もう安売りはしない。1杯のコーヒーに気付かされた、本当に作らないといけない未来の「普通」のあり方。
「え? 普通のコーヒーがこんなに高いの?」
ふいに投げかけられたその言葉に、
驚いたのと同時に、一瞬、思考が停止してしまった。
オーガニックかつフェアトレードの
厳選されたコーヒー豆を使用していることは
メニューにも記載している。
「普通」とは一体、何なのだろうか??
100円コーヒーが話題となったマクドナルドをはじめ、
大手チェーンやコンビニなどでは、
100円~300円程度で飲めるコーヒーが確かに多い。
その価格が当たり前になってしまっているからか、
beyondの価格は「異常」に見えたのかもしれない。
記載してある内容を見てほしい気持ちも確かにあるのだが、
問題はそこではないように思えた。
「誰も泣かない1杯」の価値は?
beyondではこれまで、
できる限り良いものを、
できる限りリーズナブルに。
を意識して価格設定を行ってきました。
もしかしたら、
この「できる限りリーズナブルに」が、
本来の価値を下げてしまっていたのではないか?
「良いものがリーズナブル」なのではなく、
「普通のものがちょっと高い」に
変換されてしまっていたのではないか?
という疑問を抱くようになりました。
当店が使用しているコーヒー豆について
JASオーガニック認証
化学肥料に頼らず、大地の力を引き出した栽培方法で、飲む人の身体だけでなく、現地の土壌や生態系を守る配慮がなされている証。
フェアトレード(公正な取引)
生産者が人間らしい生活を送り、次世代の農家を育てられる価格で買い取ること。これは「搾取」を断ち切るための対価であり、正当な報酬。
雑味のない正当な味
安価な豆に混じりがちな欠点豆(カビや虫食い)を排除し、焙煎技術でそのポテンシャルを最大限に引き出す。飲んだ後に体が楽だと感じられるのは、その混じりっけがないから。
これは、
単に「乾いた喉を潤すコーヒー」ではありません。
「誰も泣かない1杯」だと、わたしは信じています。
安価なコーヒーの裏側に潜む現実に目を向けて
コンビニやチェーン店が
低価格での販売を維持できるのは、
「企業努力」の一言にはまとめられない、
あまり表には出ない現実がある。
ということにも、目を向けていきましょう。
◆大量生産のための農薬使用
生産効率を重視し、環境負荷を度外視した方法での栽培を行っている。
◆不当な買いたたき〔搾取構造〕
国際相場の波に晒され、農家が赤字になっても買い叩かれる構造。
これが児童労働や農地放棄を招いている。
◆「隠す」技術
質の低い豆の雑味を、極端な深煎りで誤魔化す手法が取られている。
全部が全部、こういった背景だというわけではありません。
全否定したいわけではありませんし、
わたしも実際に、そうしたコーヒーを飲んできた経験があります。
また、大きすぎる需要に対して
必要な対策であることも承知しています。
しかし、その「安さ」に慣れすぎてしまうことは、
コーヒーの話だけに留まらない、
とても大きな「負のスパイラル」への入り口なのではないか?と、
考えるようになりました。
「安さ=正義」という価値観が、自分たちの首を絞めている
少し視野を広げて「日本」の現状について話をさせてください。
先ほどの〔搾取構造〕と近い話になります。
日本でも長らく「低賃金」が社会問題として挙げられています。
平均所得が上がったというデータが出ても、
それを実感できているという人は多くありません。
なぜ、わたしたちの生活は豊かにならないのか?
(日本は決して貧しい国ではないはずなのに・・・)
日本中に蔓延している「コスパ」「プチプラ」「おもウマ」などの
「安いものに価値がある」という風潮が、
原因の1つとして大きいのではないかと、わたしは考えています。
「安いものが正義」だと消費者が求める
企業はそれに応えるため、ものを安く・たくさん作る必要がある
そのために、安い労働者がたくさん必要になる
賃金が上がらないから、消費者はさらに安いものを求める
だから「安いものが正義」になる
このループを繰り返す結果、いつの間にか、
「安い労働者(=自分たち)に価値がある」
「安い労働者(=自分たち)が正義」
という、決して誰も口にはしないであろう概念を
無意識に作り出してしまっているのではないでしょうか?
「コスパの良い労働者を量産する」理由を
自分たちの手で作り上げ、
自分たちの価値を削ってしまっているのではないでしょうか?
「コーヒー1杯にそんなに出したくない」
という反応は、
裏を返せば・・・
「人の手間やこだわりに、たいした価値などない」
「コーヒーはコーヒーで、どれも一緒」
と評していることと同じなのではないかと、
わたしは感じました。
他者の労働を安く見積もる社会が、
自分の労働だけを高く評価してくれる
なんていう甘い話はありません。
「安売り」するのは、もうやめる。
次からは、「高いね」と言われたら、
こう答えたいぐらいの想いになりました・・・
そうですか?
コーヒー栽培のための環境保全と、
生産者さんの健康的な生活とか、
現地の子どもたちが学校に行けるような
社会づくりのために必要な
公正な価格と考えたら、そうでもないですよ。
本当にこのまま伝えたら、
嫌な言い方だなと思われるでしょうね。
それはそれで別に構わないのですが、
想いとしては、これが正直なところです。
最近で言えば、お米の話にすると
わかりやすいかもしれません。
日本の農家さんがこだわりを持って育てたお米、約4,500円~/5㎏
同じ日本のお米でも、訳あり・ブレンド米は、約2,500円~/5㎏
そして、外国産のカルローズ米ならば、約2,000円~/5㎏
より手間暇かけた米作りをされている
日本の農家さんを守っていくための金額は、
他のお米よりも高くなります。
決して、他の農家さんを下に見るわけではありません。
それぞれの役割が違うだけ。
それなのに、手間暇かけたこだわりのお米に対して、
他のお米と価格だけを比較し、
「高い!」と声を挙げる人がいる・・・
これは、生産者の手間・労力、さらには想いまで
搾取することになっていると思いませんか?
同じように、コーヒー豆の生産者さんを守るために、
相応の正当な対価が必要なのは当然。
「オーガニック」かつ「フェアトレード」の
コーヒー豆で淹れる1杯は、
『未来につなぐ1杯』なんです。
だから、
「できる限りリーズナブルに」という
「安売り」はもうやめようと思います。
コーヒーだけじゃない。
周囲の環境や食べる人の身体のことまで配慮を巡らせた、
生産者さんたちの想いがこもった食材すべて。
適正な価値・価格をしっかりと考え直します。
ただ、その代わり、
今まで以上に
「なぜ、この価格なのか?」
「なぜ、これが良いのか?」
という発信を強化できるように、
努めていきたいと思います。
「普通」のコーヒー=「誰も泣かない」コーヒーになる日を願って
値上げを決心するのは、
本当はかなり怖いことでもあります。
でも、「できる限りリーズナブルに」が、
本来あるべき価値を落として伝わってしまっている・・・
と気付いた今は、
そっちの方が怖いことだと実感しています。
守りたい・残したいと思っているものが
消えてしまうかもしれないという怖さも含め・・・。
ただ、わたしは信じています。
beyondに来てくださっているお客さまは、
「価値あるものには、正当な対価を払うのが当然」
という誇り高い『選ぶ力』を持っている方々である
ということを。
安価で手に入るコーヒーが「普通」なのではなく、
おいしいコーヒーを飲み続けるための
生産者さんやその周りの環境を守ることが「普通」
なのだという世の中になることを、
心から願っています。
さいごに
「コーヒー1杯」の話から始まりましたが、
これはもはや、あなた自身の価値にも繋がる話。
ちょっと大袈裟かもしれませんが、
ズレた内容ではないはずです・・・。
フェアトレードのコーヒーは、
今も少しずつ広がっています。
いつも飲んでいるコーヒーはどうでしょうか?
次にコーヒーを選ぶ時、
その背景にある、全ての人や環境を
ほんの少しでいいので、想像してみてもらえたら嬉しいです。
beyondで仕入れさせてもらっている、
「誰も泣かない」コーヒーに共感してくださった方、
ありがとうございます。
ぜひ一緒に、「普通」を変えていきましょう。
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
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Cozy Cafe & Bar beyond
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