商標法28条 判定
1.条文解説
判定では、特許庁が、法的拘束力のない鑑定的意見をだしてくれます(商標法28条)。
この判定(商標法28条)では、ある商標が、特定の商標権の効力範囲内であるか否かの判断を求めます。つまり、商標権の効力範囲(商25条、26条、29条、32条、33条、59条、60条など)の全てについて確認等したい場合に判定を請求することができます
判定の結論には法的拘束力がありません。このため、判定の結論について異議申し立てをすることはできません。
特に注意すべきポイントは、判定を利用した場合、費用が低額、定額という利点はありますが、判定結果が商標権者に知られてしまうという欠点があるということです。
商標権者に知られたくない場合は、特許庁の判定制度を利用するのではなく、弁理士に鑑定を依頼しましょう。
なお、特許法や実用新案法の判定では、特許発明の技術的範囲に属するか否かの判定です(特71条)。意匠法では、登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属するか否かの判定です(意25条)。このため、商標法の判定は、特許法、実用新案法、意匠法の判定よりも、広範な判断を求めることができます。
2.判定請求がなされた具体例
判定2020-695001では、株式会社神戸珠数店さんが、商品「珠数入れ、経本入れ、御朱印帳入れ等の袋物」に使用する標章が、国際商標登録第0952582号商標(商標権者LOUIS VUITTON MALLETIER)のの商標権の効力の範囲に属しない(商標法26条1項6号)、と結論されています。
商標権者側の模様(柄)は、「ダミエ」呼ばれる柄だと思います。
この判定請求がなされた経緯が分からなかったのですが、判定2020-695001での請求人の主張には、以下のように、商標権者側から商標権侵害である旨の通報があったようです。
1 判定請求の必要性
請求人に係る甲1に示す各種袋物は、株式会社滝田商店のウェブページで販売されていたが、令和2年8月1日に本件商標の商標権者から株式会社滝田商店に対し、上記の各種袋物の販売は本件商標の侵害に該当する旨の通報があり、当該通報を受けた株式会社滝田商店は、同日に、上記の各種袋物をウェブページに掲載して販売することを停止した。
請求人は、本件商標の効力の範囲について専門的知識をもって中立的立場から判断される判定を特許庁に求め、その判定の結果を株式会社滝田商店に提出し、ウェブページ掲載の停止を解除することを目的として、本件判定を求めている。
商標権者側は、神戸珠数店さんの主張に対して、何ら答弁していないようですので、実際の通報の内容は不明です。
個人的には、何も答弁しないということは、「本件商標の侵害に該当する旨の通報」は、権利行使の一環として定期的に行っている威嚇である気もします。
判定の最終的な結論としては、①「市松模様」「碁盤目状の格子の目を色違いに並べた模様」は、布地などに用いられる日本古来の模様として広く一般に知られ、親しまれているものなので、②商標法第26条第1項第6号に該当し、商標権者の商標と、神戸珠数店さんが使用している商標との比較及びその指定商品と使用商品との比較をするまでもなく、本件商標の商標権の効力の範囲に属しない、とされました。
商標法第26条第1項第6号に該当するということは、神戸珠数店さんの商品で使用されている模様は、「商標的使用でない」とされたわけです。
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・商標法28条
第二十八条 商標権の効力については、特許庁に対し、判定を求めることができる。
2 特許庁長官は、前項の規定による求があつたときは、三名の審判官を指定して、その判定をさせなければならない。
3 特許法第七十一条第三項及び第四項の規定は、第一項の判定に準用する。
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