゃ・・・と疑ってしまう自分もいますが、まぁ、なんであろうとよく休むドイツの先生たちです。
ドイツの学校連絡は、いまやほとんどアプリで動いています。
便利さだけでなく、アプリによって学校との距離感や親の役割まで変わっていくのが興味深いところです。
ギムナジウムにあがると、連絡事項はほぼ子どもだけに届くようになり、よほどのことがない限り、親は蚊帳の外だったりします。
うちの子のようにしっかりしたタイプではない子は、そういった管理能力が身につくまで、親が右往左往しましたが、徹底した学校と子ども間のみでの連絡のおかげで、少しはいろいろとオーガナイズする力がついたような気もします。
いずれにせよ、アプリ、そしてスマホやタブレットがないと成り立たないこのシステム。
これも時代だなぁ、と思います。
学校によっては複数のアプリをダウンロードしなくてはならないところもあるらしく、親も子も慣れるまで一苦労ですが、上手に付き合っていくと利点もある、そのように感じています。
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